『星間商事株式会社社史編纂室』/三浦しをん ○

あんまり「どっひゃ~(笑)!」ではない三浦しをんさんの作品です(笑)。あ、でもアチコチで、ぶふっ!と吹き出してしまうことは受け合いますよ~。
例え、タイトルが『星間商事株式会社社史編纂室』漢字のみで13文字!)なんていう、堅苦しそう~なものであっても♪

中小商社・星間商事には、何故か創業50周年や60周年に社史を出さないまま、61周年を迎えてしまった社史編纂室がある。
実際の存在を危ぶまれる幽霊部長(みんな名前を知らない)、いつでもフレックス&昼行燈な課長、合コン命・ヤリチンとまで呼ばれている矢田、お菓子を食べ散らかしてるナイスバディのみっこ、そして秘密の趣味を持っている幸代。
このメンバー(幽霊部長以外(笑))が、星間商事の社史を編纂する過程で発見した会社の歴史の「高度成長期の穴」。あの時代、会社が急成長したのには、裏があるのでは・・・?!
そして、彼らが見つけ出した「星間商事アジア(サリメニ共和国)での暗躍」の真実。

な~んて書くと、内部告発とかのシリアスなビジネスミステリー小説みたいですが。全っ然、そ~んなことはありません♪
なんせ、幸代の趣味「BLの同人誌作り」がバレちゃって「社史編纂室でも同人誌を作ってコミケで売るぞ」って話になっちゃうんですから。(社史編纂という会社の正規のお仕事はどうするんだよ・・・とツッコミたくなるのは、私だけじゃないはずだ)
しかも、課長が同人誌用に書いてきた小説はどうも「星間商事の高度成長期の穴」を暗に喩えているようで・・・。
課長が小説でほのめかす会社の裏話、矢田やみっこが編纂室に左遷されてきた理由、OBや関係者が時折漏らす事情など、色々な情報を統合して、「星間商事の高度成長期の穴」に何があったかを知り、その過去を闇に葬ろうとする社内の一派に対抗するため、幸代達は『裏社史』を作って、表の社史にくっつけて配布することに。
その『裏社史』が編纂室の同人誌、ということになったのである。

途中で差し挟まれる、幸代のBL小説の展開が微妙に現実世界にに即してきちゃってるところや、課長のインチキくさい時代小説のいい加減さが、面白いです。しをんさんの作中作(しかも荒唐無稽)って、面白いですねぇ(笑)。妄想力満開、って感じで。本筋の表裏両方の社史編纂のストーリーも、結構笑えるところが多いし・・・。
まあ私は小市民ですので、幸代の描くオリジナルBL小説はちょっとついていけないというか・・・ですが(笑)。
(←おっさん&青年カップルのBLって・・・かなり趣味走ってるんじゃないかと思う私は、腐女子にはなれそうもない)

ただね~、会社に反旗を翻しちゃって大丈夫なのかしら・・・と気になりましたね。まあ、色々手は打っていたし、結局のところ、矢田とみっこはほぼ元の部署へ戻れたし。でも、定年間際の部長は支店へ異動、課長と幸代は社史編纂室から資料室への異動(やっぱり閑職)って事は、やっぱり見せしめ人事なんだと思うのよね~。部長・課長は定年が近いからいい(?!)として、幸代は・・・てことだけど、忙しい職場よりは、趣味に力を入れられるんだから、いいのかな?

幸代が高校生の時から10年以上一緒に同人仲間としてやってきた英里子・実咲のうち、同人活動を認めてくれそうにない男との結婚で実咲が抜けるという話。
幸代の恋人で放浪癖のある洋平と幸代の話。
星間商事の過去と現在、幸代の同人活動の話、幸代の恋人の話、BL同人小説、課長のインチキ小説(笑)、矢田とみっこの恋愛、いろんなエピソードが絡み合いながらも、混乱することなく、幸代の身の回りの慌ただしさや大変さ、年頃の女性としての焦りなんかも、良く伝わってきました。
どっひゃ~!な笑いやトホホだけでなく、物語の〈造り〉が上手いんだなぁ・・・と、思いました。

(2010.06.02 読了)

