『恋文の技術』/森見登美彦 ◎

いやいやいや・・・(^_^;)。やってくれますねぇ、森見登美彦さん!
「愛と笑いとツッコミ処満載、トルネードな妄想あふれる、トホホ旋風」がもう~、スンバラシイです、モリミー。
・・・やっぱり大好きだぁ~!
手紙文(しかも一方からだけで返信文は掲載されてない)だけで、ここまでの物語になるとは・・・!
タイトルは『恋文の技術』。どんだけ素敵な恋心あふれる書簡集なのか、皆様ご照覧あれ・・・(笑)。

京都大の大学院生・守田一郎は、教授の親心?により京都を遠く離れた「能登鹿島臨海実験所」へ、クラゲ研究に派遣されることになる。
友人から手紙をもらった守田は、「せっかくの機会だから(?)ここで文通の腕を磨き手紙で世界を征服する」という壮大な計画を抱き、研究・手紙・恋心・邪心入り乱れた彼の悪戦苦闘はここに始まる。
メール全盛のこの時代に、手紙。しかも文通とはレトロだ。けど、守田氏の文章は面白い。
恋愛に悩むマシマロ似の親友にアドバイスを書き、研究室の先輩には彼女の暴虐ぶりに反抗しつつ調伏され、家庭教師をしていた少年には大人ぶりつつも優しい文を書き、作中作家「森見登美彦」先生には「恋文の技術を教えて」と頼み、アクティブな妹には兄らしく「家でのだらけた自分は仮の姿」なぞと書き、ほのかな思いを抱いている友人女性には何度も手紙を書くも失敗しつづけ・・・。

ひたすら、手紙・手紙・手紙・・・・なのである。しかも守田氏の一方的な往信ばかりで、それぞれの相手の返信はないというのに、手紙の中で触れられる内容や、他の相手との手紙の中や、そこここでほの見える守田と相手の関係から、だんだん全体が掴めてくるという、構成が見事である。

あちこちに守田氏やマシマロマンこと小松崎の妄想が炸裂し、天才的トラブルメイカー・大塚緋沙子女史が暗躍し、森見先生は黒髪の乙女に囲まれ、妹は確実に本質を突いてくるし、教え子のまみやくんは無邪気な子供に見えてそうでもなく、守田氏の想い人・伊吹夏子さんは影だけが見え、実験所では谷口先輩に怒鳴られ、実験は上手くいかない・・・・。もう、しっちゃかめっちゃかな混乱を極める中、守田氏は次々届く返信に、心をこめて返事を書く。誠心誠意、と言いたいところだが、そこはアレ、モリミーのくされ大学生だから不誠実で無責任なことも書き散らす。でも逆に守田氏の「いい人像」が浮かび上がってくるんだから、面白いものである。
作中で守田氏の妹が言った、「これだけの人が文通にこたえてくれる」という守田氏の人徳のたまものであろう。

な~~んてねっ!いやいや、あれですよ。守田氏が愛すべきトホホだからですよ!
守田氏のトホホぶりは、ホントにトホホ萌え魂を揺さぶられますよ~。
「おっぱい」に振り回され、脱却せんと「おっぱい」拡大映像観賞会の最中に、意中の人・妹・教え子にその姿を見られ、うろたえて逃亡。
伊吹さんに手紙を何度かいても、書き出しはまともで誠意ある好青年なのに、途中から脱線してしまって、とてもじゃないが投函出来ない代物になってしまう事。
大塚先輩に反撃しようとして、逆に3倍返しぐらいの返り討ちにあってしまうところ。

いやぁもう、トホホが輝きまくってしまって、いくらでも書けそうなんですが、いいかげんしまりがなくなってきたので、そろそろ〆の方向に(笑)。
圧巻はやはり「大文字山への招待状」である。恋文の技術は身に付かなかったかも知れないけど、守田氏の手紙力(てがみりょく)の本領発揮、素晴らしい招待状の数々。危うく騙されそうになりました。あまりにもそれぞれ、らしい文体なんですもん。

最後の「伊吹夏子さんへの手紙」で、物語は終わるんだけど、きっと守田氏の思いは届くと思いますよ。伊吹さんと守田氏は、何かお似合いな気がします。
ぜひ、関係者各位と大文字山から手紙を付けた赤い風船を飛ばして欲しいですね。とてもメルヘンチックで、素敵な光景になると思いますよ。もちろん守田氏主宰のイベント、なんかしらツッコミ処はあるに違いありませんが、それもご愛敬。
愛のあるトホホは、そんなことではくじけません。よしんばくじけたとしても、必ず最後には救いがあるハッピーエンド、ですよ。

モリミーの描く、そういう物語が大好きですよ。読んでてホント、ニヤニヤしながらほっこりします。
そうそう、作中の森見登美彦氏が『夜は短し歩けよ乙女』を出版してましたな。何といろんなネタを守田氏の手紙から使ってるそうな。
お?ということは守田氏は〈モリ〉つながりだけに、モリミーの分身?なんちゃって~♪

(2009.04.12 読了)


恋文の技術
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著者:森見登美彦出版社:ポプラ社サイズ:単行本ページ数:332p発行年月:2009年03月この著者の


