『虚談』/京極夏彦 〇

おやまあ・・・。
京極夏彦さん、とうとう〈投げっぱなしホラー〉からすら、脱却しちゃいましたね。
怖いか怖くないかで問えば、本書『虚談』は、あんまり怖くない。
淡々と〈妙な〉話が語られ、居心地の悪い思いをしてたら、最後の最後に「全部嘘」とか「多分嘘」と言い放って終わり。
どこからどこまでが本当で、どこからが嘘なのか。というより、〈本当にあったこと〉が語られているのか?
全編を通してメインを張る男「僕」の正気はいかに?

それぞれの物語を聞き記すのは、作家であるらしい「僕」という男。
彼の周辺には、奇妙な話がよく持ち込まれる。「僕」は、その奇妙な話をとてもフラットに語る。幽霊なんて存在しないのだ、怖い怖いと思うから、枯れ尾花を見間違うのだ、つまりこの話にも合理的解釈があるのだ・・・きっと。
だが、「僕」の意に反して、その「奇妙な話」は合理性をもって、怪しげな落ち着かなさを垂れ流す。
人は衰弱し、失踪し、死者は動き回り、明晰夢は虚実を入れ替える。

だが。
だが、全部、嘘なのだ。
だから、問題・・・ない・・・か?
本当に?

だって、どこからどこまでが嘘なのだ。
物語そのものが嘘なのか。語り手が嘘をついているのか。
誰にも証明しようがないじゃないか。

ぐるぐると、堂々巡りになってしまう。
追及することもできない。証明することもできない。

・・・。
落ち着かない~(笑)。
いや、フィクションだし~、京極さんだし~、投げっぱなしホラーだし~、だから、いいんだよ、うん。
と、自分を納得させるのに、そんなに時間はかかりませんよ(笑)。
ただね、ただ、「全部、嘘なのだ」という締めはどうなのでしょう(^^;)。
読者にすべてを委ね過ぎじゃないでしょうか、京極さんたら、人が悪いなぁ・・・(笑)。

ちなみに。
一番、リアルにツッコミを入れたかったのは「シノビ」ですね。
とりあえず、天井裏や床下に誰かいそうなら、それは忍者だろうが何だろうが、ストーカーだと思います。
警察呼ばないんなら、その家を出て別の場所で生活をした方が良いかと…。

それから「クラス」「ハウス」の死者が訪ねてきて云々も、何とか手を打った方が良いと思いますね。
でも、もし、もしもですよ、私のところにそういうのが来たとしたら。
うわぁ、どんな手を打てばいいんだろう…(笑)。
お祓い?お祓いって、お寺?神社?教会?・・・あらぁ、困るわぁ。
とりあえず、そういう奇妙なものが私の周りに出没しないことを、祈りましょう。

(2018.05.27 読了)


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