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この記事へのコメント

苗坊
2010年06月04日 00:27
こんばんわ。TBとカキコありがとうございました^^
本当に面白かったです。カタイタイトルで、しをんさんだから堅い小説ではないだろうとは思っていましたが^^;
本当にいろんなことがありましたが、混乱しないのは、やっぱりしをんさんの物語の創り方が上手いんでしょうね。
って私が言うのはおこがましいですが^^;
2010年06月04日 22:38
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
しをんさんの作品は、それぞれにいろんな方向に面白いので、楽しいですよね♪
エピソードいっぱいなのに、ちゃんとと収まるところが、やっぱりスゴイなぁ!と思います。
コミケの話とか、興味深かったですね!
2010年06月05日 01:17
こちらでもこんばんは♪
私も腐女子にはなれそうもないタイプですが、この小説は普通に面白かったです。
しをんさんは、引き出しの多い人ですよねえ。最近、ますますいろんなジャンルに挑戦なさってて、それが凄いと思います。
2010年06月05日 15:46
面白かったですね~!
タイトルからして堅いミステリかと思って読み始めたんですが、全くそんなことはなくって…。そのギャップにまんまんとハマってしまったような気がします(笑)
しをんさんには、こういう小説をもっと書いて欲しいです~。
2010年06月05日 23:00
>ERIさん、ありがとうございます(^^)。
切ない物語、ただならぬ物語、そうかと思えばどひゃ~!と笑える面白物語、しをんさんてホント、すごいですよね。
腐女子じゃなくても楽しめるのが、良かったです(笑)。

>すずなさん、ありがとうございます(^^)。
企業ミステリとかそんなものかと思いきや(笑)。
しをんさんマジックですなぁ(^_^;)。
作中作も面白かったんで、こういう展開の小説、書いてほしいですね♪
香桑
2010年08月16日 22:28
こんばんは☆
おっしゃる通り、改めて振り返ると沢山の要素が一時に動いていましたね。
恋人との関係、友人との関係、同人誌の作成、社史の作成という本来のお仕事……。
人生これでいいのかな?という幸代のためらいや戸惑いがよく伝わってきました。

課長が最後まで仕事のできなさそうな人だったのが、そこは裏切りがあってもよかったような気もします。最後までああなんだもん。
あんな課長を目の前にして、あんなBLを書いてしまえる腐女子フィルターは、私にもないなぁ。
引退した社員が思い出して書いた恋愛小説。名詞に脚注がついているところが、それっぽくてよかったです。
2010年08月18日 23:33
香桑さん、ありがとうございます(^^)。
正社員→派遣社員→主婦になっても、惑うことしきりでございますよ(笑)。
確かに幸代(しをんさん)の腐女子フィルター、最強ですよね~。
妄想力最大限という感じで、即行敗北いたしました。
june
2010年08月28日 14:43
おもしろかったですねー。しをんさんの趣味全開で楽しんで書いたという感じがしました。

腐女子というのは大っぴらにできるものではないのが辛そうですが、こんなふうに夢中になれるものがあって、仕事とのバランスも自分の中ではちゃんととれているというのはいいなぁと思いました。
2010年08月28日 21:45
juneさん、ありがとうございます(^^)。
もう~しをんさんったら~♪、って感じで、とっても面白かったです。
突然「同人誌を作るぞ」という課長に、渋々ながらも皆が付いていくというのが、案外カリスマあるのこの人?!と笑えましたね。
腐女子の世界も垣間見ることができ、楽しかったです。
たかこ
2010年11月21日 23:37
いやぁ、腐女子の世界、面白かったですね~。エッセイのノリが小説になった感じがしました (^o^)丿
普通にBLの話とかコミケの話も出てくるし、なんだかにやにや。
小説としても面白かったと思います。
2010年11月23日 21:04
たかこさん、ありがとうございます(^^)。
めくるめく、腐女子ワールド(笑)。
しをんさんの本領発揮ですよねぇ~。
作中作の展開が、現実化?中年課長をBL化?
ホント、面白かったですね♪
じゅずじ
2014年09月25日 18:43
どんな会社でも表があれば裏もある。
全部表に出せることはできないと思いますが、まさかそこに女の色香とは・・・
楽しませてもらいました(^^)
2014年09月25日 22:05
じゅずじさん、ありがとうございます(^^)。
いやそれでも、裏表がイロイロ過ぎ・・・!(笑)。
楽しかったです。ニヤニヤしながら読んでたことを、思い出しました♪

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