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この記事へのコメント

2009年04月16日 22:26
水無月・Rさんこんばんは^^
素敵にとほほなお話でしたよね。しかし守田くんは相当なヘナチョコだとわかっていながら、こんなにおもしろいお手紙書けるんならわたしにも一通シタタメテくれないかと思うほどでした。
圧巻のラストシーン、わたしもハッピーエンドであることを祈ります。
2009年04月18日 22:15
麻巳美さん、ありがとうございます(^^)。
守田氏のヘナチョコぶりたるや、トホホ萌えに直球を投げ込んで、悶え・のたうつほど(笑)。
守田氏からの手紙・・・欲しい!私も欲しいです!
2009年04月21日 02:09
こんばんは♪モリミー、楽しかったですよね♪
愛すべきトホホ、っていうのは、ほんと、そのとおりですよね(*^m^*)
文通って、昔は流行ったもんですが、すっかりメールに取ってかわられちゃいました。でも、この楽しいモリミーの作品で、また、ブームに・・は無理かもしれませんけど、久し振りに、誰かに手紙を書いてみたくなりました。
2009年04月21日 23:04
ERIさん、ありがとうございます(^^)。
モリミーはステキですよねぇ(笑)。
なんともまあ、愛あふるるトホホが(^_^;)。
書簡体がモリミーの妄想ワールドと融合して、非常に楽しい作品になってましたね♪
2009年05月04日 07:25
面白かったですねーっ。中でも伊吹さんへの失敗書簡集には「どこまでいっちゃうのーっ!?」と、大爆笑させてもらいまいた。
守田氏、まさに「愛すべきトホホ」でしたね。
2009年05月04日 22:31
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
いやぁ~、今思い出しても「ぐふふ」と笑ってしまうほど(笑)。
失敗書簡が、どれだけスンバらしいことか!!守田氏、たまりません♪
トホホには愛がありますよね、やっぱり!
香桑
2009年05月19日 13:05
水無月・Rさん、こんにちは。ようやく読み終えたのです。
ヘタレの王道をゆく主人公が愛しくてならなかったです。
伊吹さんなら、しっかりにっこりと船長のように先導してくれることでせふ。
なんだかんだと言いながら、あれだけの失敗所管を重ねているところが、また愛しくて、最後の手紙に成長を感じて暖かい目で見守りたくなりました。
2009年05月19日 22:55
香桑さん、ありがとうございます(^^)。
守田氏のトホホは、本当に愛が深い(笑)!!
次々としたためられる、伊吹さんへの手紙の失敗作。失敗しても、何度でもトライするその真摯な気持ち・・・なのになぜにこんなにトホホな風が吹くのでしょうか(笑)。素敵過ぎます。
楽しくて仕方なかったです♪
エビノート
2009年05月24日 20:30
手紙でこれだけ楽しめるとは!でした。
手紙の文面を読んでいるだけなのに、他のところで何が起こっているか分かる構成はさすが。練りに練られてましたね~。
失敗書簡集の面白さは格別でしたが、失敗があればこその最後の手紙でしたね。
2009年05月24日 22:46
エビノートさん、ありがとうございます(^^)。
守田氏の人柄の良さあふるる、素晴らしい文章(笑)。
読者だけが知ってる失敗書簡集の妄想大暴走の突っ走り具合は・・・たまりませんよね♪
そして、最後の手紙の素晴らしさは、やはり失敗あっての賜物。
やっぱりモリミーはスンバラシイです。
雪芽
2009年06月07日 21:11
水無月・Rさん、こんばんは~
トホホな守田くんに幸あれ!
モリミ~また笑わせてくれました。
失敗書簡集がオモチロ過ぎて笑い過ぎた。
どうしてくれるぅ、モリミ~(笑)
たまには手紙もいいもんですね。
2009年06月07日 22:15
雪芽さん、ありがとうございます(^^)。
モリミー大好きですよ、私は。
なんでこんなに「愛と笑いとツッコミ処が満載」でステキすぎる物語なのか・・・!
もうすぐ朝日新聞で連載がはじまるということで、購読してて良かった!と思う今日この頃でございます(笑)。
しかし、あの「失敗書簡集」はスンバラシイですね~、脱帽(^_^;)。
june
2009年10月12日 21:44
守田くんはトホホですけど、私もきっといい人だと思います。思わずあたたかく見守ってしまいましたもん。
とはいえ大塚さんとのバトルといい、失敗書簡集といい、おもしろかったですよね。特に失敗書簡集は、どれも最初はまともなのに、知らないうちにどんどん脱線していってしまうんですもん(*^_^*)
2009年10月12日 22:11
juneさん、ありがとうございます(^^)。
守田氏のトホホは、愛すべきトホホ♪
トホホには、愛がありますから~♪
失敗書簡集は、ホント素晴らしいです。
何故にどうして、ああなっちゃうの?!(笑)
ニヤニヤ、ぎゃはぎゃは笑いながら、読みました。
ホント、モリミー大好きです、私。
たかこ
2010年04月05日 19:11
いいですね~、この情けなさ具合が!(笑)
どれだけ恋心あふれた話かと思いきや、阿呆があふれていましたね。
「大文字山への招待状」は本当に騙されそうになりました。本当にもっともらしくできあがってましたもんね。

守田氏の恋の成就を願ってやみません。
2010年04月08日 23:29
たかこさん、ありがとうございます(^^)。
なんでこんなにトホホなんだろう(笑)。
そして、どうしてこんなに愛にあふれているんだろう!(^^)!
守田氏はあまたの壁を乗り越えて、幸せになることでしょう!
じゃないと・・読者が納得しませんよね(笑)。

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