『絶対正義』/秋吉理香子 ◎

評価は◎ですけどぉ~~~。
でも、読後感は、最悪ですよ・・・秋𠮷理香子さん・・・。
前評判は思いっきり聞いてたんで、覚悟してたんですけど、設定から展開から、もうイヤミス感全開で。
・・・この読後感の酷さは、正直久しぶりです。だけど、グイグイ読まされてしまう。怖ろしい。
『絶対正義』を標榜する範子、範子に助けられたことがあるのに、彼女のその「正義」の犠牲にもなった4人の女たち。
あ~、怖ろしい話だったわ~。しかし、その〈絶対正義の持つ迫力〉は、凄まじい。ということで、評価は◎なのでした・・・。

範子の「正義」は「法に則るもの」であり、温情や社会通念などは法に則さなければ悪である、という言動の頑なさに辟易して、最初の頃は「うわ~いやだ~私には無理~」しか思えなくて、読み進むのがつらかったです・・・。
でも、途中から「彼女たちはどうやって助けられ、そしてどのように彼女の正義に踏みにじられたのか」「彼女たちはどうやって犯行を隠しきったのか」が気になって、グイグイとスピードアップ。

4人はそれぞれ、範子の言動に衝撃を受けつつも「確かに、正義は正しいもんね」と受け入れ、助けられ、感謝し、そして・・・範子の〈絶対正義〉に踏みにじられる。
その過程が、気分悪くて仕方ない。彼女たちがした不正或いは不義は、確かに法に触れるものだったかもしれない。だが、正直、もっとひどいことを平気でしている者はいるし、その正義を振り回すことで傷つくものも多くいるのに。
正義って、単なる基準なのだなぁ・・・、ということに気付かされました。
ああ・・・ホントに今でも気分悪~~い!!

和樹、由美子、理穂、麗香、そして範子は、高校時代の仲良し5人組。高校在学中から範子の「正義の志向」に微妙な違和感を抱き、高校卒業後疎遠になったにもかかわらず、同窓会をきっかけに交友関係を再開してしまう。そして、それぞれに些細な「非正義」を犯してしまい、それを告発すると範子に言われ、切羽詰まってしまう。そのタイミングが同時って言うのが、凄ましすぎる。ご都合な流れだなぁというよりも、4つの正義を同時に全力で執行しようという範子の妄執と言ってもいい、「正義の行使」への執着。
正義を執行した後の範子の恍惚感溢れる表情には、ホントにぞっとしました。

殺したはずの範子から、招待状が届き、疑心暗鬼を抱きながらも証拠はないのだと居直ってその会場に赴いた4人に「範子の死体が見つかった」という事実が伝えられ、そして範子の残した証拠が開示される。
彼女らの罪を告発した者は、獄中の彼女らを訪ね、言い放つ。
「常にわたしが見張っておいてあげますね」と。恍惚の表情で。

・・・・こっっっえぇぇぇぇ~~~。

連綿と続く、頑なに正義を行使することで得る恍惚。連鎖する・・・それは、正義の行使に鼻白んでいた者に、着実に連鎖していった・・・。
何が怖いって、その恍惚が怖いんだよ!!!
〈正義〉に〈狂う〉。なんという言葉の矛盾。
だが、矛盾なくそれを発揮する者の物語があって、そして実際いるかもしれないぐらい、リアルで。
怖い・・・し、嫌だ、絶対。

一つ言えるのは、私だったら高校時代の時点で範子に拒否反応が出て、距離を置くなぁ。仲良し5人組から抜けてでも・・・。それぐらい、範子の〈絶対正義〉は、私にとって、気持ちが悪い。私が、人間として正しくないのかもしれないけど、それでも。
それと、彼女たちに殺される前に、よく誰にも刺されず過ごして来れたな・・・という感心もしましたね(^^;)。

(2018.10.27 読了)

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