『おばちゃんたちのいるところ』/松田青子 ◎

松田青子さんは、以前『スタッキング可能』を読んだ時に、なんだかゾワゾワと落ち着かない気分になった作家さん。
でも、本作『おばちゃんたちのいるところ』は、書評を目にしたときに「これはスカッと面白そうかも!」と感じました。そして、大正解。ニヤニヤ、うぷぷと笑いながら、楽しく読ませていただきました!

まあ、最初は「あれ~?思ってたより面白さが足りないかも…」なんて思ってたのですが、連作短編だと気付いてからは、どこでつながる?どういう繋がり?という意外性もあったりして、とても楽しめました。落語や歌舞伎なを下地に、いろんな「おばちゃんたち」の活躍を描く設定もとても面白かったし、すごい勢いで読んじゃいました。
割と有名どころの物語がモチーフになってますが、元ネタを知らなくても全然問題ナシ。かなり大胆に翻案されてますから(笑)。
ところで、『皿屋敷』は私が知ってるのは『番町皿屋敷』の方で、場所は江戸(東京)の九段が舞台だったんですが、播磨の国が舞台の『皿屋敷』もあるんですね~。

連作の要になるのはとある「会社」。
ただ、とても業務内容も広いし、従業員も色々(生きてる人も死んでる人も?)いるので、何をしているどういう会社とは言えないんだけど。それがまた面白い。何度も出てくる汀さん(ていと読む)のひょうひょうとした感じが素敵(笑)。汀さんに採用され、まずは線香の製造ラインで働き始めた、茂青年(のちに白鷺城の姫幽霊担当まで出世?する)の変化も、いい。その茂青年の母親が姪のところに出てくる話もいいし、クズハさんが自分の正体に気付いて伸び伸びしてる話も楽しい。
「彼女ができること」なんて、現代日本に在って欲しい話ですよ!こういうシステムがあったら助かる人、たくさんいると思うんですよねぇ。行政の手もいいけど、幽霊の助力ってのもありだと思います♪いや、ホントにあったら、怖がりな人は泣いて逃げちゃうと思うけど(笑)。

しかし、なんと言っても一番楽しかったのは「楽しそう」ですね(笑)。
先に死んじゃった奥さんが、夫のところにあっけらかんと化けて出るんだけど、死んだときに髪を剃られてるからスキンヘッド。なんかいい感じ、とそのままのファッションでずっと過ごしていて、例の会社で働いている。
実は、そののち死んだその夫もその会社で働いてるんだけど、元妻さんがあまりに楽しそうなので声をかけそびれて、微笑ましい気持ちのまま見守っている。
更に、夫の後妻も実は同じ会社で働いてて(笑)。夫が楽しそうに働いてるから、まあいいかって、見守ってる。
この、あっさりさっぱりした関係が、清々しくていいですよね。私も黙ってニヤニヤしながら、生暖かく見守ってました(笑)。

私も、この会社にスカウトされてみたいわぁ~(笑)。
楽しそうじゃないですか、自分の持ってる能力(かなり特殊?)を生かして、実は密かに世の中の役に立てるなんて、ねぇ。
まあ、残念ながら私には、そんな異能力はなさそうなので、スカウトは来ないと思いますが。

本の表紙にいろんなおばちゃんが描かれてるのですが、ホントにもうみんな楽しそう。まあ、リンゴを素手で割ってる女性に関しては、本人は楽しいかどうか微妙ですが、その驚異的迫力(握力)には、驚きを通り越して笑っちゃいますからねぇ。
ついつい、物語を読みながら、「この話は表紙の誰の話かな」とニヤニヤ。あ、表紙と言いましたが、表紙の裏側っていうんですかね?その部分にも人物が描かれてまして、やっぱり皆さん楽しそうで、いいですなぁ。

何の会社だか結局さっぱりわからないんですが、汀さんや「更科さんたち」や茂青年、いろんなおばちゃんたちが活躍してるこの会社、とっても素敵です。
こんな『おばちゃんたちのいるところ』、いいなぁ。私もまごうことなきま〈おばちゃん〉なので、仲間入りしたかった・・・!

(2018.05.11読了)

おばちゃんたちのいるところ [ 松田青子 ]
楽天ブックス
松田青子 中央公論新社オバチャンタチ ノ イル トコロ マツダ,アオコ 発行年月:2016年12月


楽天市場 by おばちゃんたちのいるところ [ 松田青子 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック