『カタブツ』/沢村凛 △

一見、普通の人物。ちょっと頭が固い、融通の利かない時もある、そんな人物たちの物語。
彼らと世間のズレが、くっきりと描かれる、6篇を擁した『カタブツ』沢村凛さんは、初めてなんですが、なかなか人物描写の上手な方ですねぇ。

ですが、ちょっとその世間とのズレの著しさに、読後にどっと疲労感が・・・。描写上手なだけに・・・ね。

「バクのみた夢」
真面目過ぎて、W不倫が続けられなくなったカップル。どちらかが死ぬしかないと思いつめたはいいが、妊娠が発覚。結局泥沼離婚の末、結ばれる。そのカップルの子供の独白。

「袋のカンガルー」
頭から袋をかぶせられたカンガルーは、元来の獰猛さがすっかり鳴りを潜めておとなしくなってしまう。同じ胎にあった兄妹の仲は、抗いがたいものなのか。

「駅で待つ人」
待ち人を観察するのを、無二の喜びとする男。理想の待ち人であるエスペランサを観察していた結果、起こした事件と、その自首。

「とっさの場合」
息子のとっさの事故に竦んでしまって動けないのではと怯える「強迫症」の主婦。相談する友人が実は、彼女の妄想で。夫がとっさの事件に動けなかったことを責めず、夫婦円満?

「マリッジブルー・マリングレー」
事故前後3日間の記憶がない男。結婚相手の実家へ行ったとき、来たコトのないはずの場所に見覚えが。そこで3年前合った殺人事件。自分が殺したのか?記憶のブラックボックスの恐怖。

「無言電話の向こう側」
嫌みなく自信に満ちた友人。彼は殺人事件の現場の隣に住んでいて、それを見殺しにしたのではないか。でもあの男はそんなことするわけない。その男に、週末になると必ず無言電話がかかってくる。殺された女の関係者からか?

生真面目過ぎて世間とうまく折り合えない人物、妄想激しく苦しい思いをする人物、自分なりの価値観が確立してるが故に言い訳をしない男・・・。色々な人物が出てくる。様々に「生真面目さ」がいかに危険なものでありかつ誠実なものであるかを語る6篇のうちに、フェイクが1篇。
そこは面白いんだけどな~。

いかんせん、「カタブツ」すぎて、共感出来ない。何か、えぇ~?なんでそこまで?!みたいな感想を持ってしまったのでした。

あえて言うなら、「とっさの場合」がハッピーエンドかな、という気がする。が・・・基本的にお気楽人生を送ってる私的には、その強迫観念の激しさにはついてゆけないけど。「無言電話の向こう側」もハッピーエンドだけど、納得いかない面が多々あるわけで。

ううむ~、な作品でした。(まあつまり、水無月・Rは生真面目ではないということだな(^_^;))

(2008.10.12 読了)
カタブツ
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著者:沢村凛出版社:講談社サイズ:単行本ページ数:247p発行年月:2004年07月この著者の新着メ


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