『GOSICKsⅢ ~秋の花の思い出~』/桜庭一樹 ◎

時は、世界を揺るがす二つの大戦の間の、つかの間の平和の時。架空の小王国、ソヴュール。ヨーロッパの小さな巨人と呼ばれるその国の奥に、貴族の子弟や同盟国からの優秀な留学生が集う、聖マルグリット学園がある。
学園には、欧州最大にして最後の頭脳と呼ばれる〈灰色狼〉・ヴィクトリカ・ド・ブロワと、その最も親しい友人である日本からの留学生・久城一弥がいる。二人は、『GOSICKⅥ 仮面舞踏会の夜』の冒険を経て学園へと戻り、平穏な秋の日々を過ごす。面白い話と花と、ささやかな謎解きと共に。

本編『GOSICK』シリーズでは、大きな事件に巻き込まれ、次第に鳴動し始める世界の奔流に巻き込まれるであろう一弥とヴィクトリカですが、本作『GOSICKsⅢ ~秋の花の思い出~』では、タイトルにもあるように花に関わる物語を一弥が語り、ヴィクトリカがその謎を解き明かす、という穏やかな日常が描かれています。
こののち起こってしまう動乱の日々の前の、静かで愛情(友情)に満ちた輝かしい秋の日々。

本作は、桜庭一樹さんの描く登場人物たちのかわいらしさが際立つ作品だったと思いますねぇ!
ちょっと風邪気味だけど、相変わらず一弥に対して横柄な、そしてビスクドールのように美しいヴィクトリカ。そんなヴィクトリカにやいのやいの言われて、花と書物を持ってお見舞いに来る一弥。そして、一弥のあとを追って迷路花壇に入り込むも、何故か迷いまくってしまうアブリルちゃん。陽気な寮母・ゾフィと元気なセシル先生、そして名もなき一弥の学友たちすら。
もちろん武田日向さんのイラスト(本作も富士見ミステリー文庫版で読みました)が、ホントに可愛らしい!今回は、色々な国の花にまつわる物語が出てきたので、口絵イラストではその国々の衣装を着たヴィクトリカのイラストが・・・たまらなく可愛い!いつものフリルとレースに埋もれるが如きふわふわのヴィクトリカもいいけど、こういうのもいいですな~。

第一話「純潔」
フランス革命に散った、二輪の白薔薇の謎。
第二話「永遠」
幻の紫のチューリップをめぐる、ある一家の鮮やかな手腕。
第三話「幻惑」
マンドラゴラ(幻想植物)と、中国の武将の物語。
第四話「思い出」
エーデルワイスと女実業家の成功譚。
第五話「花びらと梟」
迷路花壇に迷い込んだアブリルが出会ったのは・・・?

第一話から第四話までは、熱で特別寮に籠っているヴィクトリカの為に一弥が選んだ花に関わる物語と、その謎解き。しかし、あのカチコチの日本男児だった一弥が女性の為に花を摘んでくるようになるんだから、少年の成長って素晴らしいわ~!相変わらず、一弥にヘッドロックをかけて「ういやつめ~ういやつめ~!」とぐりぐりしたい、水無月・Rでございます(笑)。今回最初の訪問の時、お菓子も忘れてなかったしね。だんだんヴィクトリカに対しては用意が良くなってきたみたいですな~。
そして、アブリルちゃんですよ。相変わらず、一弥を見かけると「久城くんたら、またヴィクトリカさんのところに行くのね!」と可愛らしいヤキモチで追いかけるんですよ。ああ、なんて報われない、可愛い少女でしょう!本作で、アブリルちゃんのおじいちゃんが冒険家のブラッドリー卿だと、学友に知られました。ブラッドリー卿はソヴュールのご婦人がたに人気が高いそうで、更にアブリルちゃんの人気も上がりそうですね!
そんな、のびやかで健康的で人気者なクラス一の美人に思われてるのに、全然気がつかない一弥って、鈍いなぁもう!でもそこが愛おしい!(笑)。

第五話及びエピローグでアブリルが夜の迷路花壇で出会った人物は、今後のヴィクトリカが利用されるであろう謎について示唆し、退場。本編へ戻ったら、波乱の日々が繰り広げられることが予想されますね・・・。
願わくば、一弥とヴィクトリカが、離れることなく、お互いを守って、共に生きていくことが出来ますように。
そして、ヴィクトリカの頭脳がいかんなく発揮され、一弥がその後押しをしたりトホホだったりし、ブロワ警部のドリル頭が健在でありますように!(←酷い)

(2011.09.13 読了)




水無月・Rの『GOSICK』シリーズ記事
『GOSICK』
『GOSICK Ⅱ ~その罪は名もなき~』
『GOSICK Ⅲ ~青い薔薇の下で~』
『GOSICK Ⅳ ~愚者を代弁せよ~』
『GOSICK Ⅴ ~ベルゼブブの頭蓋~』
『GOSICK Ⅵ ~仮面舞踏会の夜~』
『GOSICK Ⅶ ~薔薇色の人生~』
『GOSICK Ⅷ 上 ~神々の黄昏~』
『GOSICK Ⅷ 下 ~神々の黄昏~』
『GOSICKs ~春来たる死神~』
『GOSICKsⅡ ~夏から遠ざかる列車~』
『GOSICKsⅢ ~秋の花の思い出~』 (本稿)
『GOSICKsⅣ ~冬のサクリファイス~』

『GOSICK RED』
『GOSICK BLUE』
『GOSICK PINK』
『GOSICK GREEN』

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この記事へのコメント

苗坊
2016年08月16日 22:06
こんばんは^^
いやーヴィクトリカも一弥も可愛かったですね~。
短編集ということで本編から少し外れていたので安心して癒されて読みました^^
そしてどのお話もとても面白かったです。
ヴィクトリカの話すオチも良かったですし、大満足でした。
本編を読むのも楽しみです。
2016年08月17日 21:23
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
とってもかわいらしいお話の中に、ちょっぴり毒もあったりして、とても楽しかったです。
ヴィクトリカは本当に頭がいいんだなぁと、しみじみ思う短編集でした。可愛いのはもちろんですけど♪

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