『枝付き干し葡萄とワイングラス』/椰月美智子 〇

夫婦の日常の機微を描いた、短編集。
夫婦関係の破綻を描いたものもあるというのに、何故か淡々と進む物語に「結婚ってこんな感じよね…」と、ちょっと諦念を感じてしまいました。
あっさりとした文体で描かれる『枝付き干し葡萄とワイングラス』、するすると読みながらもちょっと身につまされることもあり、椰月美智子さんという作家さんの怖さを見た気がします。

冒頭で「日常の機微」と書きましたが、夫婦ってそれぞれですよねぇ。
どの物語に出てくる夫婦にも、共感する部分あり全く違う面あり、自分を顧みてモヤモヤしました・・・。

とりあえず、表題の「枝付き干し葡萄とワイングラス」の夫は、面倒ごと後回し過ぎでぶん殴ってやりたかったです。しかも、誠実ぶってるんだか馬鹿正直なんだか、「あの娘と11年過ごしてみないと比べられない」だの「きみの好きにしていいんだよ」だの・・・、どの口が言うか!とほっぺた抓りあげてやりたかったですな。
なのに、なぜかその晩は〈そうなるべくセックスをした〉・・・?え?なんで?そういうもの?
ちょっとここは理解できなかったです・・・。

「甘えび」の夫婦喧嘩や「どじょう」の離婚届け直前の夫婦の様子は、なんだか淡々としてるのにキリキリしました。
結婚って…なんでしょうねぇ。私も結婚して20年は経つのですが、未だによくわかりません(笑)。

結婚話とちょっと外れる「プールサイド小景」、視点がぽんぽん変わっていくので「いったい誰の話で、どういうことなんだ?」と読者としての自分が迷走してたんですが、最後の最後に明かされる視点の正体にビックリ。・・・いや、まあ、確かにそういうことなら、それもありかもしれないけど。
ズルいなぁ、と笑う気持ちになりました。嫌いじゃないです、こういうオチ。

あっさりと読了してから、じわじわと背中が寒くなりました。
どんな夫婦にも、喜びも危機もある。
私としては何の波風もないと思ってる我が家も、何かあるかもしれない。波風はないと書いたけど、小さな不満や諍いはある訳で。
・・・あらあら、まあまあ、なんてこと。

(208.04.08 読了)

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