『異人館画廊 ~贋作師とまぼろしの絵~』/谷瑞穂 〇

谷瑞穂さんの〈異人館画廊〉シリーズの2冊目。
前作『異人館画廊 ~盗まれた絵と謎を読む少女~』に引き続き、図像術で呪われた絵を読み解くことのできる千景が出会うミステリーです。
本作『異人館画廊 ~贋作師とまぼろしの絵~』で彼女は、呪いの絵だと言われるブロンズィーノのまぼろしの絵に絡む事件に、深くかかわっていくことになります。

大きな画廊のパーティーで、ブロンズィーノの絵を元にしたタペストリーを見た千景。そのあと、ブロンズィーノのまぼろしの絵(呪われているという)の噂と様々な贋作が出回っているという噂を聞き、祖母の画廊に集まる稀覯絵画の愛好家グループ・キューブのメンバーと調査を始める。
調査を進めるうちに、焼死した女性の部屋にあった赤く塗りつぶされた絵がブロンズィーノのまぼろしの絵ではないかという疑惑、多くの贋作の出所の調査、千景に届く脅迫状、透磨の元恋人の登場、様々な出来事が同時発生して、そして、収束する。

絵を愛する者、絵を憎む者、絵の呪いに囚われる者、贋作師であることに絶望する者、友人を苦悩から救おうとする者、様々な人間の感情が交錯し、事件は複雑化するわけですが、その収束の仕方にはちょっと疑問が。
贋作師であった女性の死、その女性を脅して自分の新たな作品を作らせていた画家、その画家を脅し友人の汚名を隠そうとした女性の隠蔽行動と脅迫行動、この件・・・公開せずに終わらせちゃっていいのかしら?と。そりゃ、死んだ人より生きてる人の方が重要だけど。う~ん、なんか納得いかないなぁ。

しかしですな、主人公・千景とその幼馴染で画商の透磨のチクチク・ツンツンぶりは、ちょっと疲れるわ~(笑)。どちらも、もうちょっと素直になってもいいんじゃないかい…とオバチャンは思いますのよ。
特に透磨。誘拐され、両親から見捨てられた千景が、当時以前の記憶が曖昧で、かなり仲良かったはずの関係を忘れられてしまった、という恨みがあるとか、両親の死後自分の画廊を続けるため苦労をしたとか、もともとの性格が意地っ張りだとか、そういうのがあるにしても、〈大切に思う少女〉相手にぶっきらぼうすぎる。やきもちの裏返しで「不愉快だ」とか・・・子供か?!と思うわけですよ。
千景もまあ、かなりの依怙地さんだし、人間より絵の方に興味があるような面があるから、ついつい透磨には突っかかってしまう。ただ、前作に比べて、人間味が増した気がしますねぇ。彰や瑠衣に対して愛着を感じているようだし、透磨に対しても本人は認めたがらないけど頼りにしたり心配したりしてるし。
2人がもう少しだけ、素直になってくれると、安心してミステリーや図像学の方に気持ちを傾けて読めるかな・・・と思っています(笑)。

それと、千景の子供の頃の誘拐事件の詳細も、そろそろ知りたいですねぇ。何故誘拐されたのか、何故親から見捨てられたのか、誘拐事件と透磨の関わりは?とか。
ですので、以後の続編を楽しみにしてます。

(2018.06.18 読了)

水無月・Rの〈異人館画廊シリーズ〉記事
『異人館画廊 ~透明な絵と堕天使の誘惑~』

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