『玩具修理者』/小林泰三 △

以前小林泰三さんの『ドロシイ殺し』を読んだ時、ラストで「私は手児奈」と囁いて去って行った人物がいました。
「手児奈」って言ったら「真間の手児奈」だよね?とうとうビル(井森くん)ったら、日本の伝承物語の世界にも迷い込んじゃうわけ?と思ってたら、別作品に「手児奈」が登場するという情報が。
その登場作品が、本作『玩具修理者』に入っている「酔歩する男」です。
ちょっとだけ、〈真間の手児奈〉のシチュエーションを借りてはいましたね。

表題作「玩具修理者」の方は、40ページほどの短編。これがまあ、グロイんですよね(笑)。いや、慣れてきました、小林さんの作品ですし。
壊れたおもちゃをなんでも無料で直してくれる、不気味な玩具修理者。弟を死なせてしまった私は、その玩具修理者の元へ弟を連れて行き直してもらうが、不具合がある度に修正するために玩具修理者に依頼してきたという。「私」と会話していた男は、玩具などの無機物と生物を分解して再編成して動き出すなんておかしい、あり得ないと私に抗議するが、私は自分の左目を見せて、自分も修理されたのだと叫ぶ。
そんな私と男の交わした言葉に、ギャッと驚きました。
そういえば、最初の方にかすかに引っかかる部分はあったけど、あまりにグロテスクな展開にすっかり忘れてました。そりゃ、男も必死に聞き出そうとするわけだわ・・・。
玩具修理者の風体や言動の気持ち悪さ、修理の過程(生体解剖…筋肉を一本ずつほぐすとかイヤだぁぁ)のグロさ、オチの落ち着かない気持ち悪さ。
さすが、第二回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作ですな・・・・。

で、もともとの目的(?)であるところの「酔歩する男」
とあるパブで偶然知り合った男は、自分の親友だったという。しかし自分にはそんな記憶はなく、あまりにも気になってその男の複雑に絡み合う時間認識の話を聞いてしまう。
・・・その、複雑に絡み合う時間認識の話がですね、非常にSFなんですよ!私、相対性理論も量子論も、全然わかんない超絶文系なんですよぅ!主人公・血沼と語り手・小竹田の会話が全然理解できませんでした。理解できないから、どう展開してるかもわからなかったです(笑)。
2人が喪った「手児奈」という女性のためと称して、永遠に繰り返すランダムなタイムリープに疲弊する小竹田の話を疑いながらも受け入れたふりをした血沼は、その話に引きずられたかのように現実認識がおかしくなっていく。
そして一番最後に放たれる「私は手児奈」
――ちょっと待て~い!そこで、それ?結局「手児奈」がどういう存在だったのか、全然わからないじゃないですか~!一生懸命読んできたけど、全然わからないままで終わってしまいました。

しかもね、この「酔歩する男」、章立てというものがほとんどなく、ひたすら小竹田の小難しい語りが続く。キリがいいところが見つからず、力業で読まされてしまい、読了後どっと疲れました・・・。

二編、どちらが好みだったかというと、グロさには辟易するものの、「玩具修理者」の方かな。

(2018.11.18 読了)

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