『月魚』/三浦しをん ◎

相変わらず、ただならぬ微妙な関係が、池の底の泥のように、沈んでいますねぇ・・・。三浦しをんさんの描くただならぬ物語は、素敵だわ~(笑)。
小心者で小市民な水無月・Rも読める、あのあやうい友情とも愛情ともつかぬ関係・・・いやぁ~、ドキドキしましたよ。
お盆休みの帰省の新幹線の中で読んだのですが、今でもあの「ただならなさ」を思い出すと、心がかき乱されますね~。うう~む。よかったわぁ、『月魚』

老舗古書店の若き当主・真志喜と、古書店仲間に〈せどり屋の息子〉と揶揄される瀬名垣は親友であり、真志喜の父の失踪にかかわる罪を共有している。出会ったその最初から、互いの存在を求め共に在りたいと思いつつも、その罪によって距離を置こうとする瀬名垣、繋ぎ止めようとする真志喜と、その思いはすれ違っている。
2人の間に秘かに流れる、執着とも愛情とも友情ともつかぬものは、妬みでもあり羨望でもあり悔恨でもあり、そして密やかな歓喜でもある。

そんな緊密な隔たり(←日本語迷走中)を持つ二人が、古書店主として訪れた山村。失踪した真志喜の父は、その近くの町で古書店を営んでいた。買い取りの相見積もりという、再会にはふさわしからぬ舞台で、真志喜の父と瀬名垣たちは古書店主としてのプライドや過去の事情を戦わせ、買い取り権を手にしたのは真志喜たちであった。

真志喜と瀬名垣が高校生のころの物語が、私は一番好きですね。非常にあやういのに、とてもみずみずしい感じが。
真志喜の高校の教師の視点から語られる、真志喜と瀬名垣、そして幼馴染のみすずたちの姿。その教師は、真志喜に焦がれている。が、真志喜の眼に映るのは、瀬名垣なのだ。多面を持つ真志喜、影のごとく寄り添う瀬名垣、罪で縛りあう関係の、苦く暖かい事よ!2人の罪のことを知らず、関係性の外側からしか2人を見ることができない教師の、狂おしげなことよ!

この作品は、ただならないですねぇ~。ホントに、ただならない。
ただならぬBLであり、静かな激情とも言えるか。
2人の幼馴染のみすずの奔放な無邪気さが、非常にさわやか。真志喜と瀬名垣とは正反対の位置にいるのに、2人のことをよく解っていて、少し離れた所から見守って、決してズカズカ踏み込んでいかないところが、いい。

引越のゴタゴタを挟んだので、今回は軽めにサラッと・・・のつもりが、やっぱりいろいろ書いてしまいました(笑)。
しをんさんの「ただならぬ物語」は、やっぱりスンバラシイです!

(2009.08.17 読了)

月魚
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角川文庫 著者:三浦しをん出版社:角川書店/角川グループパブリッサイズ:文庫ページ数:232p発行年


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この記事へのコメント

香桑
2009年09月10日 00:53
こんばんは♪ お引越しやら帰省やら、いろいろとお疲れさまでした。
「緊密な隔たり」という表現が、主人公たち二人にはぴったりです。
そんな二人のただならなさを描くだけではなく、その関係を取り巻く古本屋という設定を具体的にきちんと描いているところがいいですよね。
高校時代のスピンアウト、私も好きです。プールと花火の夏の景色が、読み終えて一番印象に残ったところかもしれません。
2009年09月12日 22:38
香桑さん、ありがとうございます(^^)。
引っ越してもう10日以上たつというのに、いまだに家の中が混乱しております(笑)。いい加減何とかしたいものですが・・・(^_^;)。
あ、そうです、全然私追求してなかった…[古書店]という舞台設定について(大汗;;)。
プール・花火・そして教師の心の中に残っている、「水に沈んでしまった私の村」のイメージ。静かな澄んだ光景と思い出、それはもう取り返すことができないもの…という美しさが、とてもよかったですね。
苗坊
2009年10月04日 15:34
こんにちわ。またまたTBさせていただきました。
この作品、高校生のときに読みました。何故か高校の図書館に置いてあったのです^^;
その頃読んだときのことをあまり覚えていなかったので、文庫本が出たときに購入しました。
読んだときはしをんさんの本性(笑)をわかっていなかったときでしたが、瀬名垣と真志喜の醸し出す雰囲気がとても好きでした。
文章がも綺麗なんですよね。2人が描かれている姿も、風景の描写も何だか美しくて。
2人が高校生のときの話も好きです。あの美しさは、やっぱりしをんさんじゃないとかけないのかなと思います。
高校生のときに胸をときめかせていて読んでいたのに、今では瀬名垣と同い年になってしまった自分にショックです。
いや、しょうがないですし、当たり前なんですけども・・・。
2009年10月04日 21:51
苗坊さん、いらっしゃいませ(^^)。
また来て頂けて、嬉しいです。
しをんさんの描く、ただならない世界は、繊細で美しいですよね。
非常~に、妄想力が羽ばたいてしまいます(^_^;)。
しをんさんは、これからたくさん読んでいきたい作家さんです。
苗坊さんのブログ、参考にさせていただきますね♪
june
2010年06月28日 19:37
こんばんわ!
このただならぬ二人の雰囲気と関係、いいですね~。確かに心をかき乱されます。
私も17歳の夏休みを描いたお話、みずみずしくて好きです。
私はみすずは真志喜のことがずっと好きで、でも二人の間に入ることはできないんだというのがちゃんとわかっていて、わかった上で見守っていこうと決めたような気がしてしまいました。そう思うとその健気さが切なくって・・と勝手に切なくなってました^^;
2010年06月28日 22:27
juneさん、ありがとうございます(^^)。
ホンット、ただならないですよねぇ!
この密やかな関係は、読んでいて本当に息苦しくなるくらいでした。

みすずが・・・!ああ、そう思って読むと、奥深いですね!なのに、あれだけ清らかに明るいのは、とってもけなげですね。
素晴らしいです。

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