『銀齢の果て』/筒井康隆 △

うう~~。後味が悪すぎ。なんか、陰惨すぎる。筒井康隆さんだから、もっと乾いた黒い笑いがあるのかと思ったんだけどな~。
超高齢化社会の果て、国が出した対策とは「老人相互処刑制度」。その通称「シルバー・バトル」に参加した老人たちの実況物語である、『銀齢の果て』
これはちょっと・・・あんまりだ。

宮脇五丁目の蔦谷のご隠居こと・宇谷九一郎、77歳。彼が参加した、宮脇五丁目地区のバトルを中心に、広島県熊谷地区、老人ホームベルて若葉台地区のバトルの展開が、章分けされない改行だけで延々つづられてゆく。
よく注意して登場人物を覚えてないと、どこのバトルなのか分からないという落とし穴。まあ舞台が街中か、山の中か、老人ホームかの区別がつけば、分かるんだけどね。

老人が老人を殺す。しかも、ろくな武器がないから、包丁めった刺しとか、鎌で切り裂くとか、エグいのだ。拳銃を持ってたって、撃ったことがないから全然当たらなくって・・・とか。
自殺も可、バトル対象者仲間に殺してもらうも可、だけど、バトル対象者以外は手を出してはいけない、邪魔をしてもいけない、もちろん、バトル対象者が対象外の者を殺すのも不可。
殺し合い、腹の探り合い、騙し合い・・・。
延々そんな描写が続くと、殺伐とした気分になる。

どっかで爽快に、老人たちの反逆、とかあるのかと思ったんですが。結局各バトルは生き残り1人を残して終了。
各地域の生き残り連合が、厚生労働省内にあるCJCK本部(老人相互処刑制度の本部)を襲撃するんだけど、結局ほぼ全滅で終了。
それから逃げ出してしまい、生き残ってしまった蔦谷のご隠居・九一郎は「死に損なっちまったよう」と呟く。

しかし、そういう制度が法制化してしまうほど、人の心が荒廃したのか、高齢化がどうしようもなくなってしまったのか。反対はなかったのか、反対を口にすることも出来ないほど、国が追い詰められていたのか。
途中途中で差し挟まれる、国の対応の悪さ。何か事起これば、後手後手で世論に負けた弱腰な見直し策を乱発する、主体性のなさ。醜すぎる・・・でも、なんかこういうのって今の日本にもありがちな状況な気がするのです。
そういう意味でも、後味悪かったですわ・・・。

高齢化社会の物語なら、『プラチナタウン』の方がさっぱり爽やかで良かったよ~・・・(T_T)。

(2008.09.17 読了)
銀齢の果て
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著者:筒井康隆出版社:新潮社サイズ:単行本ページ数:239p発行年月:2006年01月この著者の新着


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