『ラメルノエリキサ』/渡辺優 ◎

幼い頃から、負わされた負は必ず〈復讐〉をもって「自分をすっきりさせる」という信条を持つ女子高生、りな。
夜道で刺された彼女は〈絶対に復讐してやる〉と誓い、『ラメルノエリキサ』という謎の言葉を残した犯人を追う。
第28回小説すばる新人賞を受賞した時に、だいぶ話題になりましたよねぇ。読みたい読みたいと思いつつ、〈読みたい本リスト〉の順番がなかなか来ず(笑)。集英社ナツイチに選ばれたので、帰省の新幹線で読もうと購入。
イッキ読みでしたよ、渡辺優さん!!
すっごく、面白かった!!

〈刺された〉という巨大な負を復讐で昇華するための、彼女の奔走が始まる。
同じく切り付けられた女子高生(自分同様可愛い)をお見舞いと称して質問攻めにしに行き、「彼女の分の復讐も上乗せしてやろう」とか考えるあたり、まさに〈復讐の申し子〉(←命名は、りなの姉)。
だけど、その後もう一人刺された女の子が不美人だと、そちらの方にはお見舞い(質問)に行かない辺りは、なんというか女子高生だなぁ…と思ってしまいましたね。

警察には「ラメルノエリキサ」のことは言わず、独自の調査をするりな。
文学少女キャラを演じている友達・立川の協力で、ゲーム好きの男子のふと漏らした「エリキサ」から「ラメルノエリキサ」は「ニコラス・フラメルのエリキサ(エリクサー)=賢者の石」と判明。
第3の切り付け事件の現場へ翌朝侵入し、戻ってきた犯人に再度襲われもする。
たまたま母の勤務先である大学の教授の専門が「錬金術」であることを思い出し、教授の公開講座を訪ねた際「前回も若い男の子が質問に来て・・・」と聞き、りなの中ですべてがつながり、犯人と対峙するためにその自宅を襲撃。

いやぁ、ここまで来たらりなが何をしでかすか、ちょっとドキドキしちゃったじゃないですか。幸いにして、彼女は犯人の涙や謝罪のセリフに醒めてしまって、放置してその家を出る。
アレ?復讐は?と思う間もなく、その家の前に姉の車が。
ここからの姉がもう、ぶっ飛んでいます。
前日「りなちゃん最近ちょっとやりすぎ。犯罪者になるぐらいなら、死んでくれないかな」とりなに言い放った姉は、夏なのに長袖長ズボンに手袋、車にはブルーシートと大きいシャベル。
完璧美少女なお姉ちゃんが、妹が犯した殺人の証拠隠滅のために死体遺棄とか・・・・!!!とんでもない姉妹愛ですね!!
さすがりなの名付け親であり、8歳にして妹に「ハンムラビ法典」の存在を教え、「目には目をだけど、やりすぎちゃダメなの」と言い聞かせただけはある。ただの品行方正美少女じゃないというのが、スゴイですよ・・・!!!
イカレてるのは、りなだけじゃなかった(笑)。

これから、りなは〈負には復讐を〉をどう自分の中で処理していくのでしょう。復讐しきれない事態、今回のような途中で復讐の意思が醒めてしまう事態、割り切れないことが増えてくるのが大人になるっていうこと。そのことはちょっと、気になりました。
あと、〈完璧なママ〉との関係は、どうなるのかしら。ママは「〈自分の娘〉という存在」を愛しているだけ、ともう気が付いているけど大好きでマザコン自覚してるりな、そんなママが大嫌いなお姉ちゃん。
ママも大概、歪んでるなぁ・・・と思いました。怖いわ~、この家族。

りなの復讐はなんだか尻すぼみになってしまったけど、姉妹愛タッグが強烈(笑)すぎて、なんだか読んでた私もスッキリしました。
リズミカルな文章、スピーディーな展開、女子高生らしい短絡な行動と復讐への執念深さ、ぐいぐい読めましたねぇ。行きの新幹線2時間チョイで、読了しちゃいました!!
少女であることの生き辛さや若者の健やかな成長とはちょっと違う路線でしたが、とても楽しめましたねぇ。

(2018.08.03 読了)

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集英社文庫(日本) 渡辺 優 集英社ラメルノエリキサ ワタナベユウ 発行年月:2018年02月20日


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