『この世にたやすい仕事はない』/津村記久子 ○

燃え尽き症候群状態で前職を辞めた主人公・私。
次は穏やかな仕事をという希望を出してハローワークで紹介された仕事は、どれもなんだか不思議なもので…。
うん、確かに『この世にたやすい仕事はない』ですね、津村記久子さん・・・!
たぶん、単純に見ると「たやすそう」な仕事なんだけど、ねぇ(笑)。

しかし、穏やかな仕事を例えて「コラーゲンの抽出を見守るような」って、それはどうなの(^^;)。コラーゲンて、見守ってなきゃ抽出できないものでしたっけ(笑)。いや、よく知らないけど。
どの仕事も、短期なら面白そうだなとは思うけど、長期的に続けるのは飽きそうですよねぇ。ううん・・・飽きる、とは違うかしら。行き詰りそう?息詰まりそう?な感じがします。
一度経験してみたいのが、「大きな森での小屋でのかんたんなしごと」かな。健康に良さそう。

「みはりのしごと」
これ、合法なんですかね(笑)。プライバシーとか…。
「バスのアナウンスのしごと」
広告アナウンスを作るだけでなく、お店も…?
「おかき袋のしごと」
おかき袋に印刷する豆知識、そして素人による仕事乗っ取り?
「路地を訪ねるしごと」
ちょっと怖い。この後も続くんだろうな、ポスター対抗戦。
「大きな森での小屋でのかんたんなしごと」
心穏やかに仕事できそうで、いいんじゃないかと思ったけど?

主人公が、どんな仕事もきちんとやろうとしてるのに、何故か色々とちょっとだけひっかかる出来事があったりして、でも危険な感じはしないのでニヤニヤしながら、見守ってしまいます。
真面目なんだろうなぁ、この人。それに、どの仕事にも順応性高いし、本当の「お仕事力」は高いんだろうな、という感じがよくわかります。
一番最後の小屋でのしごとで、『ケアの解体と再構築』という本を見つけたあたりから、なんとなく主人公の気持ちにざわつきがあるような気がしてたら、やっぱり彼女の前職は…というのがラストにわかって、非常に納得しました。

大事に思ってて、やりがいもあったしやる気もあったけれど、たぶんちょっとした躓きが真面目な彼女の中で少しずつ引っかかって大きくなって、燃え尽きちゃったのだろうなぁ。
だけど、もう一度その仕事に戻ってみようか、っていう気持ちになれてよかったと思いました。

私、正社員を辞めたあと数か月単位で事務派遣の仕事を転々としてたことがありまして、仕事そのものもさることながら、職場の人間関係や会社のなんとなくな不文律とかに慣れるのに結構気力を使ってたことを思い出しました。その辺は、主人公の方が上手くて、そういうところも「出来る人」なんだろうと思えましたね。そんな人がバーンアウト(燃え尽き)した前職って、何だろう?ブラック企業?と思ってましたが、そういう方向性ではなかったですね。

森番?(笑)のしごと、興味あります。森を散策して地図を作り、博物館のチケットに切り取りを入れ、一人でやる仕事。なんだか心穏やかに働けそうですよね。花粉症にならなかったら、彼女はこの仕事を続けてたかしら。
めんつゆ事件には笑いました。一大事なんだ…。でも、うん、一大事かも(笑)。

一番気になったのは、「バスのアナウンスのしごと」の先輩の江里口さんですね。この人に「能力」はあったんでしょうか(笑)。ホントにあったとしたら、すごいチカラですけど。その辺をもっと追及してほしかった気もしますが、まあ、このあたりで押さえておく方が、話は逸れないですもんね(ファンタジーになっちゃうし)。

『この世にたやすい仕事はない』。
どんな仕事も、たやすい面もたやすくない面もあって、きちんとやればやるほどいろんな引っ掛かりが出てきたりして、そことどう折り合っていくか、解決していくか、なんだよなぁ…なんて、しみじみしました。
まあ、それは、仕事だけじゃなくて、日常そのものなのかもしれません。なんて、ちょっと深そうなことも考えたりしました。(←考えただけ)

(2016.10.18 読了)

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この記事へのコメント

苗坊
2016年10月23日 00:42
こんばんは^^
いろんな仕事が出てきましたねぇ。
仕事内容も同僚も一筋縄ではいかないようなものばかりでした。
主人公がどことなく無気力な感じは伝わってきましたが、それでもどの仕事もしっかりこなしていて、真面目な人なんだろうなというのは伝わってきましたよね。
最後は元の自分の仕事に戻ろうと前向きになれて良かったと思いました^^
2016年10月23日 16:06
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
仕事に対して後ろ向きになってた主人公が、妙なお仕事経験をするうちに、もう前を向いてもいいかな…という気になれて、よかったです。
津村さんが考えつく「しごと」の数々には、ニヤニヤさせられました。ちょっとだけなら、やってみたい(笑)。

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