『花の鎖』/湊かなえ ○

湊かなえさんで〈鎖〉ときたら、今までだったら〈悪意の連鎖〉の方なんですが、本作は『花の鎖』です。絡み付き縛り上げるものではなく、花冠を作るような、花同士で編み上げられたような思いの深い、鎖。
どんな鎖かというと、…いやぁ、その関連性に気づくまでが長かった私です。鈍すぎるなぁ(^_^;)。

アカシア商店街のある、小さな地方都市。そこで暮らす、3人の女性たち。
祖母の手術を前に、突然仕事を失ってしまった梨花。すでに亡くなっている梨花の母には、亡くなってのちも毎年大きな花束を贈ってくる相手「K」がいた。
建築設計士の夫を持つ美雪。夫は、町に作られる有名画家の美術館の設計公募に参加するが、成果を会社に奪われる。
絵画講師として、ささやかな暮らしをしている紗月。ある日、学生時代の友人が訪ねてきて、頼みごとをしたいというのだが。

実は読み始めの頃、この3人の関係が全然つかめなくて、そして共通する遠慮がちという性格に、ちょっと飽きてダレてました(^_^;)。割と芯がしっかりしてる、っていうところは結構好感がもててはいたんですけど。
だんだん、これはリンクしてる同時代では・・・ない?ということがわかってきて、この人のお母さんがこの人で、あれでもそうするとこの人はどういう関係?・・・と考えてたら、話がどんどん展開し始めました。
なるほどこういう関係で、「K」とは誰か、何故毎年花を送ってくるのか、3人の女性が何故そういう行動をしているのか、ということがわかってくる。なるほどミステリーですね~。

最後に、関係者一同が集められ「さて」と話が始まるけど、ここは謎解きではなく、3人の女性とその周辺の人々の過ごしてきた日々が明らかになり、梨花は真実を知る。
梨花の祖母の願いも叶えられ、美雪や紗月が体験してきたつらい過去はもちろん解消されるわけではないけれど、梨花と祖母が穏やかな気持ちになれるラストは、湊さんらしくないというと失礼だけど、でもいい終わり方だなと思った。
悪意や悪循環に固められた物語だけでなく、こういう物語もいい、って。

まあ、個人的に言うと、ささいな感情の悪循環とかを描かせたら、湊さんの右に出る作家さんはそうはいまい、って思ってはいるんですけどね(笑)。そして、その悪意や悪循環の、私自身への刺さり具合というか抉られ具合というか、そういう「うわ~嫌だな~心当たりありすぎる~」っていうの、実は嫌いじゃないです。どっちかというと、そういう作風の方が好きかな~、性格悪いですね~(笑)。
もちろん、そういう登場人物が好きという訳ではありません、断じて。
今作でも、美雪の時代および一同会してのシーンでの、夏美の身勝手な言動にはうんざり。
でも、世の中いい人ばっかりじゃないですもんねぇ。こういう人はいるし、自分では自覚ないんですよね。ああヤダヤダ。

さて、ストーリーの中で共通して出てくるものとして、まずはもちろん花なんですが、「梅香堂」のきんつばが私的には注目。ていうか、ただ単においしそうだなぁ、食べたいなぁと、食い意地が張ってるからとも言いますが(笑)。
温かいきんつば、食べたことないです。クリームあんこや栗入りも、美味しそうですね~。

(2012.03.23 読了)

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この記事へのコメント

すずな
2012年03月26日 12:43
最初は3人の女性の関係が分からなくって「なに?なに?どういうこと?」って感じでしたねー。分かった途端、水無月・Rさんが描かれているように話がどんどん展開していきました。
湊作品特有の毒のあるラストじゃなかったのは驚きでしたけど、私はつい涙腺が緩んでしまいました^^;
そして、そして!「きんつば」が美味しそうでしたよねー!!
2012年03月26日 16:15
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
横のつながりかと思ったら、縦のつながりという意外性も良かったですね~。
そう、「きんつば」美味しそうです!作りたてのきんつばが食べられるお店、どこかにないかしらん、なんて思ってしまいました(^_^;)。

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  • 花の鎖(湊かなえ)

    Excerpt: うわー、面白かった。まさか湊作品で泣けるとは! Weblog: Bookworm racked: 2012-03-26 12:34