『福袋』/朝井まかて ◎

江戸っ子と言えば、喧嘩っ早くて気風がよくて・・・でも、正反対の面もあったりして。そんな江戸っ子たちの日常を楽しく読みました。
朝井まかてさんの描く江戸っ子の日々は、ひねりが効いていて、ニヤニヤしたりほろりとしたり、まさに『福袋』のタイトル通りの色々な物語の詰め合わせ、お得感満載でした。

どの話も面白かったですねぇ。
「ぞっこん」の主人公、最初は人間かと思ってたらすぐのその正体が〈人ではない物〉であることが分かり、彼=わら栄の御前のかたる物語に惹き込まれました。
修練修練の日々、思い切って太々と描かれる文字、それを目にした人々の気持ちの高揚までが伝わってきて、ドキドキしながら読み進み、筆供養の場から他の二筆と取り上げられ新たな日常がまた始まるだろう・・・とい終わり方にホッと一息つきました。

「莫連あやめ」も、着物やその着こなしを考えるのが大好きな古着屋の娘が、友達を守るために大店のお嬢さんに立ち向かおうとして気圧される展開に、読むこちらまで苦しくなっていたら、思わねところから助けの手が入り、あれよあれよと小気味よく事態が片付く・・・いやぁ、すっきりしましたわ~。
最後の兄夫婦のネタ晴らしにも、ニヤリ。
ストーリー運びも楽しかったのですが、「莫連流」の着こなしの描写が粋で、想像するのが楽しかったです。たぶん、私には着こなせないと思うけど(笑)。

「福袋」のお姉さんが「こんな大喰らいの自分でも弟の役には立った、弟の欲は可愛いものだった」という懐深い言葉に、グッときましたねぇ。途中までは「どんだけ食べるんだ、このお姉さん…」と、ちょっと引き気味だったのですが、いい意味で茫洋としたお姉さんだったんですなぁ。
最後に、全てに裏切られた弟が、ちょっとかわいそうでした(笑)。まあ自業自得ですが。

宵越しの金を持たないのが、江戸っ子の心意気。…ではあるけど、そうじゃなくてしっかり者の商人だっているんですよね。それを描いたのが「ひってん」
貧乏長屋でその日暮らしをしている卯吉と寅次。行き倒れの櫛職人を助けたことから、路上でその櫛を売ることから始まって、商売に興味を持った卯吉と変わらぬ寅次の行き違いに、ちょっと心が痛くなりました。
小物商いに工夫を凝らして「一文安い十九文屋」として商売の手を広げ、昔馴染みともいつの間にか交流が途絶え、少しずついっぱしの商人になった卯吉(卯兵衛)が、かつて貧乏長屋があった場所を訪れると、そこにはもう元の長屋はなく、「何もかも、夢のように消えていた」。
それを悔やむのではなく、とことん野暮に頑張りたいと思う卯兵衛に、私は共感してしまいました。
江戸っ子の刹那的な生き方、うらやましく思う部分もあるけど、私にはつらいなぁってことに、気付かされましたね。

他にもいろいろ言及したくなりますが、長くなりすぎてしまいますので、この辺で(笑)。
帯で担当編集者さんもおススメしてますが、「短編も凄い」ですね♪いろいろ気軽に読める短編集、私もおススメします!

(20018.06.03 読了)


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この記事へのコメント

Todo23
2018年06月04日 16:01
朝井さんに嵌っておられるようで。。。
13冊読まれてますね。私も同数です。この『福袋』を含み11冊がダブりの様です。
子の短編集、どの話も登場人物たちがみんな前向きなのが良かったですね。
ちなみに私が既読で水無月・Rさんが未読の本が『銀の猫』と『雲上雲下』。『銀の猫』も良い本でしたが、ちょっと身につまされるところ(江戸時代の介護がテーマ)があって。。。『雲上雲下』は朝井さんの新境地開拓。良かったですよ。
2018年06月04日 21:59
Todo23さん、ありがとうございます(^^)。
はい~、ハマってますねぇ♪
まかてさんの作品は、読んでて楽しく、背筋が伸びる思いがするので、大好きです。
江戸の市井の人々が、それぞれに一生懸命生きてる様子が、よかったですよね。
『銀の猫』も『雲上雲下』も、リストに入ってます。なかなか順番が回ってきません・・・ははは(^^;)。

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