『金色機械』/恒川光太郎 ◎

え~と、・・・C3PO?!(笑)。
『金色機械』というタイトルから、もっと違うものを想像してたら、ホントまんま金色のヒューマノイドタイプのロボットだったので、ついつい<スター○ォーズ>のあのロボットを思い出して笑ってしまったじゃありませんか。いや、全然あんなコミカルな存在じゃないですけどね、金色様は。
「月の世界から来た」という金色様を主軸に、遊郭の主・熊悟朗と熊悟朗を訪ねてきた不思議な女・遥香の、異能を散りばめた物語です。
かなり分厚いんですけど、それぞれ別々の視点から語られる色んな物語が、どうつながっていくのかと気になって、いいスピードで読み進められました。
いつもの恒川光太郎さんの「彼岸と此岸が交じり合う物語」ではなく、SF調だったけど、とてもよかったです~

殺意や悪意が見える男・熊悟朗は、父親に殺されかけて逃亡し、「極楽園」とも「鬼御殿」とも呼ばれる山賊たちの仲間となる。極楽園の首領・半藤剛毅の一族と代々共に在る「金色様」は、人型なれど食事を必要とせず、つるりとした金色の金属の肌を持ち、常人には全く及ばないとてつもない強さや薄れることのない記憶力などを有している。
ある日、極楽園の一味は何者かの裏切りに遭い、剛毅をはじめとした主要な者たちを失い、剛毅の息子・政嗣は金色様と共に極楽園を出奔する。
年月を経て、極楽園が作った舞柳遊郭の主となった熊悟朗の元に、遥香という女が訪ねてきて「自分を鬼御殿に連れて行け」という。遥香は、幼少の頃より安らぎの死をもたらす手を持ち、幾度となく治る見込みのない老人を彼岸に送り出していた。遥香は自分の出自を探り出した時金色様と巡り会い、そして父母を殺したものを探すために、金色様に連れられ同心の柴本厳信と知り合った。厳信と遥香は夫婦となるが、実は厳信には少年時代の隠された罪があった。その罪故に、職に献身した厳信は、鬼御殿へ向かった後、消息を絶つ。遥香は、夫の行方を探そうとしていたのである。
遥香は金色様との関係をほのめかし、熊悟朗に約束を取り付ける。 

遥香の身代わりで熊悟朗たちとの待ち合わせ場所に現れた、異形の花魁姿の者は、襲い掛かる男共を一瞬にして倒し、熊悟朗を捉えて鬼御殿への案内と人質とする。
鬼御殿へ侵入した金色様と遥香は、互いの能力を駆使し、鬼御殿の戦力を潰し、鬼御殿を燃やし尽くし、去って行った。

金色様とは、何か。
多分、遠い未来から、半藤家(幽禅家)の祖先と共に時間を越えてやってきて、そしてその乗り物の爆発により元の世界に帰ることの出来なくなった、ロボット。ロボットというより、疑似生命体なのだろうか。感情がないようであるような金色様は、ひたすら主家を守り仕えてきた。とてつもなく強く、記憶力分析力共に比類なき身であっても、それは健気と言ってもいいくらいで、長い長い年月の間、主家の人々が何度も何度も代替わりしても、献身的に仕えて、見送ってきた。
切ないなぁ。人ではないのだからそんな感情もないのかもしれないけれど、長い年月さまざまな経験を集積し大事に思う主を何人も見送り、それでも自分は終わりを迎えることなく、ずっと在り続ける。
最大の使命である主家を失い、かといって自分で幕引きをすることもできない金色様と、安らかな死をもたらす手を持つ遥香の出会いは、運命だったのだろうと思う。
遥香の願いをかなえ、主家の仇を討ち、そして二人は旅に出たという。

その旅の果てで、遥香は金色様の体から命を、そっと解き放った。
金色様は、人ではなかったけれど、魂あるものだったのだなと、なんだかとても暖かな気持ちになれた。
金色機械だけれど、ただの機械ではなく、魂あるものだった。それは、金色様にとっても、遥香にとっても、そして金色様とかかわりのあった全ての人々にとっても、大いなる救いだった・・・と思う。
多分、読者の私にとっても。

自分の過失から主家を失い、漠然と存在していた金色様に、一つの願いを差し出した遥香。主家の命令にはなかったけれど、金色様が自分の奥底で持っていた願望「仇討」を実現させてくれそうなその願い。
二人の願いが並んだ時、二人は誓い合う。
金色様は、遥香を裏切らず、尽力するというもの。
遥香は、何を果たそうと果たすまいと、命が燃え尽きる最後の瞬間まで生きる、ということを。

人と人ならぬ者との、深く固い誓い。
死と生とが複雑に絡み合い、色鮮やかに描かれる物語でした。

(2014.03.04 読了)
※とうとう、ウェブリブログもトラックバック機能が無くなってしまいました(T_T)。

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この記事へのコメント

2014年04月29日 12:52
まさか恒川作品にロボットが登場するとは思わなかったのですごーくビックリしました!でも、面白くって、ついつい一気読みしちゃったんですよねぇ(笑)
金色様はロボットなので感情はないと分かってはいても、なんだか切ない気持ちになりました。
2014年04月30日 22:24
すずなさん、ありがとうございます(^^)。
確かに、恒川さんでロボットは予想外でしたよねぇ!
だけど、こんなに切ない物語になるんですね。
最後に、金色様が解き放たれたこと、とても救われた思いがしました。
latifa
2017年09月13日 13:09
こんにちは!水無月・Rさん
凄く長い物語を、うまくまとめられている記事で、感心しました!
凄く分厚い本で、読むのに本が重くて大変でした・・・。
物語も、あっちこっち時代やら舞台やらが変わるので、ついていくのが大変でした。汗

恒川さんの作品は好きなので、これからも追い続けたいです。
2017年09月13日 21:30
latifaさん、ありがとうございます(^^)。
おほめ頂いて、嬉しいのですが…冗長に過ぎる気も(笑)。
読んだのはだいぶん前ですが、金色様の一途に主家の人々を守り続ける健気さを思い出し、切なくなりました。
ラストに救いがあって、本当によかったと思います。
恒川作品は、気持ちに余裕がないと読めないことが多いのでなかなかタイミングが合わないのですが、私も追い続けたいです♪
2019年09月30日 22:47
こんばんは!
ほぼ5年半前にお勧めいただいた本作、
ようやく読みました 笑
いやあ、良かったです!!!
もっと早く読めばよかったと後悔しきりです (^^♪
2019年10月01日 21:39
yoriさん、ありがとうございます(^^)。
お気に召されてよかったです~♪
未だに、金色様の健気で一途で、それでいて主家の命令にないことには一人では踏み出せず、遥香と共にやっと果たせた「仇討ち」への満足感が、切なくてそれでいて温かかったことを思い出します。
恒川さんの作品は、気力体力が必要なので、なかなか手を出せなくて〈読みたい本リスト〉の中で溜まりまくっていますが、折を見て読んでいきたいですねぇ。

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