『弥栄の烏』/阿倍智里 〇

前作『玉依姫』を八咫烏側から描いた、本作『弥栄の烏』
展開が分かっている分、ちょっと物足りなかった気がしますねぇ。もっと違う側面が見られるかと思ってたのですが・・・。
とはいえ、シリーズ第一部完結、ってことでお疲れ様でした。第二部以降も楽しみです、阿倍智里さん!!

最後に大猿が語る八咫烏の真実は、苦かったですね。
忘れることの罪。自分たちだけに良いように事を運び、猿たちを裏切り対立し、そして都合が悪くなると己を構成する記憶を切り捨て忘れ、山内にこもり役目を忘れ去って繁栄を享受していた。その繁栄が危うくなったとき行動を起こそうにも、記憶がないため後手後手に回ってしまった金烏。
そして、大猿たちの深い恨みと復讐に、「神であった時の名前」も取り戻せず、八咫烏の世界の衰退は確定する。
それを知っていても、山内に戻って雪哉が叫んだのは〈弥栄(いやさか)〉。
猿殲滅作戦の冷酷非情もさることながら、八咫烏の将来を知りつつもこのことを叫ぶ雪哉の切なさが、胸に迫りました。
その後もずっと笑うことなく荒んだ顔をしていた雪哉にやっと差した光が、金烏の妃である浜木綿の産んだ姫宮の無垢な笑顔であったこと。
素直に涙を流し、世界が変わったことを知った雪哉。
八咫烏の新しい可能性が見えたような気がしました。

浜木綿の事態を受け止める心の深さ、真赭の薄の懸命さ、御供であり山神の母となった志帆の母性。
女性の芯の強さが、物語を支えていたように思いますね。戦っていたのは男たちであったとしても、戦いの後を支えた女性たちあってこその、最終章だったと思います。
そして、最後を引き継いだ姫宮。
第二部は、この姫宮の物語になるのかな・・・という気がしますね。

浜木綿が若宮に言ったように「ただの烏でいい」という道があるなら、八咫烏としての繁栄は出来なくても、彼らの世界が生き残ることが出来るかもしれませんね。
その場合、人間界との交流がどうなるのか・・・というのが、私としては一番興味があります。
第二部以降、そういう物語が読めたらいいな、と思いました。

(2018.04.21 読了)

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【苗坊の徒然日記】 苗坊さん弥栄の烏 阿倍智里

水無月・Rの〈八咫烏世界シリーズ〉記事
『烏に単は似合わない』
『烏は主を選ばない』
『黄金の烏』
『空棺の烏』
『玉依姫』 
『弥栄の烏』 (本稿)
『八咫烏外伝 烏百花 ~蛍の章~』 ◎


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この記事へのコメント

苗坊
2018年04月23日 22:41
こんばんは。
第1部が終わっちゃいましたねー。
長かったようなあっという間だったような。
でも、壮大なファンタジーを楽しみました。
1冊目はこれを大学生が書いたのか!凄すぎる!
なんて感想だったのがもはや懐かしいです^^;
もうそんなレベルを超えていますよね。大きな一つの世界が生まれていますし。
第2部はどんな世界が広がっているのか、今から楽しみです!
2018年04月24日 21:34
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
第一部完結、いざ第2部の展開はいかに!と楽しみですね。
美しい姫君たちの成長物語からどんどん世界が広がって、因縁や歴史や人々(八咫烏)の思いが深く絡み合う、壮大な物語になりましたね!
登場人物たちを生き生きと描く力のある作家さんですから、これからもホントに楽しみですね♪

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