『フランダースの帽子』/長野まゆみ ○

長野まゆみさんがよく使うモチーフに、異性同士なのによく似た親戚関係(姉妹、兄妹、姉弟、イトコ同士など)というものがあるんですけど、入れ替わったり性別を詐称したりと、境界の危うい感じがちょっと不安をそそりますよね。
そんな不安定な浮遊感の漂う6つの物語を収めた『フランダースの帽子』は、それぞれに掴みどころがなく、なんだか靄の中を迷っているような心地で読んでいました。

「ポンペイのとなり」
弟が姿を消してどれくらい経っただろうか。
「フランダースの帽子」
私の若いころの作品と、再会した。
「シャンゼリゼで」
雑貨店を営むモモコの主宰する読書会。彼女に投げかけられた謎。
「カイロ待ち」
新居のリフォーム作業中に出会ったのは・・・誰だった?
「ノヴァスコシアの雲」
老女たちが時々出入りしている、不思議な家で巡り会った老女。
「伊皿子の犬とパンと種」
記憶を失った男と係わった年上の女たち。真実はどこに?

「ポンペイのとなり」・・・、びっくりしました~(^_^;)。思わず、え?えええ?!って、最初まで戻っちゃいましたよ。いい意味で、ずるいなぁ。
「シャンゼリゼで」の語り手って・・誰だったんでしょ?モモコの読書会の常連参加者だと思ってたんですけど、モモコも知らない事実も知ってたりする・・・。親戚なのかしらと思っても、モモコのプロフィールとは違ってくるし。妙に、気になって、いろいろ考えちゃいました。謎だわ~ホント誰だったんだろう、本筋とは関係ないところでゾワゾワしました。
「ノヴァスコシアの雲」不思議な雲を編むという話をした、あの老女は一体・・・。驚きのオチに思わずニヤニヤしちゃいました。彼女だけでなく、雲の事務所を訪れる老女たちも、なんていうか、したたかで可愛らしくて、素敵ですねぇ。私もそんな老女になれたら嬉しいんですけど。なかなかそう簡単にはいかないんでしょうねぇ…。

どの物語にも、あやふやな関係や立場のなかで、いつの間にか入れ替わる人たちと、それに惑わされる人たちが。私たちの現実がこんなに不確かだったら、結構困ってしまうけど。
物語の中で惑ってる人たちは、案外それを楽しんでいるようにも思えますね。ふわふわと、あいまいな境界を軽々とわたっていく人たちを見ながら、それを許容して一緒にふわりふわりと漂い出す。
私も、白昼夢としてなら、そんな世界を漂ってみてもいいかなぁ…なんて思ってしまいました。リアルでそうなってしまうと色々大変だと思うので、白昼夢限定で(笑)。

(2016.04.30 読了)

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長野まゆみ 文藝春秋発行年月:2016年02月19日 予約締切日:2016年02月17日 ページ数:


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