『砂漠』/伊坂幸太郎 ○

面白いこともくだらないことも色々あった、風変わりな友と過ごした4年間。モラトリアムが終わって社会という『砂漠』に出ていく、その前の4年間。
伊坂幸太郎さんが描く、大学生時代の物語。

今まで私が読んだ伊坂さんの作品は、結構壮大だったり軽妙に展開する話が多かったので、割と普通な学生生活な物語に、あれれ・・・?調子狂っちゃいました。

1年生の春。クラスコンパで出会った、鳥瞰型人間の北村とオチャラケ系の鳥井。鳥井の中学時代のクラスメートの南、とてつもない冷徹美人の東堂、ズレまくりの西嶋。クラスに「東南西北」が揃ったんだからと鳥井を加えて、何故か麻雀仲間になる。合コンの2次会でホストと賭けボーリングをして危うく負けかけた鳥井を救ったのは、西嶋。

2年生の夏。知り合いの女の子に「プレジデントマン」の情報をつかまされ、見張りに行った先で空き巣になったホストと遭遇する。空き巣たちは逃走の際、鳥井を車で轢き引き、鳥井は左手を失う。鳥井を麻雀牌に見立てたビルの明かりで元気づけたのは、西嶋。

3年生の秋。学際に呼ばれた文化人に反感を覚えた西嶋と北村は、ひと泡吹かせてやろうと画策するが、逆手をとられてしまう。が、そこに逆転の手を打ってきたのは、東堂。

4 年生の冬。再びホストの影が。また空き巣情報を手に入れ、現場に乗り込む北村と西嶋と東堂。が、そこに現れたのは何故かプレジデントマン。プレジデントマンが逮捕連行されたあと、解散した北村が空き巣グループの隠れ家へ向かい、空き巣グループと北村&鳥井の乱闘になる。そして、逃げようとした空き巣たちの車に、南が超能力で車をぶつけ、4年間にわたるゴタゴタに決着をつける。

っていうような・・・物語なんですけどね。なんだろう。色々あって、しかもとりとめがない。ホントに、モラトリアムな大学生活の風景。いろんなことがあって、恋愛があったり、変な奴が居たり。大人とちょっとした対決があったり。あちこちで麻雀の話が出てくるんだけど、麻雀を知らないと、ちょっとわかりにくい。解説もしてくれるんだけど、興味が持てなくて・・・読み飛ばしてました(^_^;)。

なんか爽快感がな~、私的には足りなかった。途中で鳥井が左手を失って、仲間がみんな迷走するあたりが、息苦しかったし。
すごいどんでん返しとか、次々と回収される伏線とかは、あんまりなかったような気がします。

ただ、西嶋のズレぶりは良かった。真剣にズレている。しかも自覚はあるらしい。人に合わせる気は全くないけど。
その西嶋を好きになって振られてしまう氷の美女、東堂もすごい。
この東西南北+鳥グループは、付かず離れず、それでもお互いを信頼し合う仲間である。

色んなことがありながら、彼らは、卒業する(西嶋は自主留年するけど)。
その時、1年生の頃から「幹事役の莞爾です」が口癖の軽いノリ男・莞爾は「お前たちみたいな仲間と仲間でありたかった」と、彼らの仲は、傍から見てもいい関係だったのだ、と言われる。

そして、北村の、今後のありきたりの未来(悪い方)を語る、結びの一言。
~~なんてことはまるでない、はずだ。~~ (本文より引用)
きっと彼らは、ありがちで少し暗い方向へは行かない。
今までだって、要所要所でありがちな展開を語っておいて、
~~なんてことは、まるでない。~~ (本文より引用)
とすっぱり否定してきたのだから。
なんだか、すべてをひっくり返して、すっぱりと否定する、その潔さが、まだ学生であるという青臭さと一途さをひっくるめて、物語を引き締めてたように思う。

うう~む。本当は「東西南北+鳥」の個々についてや、小さい事件の一つ一つ語りたいんだけど、長くなりそうだし、なんだかうまく自分の中で捕らえきれてないので、今回はやめておきます。

(2008.08.06 読了)

砂漠
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著者:伊坂幸太郎出版社:実業之日本社サイズ:単行本ページ数:410p発行年月:2005年12月この著


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この記事へのコメント

2008年08月26日 13:10
こんにちは、夏に砂漠・・・暑いですね(笑)トラバしようと思ったら何故か書評書いていない自分のうっかりに気づいて驚いてます^_^; 今度読み返して書評UPしなければ!私はこのノリが好きで作中に出てきたさS.テグジュペリ『人間の土地』にも手をつけダブルパンチでやられました。すごくいいです・・・って、水無月さんはきっと読んでますよね。感動しました。特に後者(笑)
2008年08月26日 21:52
空蝉さん、こんばんは(^^)。
いや~、『人間の土地』未読ですよ(笑)。リストに入れましたが、いつたどり着けることか(^_^;)。リストが日々長くなるのに、読書スピードは衰えるばかりという、トホホスパイラル(笑)に陥っておりまする。

この作品を読んで、自分の4年間はどうだったろうかと思い起こし、思わず裸足で逃げ出したくなりました。いろんな意味で・・・。

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