『片耳うさぎ』/大崎梢 ○

異様なまでに大きなお屋敷に、一家で居候することになった小学生・奈都。奈都のクラスメートのお姉さん・さゆりと共に屋敷を探索したあと、片耳を切り取られたウサギのぬいぐるみが、部屋に紛れ込んでいた。蔵波家の屋敷には言い伝えがある。「片耳うさぎには気をつけろ。屋敷に入れると、人が死ぬ」という・・・。
大崎梢さんは、初読みです。旧家に伝わる言い伝えを上手く取り入れて、小学生の目線で謎を解いていく『片耳うさぎ』、なかなかに面白かったです、はい。

最初、あまりに奈都がおびえるんで、大きなお屋敷にホントに一人取り残されるのかと思いました。さすがに違うんですよね。祖父・大伯母・伯父一家もいるんだけど、屋敷はとにかく古くて広くて、都会っ子だった奈都にはとても恐い状況。
そこへ救世主のように現れた、さゆり。当初の話ではさゆりのところに泊めてもらうはずが、あれよあれよと「古いお屋敷フェチ」なさゆりと周りに流されて、さゆりが泊まりに来ることに。
さゆりの勢いに流されて、夜中に隠し階段を探して屋根裏にあがったり、そこで誰かと行き違ったり、そこはかとない脅迫を受けたり。
奈都から三代さかのぼったひいお祖父さんの時代の、お祝いの席での死亡事件の真相、大伯母さんがなぜ奈都にきつく当たるのか、弱者であるはずのウサギが祟る言い伝え、結構ミステリーなところもありましたが、私的には「奈都の成長」に注目!でしたね。古いお屋敷にビビってしまったり、言いたいこともあんまり言えないような弱気な女の子だったのが、必要なところでは「ビシッ!」といえる芯のある子に成長しましたよ、なっちゃん。

言い伝えは結構おどろおどろしいんだけど、三代前の事件の真実はそんなにドロドロしたものじゃなかったこと、そして今回の結末は明るい物になったこと、読後感は結構さっぱりしてましたね。
ただ・・・。「一体あの人は誰なの?!」という展開になるのが、なんだか大分終わりの方で、それに関するドキドキはあまりなかったなぁ。私的には、その謎はもうちょっと早目に出して、ドキドキハラハラな展開、そして分かった真実に皆が感激して大団円、ていうのがいいなぁ。さゆりの正体、なんだか取ってつけたような感じになっちゃったしね。雪子伯母さん(ホントは大伯母)の出生の秘密は、割と早いうちに見当がついちゃったし・・・。
あ、でもね。伏線をきっちり回収して、ちゃんと収束する展開は、非常にうまく出来てる!と思いました。
それから、巻頭にあるお屋敷の見取り図。・・・コレないと、迷うね(笑)。私、指挟んで、ずっと参照してましたもん。
大変お役立ちでした。

小学校高学年~中学生ぐらいの子に読んでもらいたい作品ですね。女の子だけじゃなく、男の子も(表紙イラストや題名的に、そう簡単には手に取ってもらえそうにないけど)。なんて言うんだろう、冒険しながら、いろんなことを考えて変わってゆく主人公・奈都に、共感してもらえるような気がするので。

(2009.12.16 読了)

片耳うさぎ
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著者:大崎梢出版社:光文社サイズ:単行本ページ数:282p発行年月:2007年08月この著者の新着メ


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この記事へのコメント

苗坊
2009年12月17日 00:25
こんばんわ^^カキコありがとうございました。
大崎さん初読だったのですね。
最初はどうなるのかと思いましたが、過去の話だったり、奈都の成長過程も楽しめた気がします。
確かに最後はあっさりしていましたが。
でも、最後は前向きで良いですね^^
大崎作品は「成風堂」シリーズがオススメです。
本屋さんが舞台の話です。
機会がありましたら是非、読んでみてください^^
june
2009年12月17日 18:32
私もこれ、小学校高学年から中学生くらいの子に読んでほしいなって思いました。奈都が冒険をしながら成長していく過程がよかったし、ミステリー部分もそれなりに楽しめるし、読後感がいいのもよかったです。
2009年12月17日 22:38
>苗坊さん。
なかなか話が進まないので、アレレ・・・?だったんですが、でも終わり方はほのぼのしてて良かったですね♪

大崎さんの「成風堂」シリーズ、読んでみたくなりました。あちこちの読書ブロガーさんがお勧めしてますよね~。
読みたい本リストがまた長くなる罠(笑)。

>juneさん。
ウチの小4男子に「読む?」って聞いてみましたが、「読まん!」と即答されてしまいました(T_T)。
考えて行動して、成長してゆく姿が、清々しくて良いですよね!
エビノート
2009年12月19日 21:00
大人でも見取り図なしでは迷っちゃいそうな広いお屋敷では、心細いのもわかりますね。でも、探検もしてみたいです!隠し部屋や屋根裏も全部コンプリートして、完全版の見取り図を作成するのも楽しそう!
2009年12月19日 23:59
エビノートさん、ありがとうございます(^^)。
そうなんですよね、見取り図があるとどんな風なんだろう・・・面白そう!と思っちゃいますよね。
もう片耳うさぎの伝説も、良い方へとつながってたことですし(#^.^#)。

2009年12月20日 07:59
もうちょっとドロドロかと思いながら読んだんですが、最後はかなりアッサリ目でしたねぇ。ちょっと物足りなさも感じてしまったり・・・。
でも、これは子供に読んで欲しい作品ですね!

苗坊さんも書かれてますが、大崎さんなら「成風堂」シリーズが私もオススメです!
2009年12月20日 22:58
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
ちょっと肩すかしでしたねぇ(笑)。
ローティーン達に読んで共感して、出来たら色々思ってほしいですね。

すずなさんも「成風堂」シリーズお勧めなんですね。これは是非、図書館の予約を入れなくては!
香桑
2010年03月20日 22:51
こんばんは。
主人公と同じ年頃の人に読んでもらいたくなりますね。
慣れない親戚と過ごす居心地の悪さや、大丈夫じゃないのに大丈夫と言わずにいられない時の心細さ。
奈都の心理描写が丁寧で、成長が嬉しくなりました。
ミステリとしてはうーむむむなのですが、一週間にも満たない時間で家族が変わったとしたらすごいことです。
2010年03月20日 23:29
香桑さん、ありがとうございます(^^)。
そうですね~、うちの息子は読んでくれなかったけど(^_^;)、ぜひに読んでほしいですよね。
なっちゃんが、色んなことを考えて成長していった姿が、清々しかったです。

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