『異人館画廊 ~幻想庭園と罠のある風景~』/谷瑞恵 〇

図像学の研究者である此花千景と、その祖母が経営する〈異人館画廊〉に集う絵画愛好家仲間・キューブのメンバーが関わる絵画の謎を巡る谷瑞恵さんの物語、〈異人館画廊〉シリーズ
本作『異人館画廊 ~幻想庭園と罠のある風景~』は、その3冊目。
図像術が使われているかもしれないというブリューゲルの絵を調査するために、コレクターの元を訪れた千景と透磨は、ブリューゲルの絵を再現した庭園の謎と対面することになります。

千景が幼少時に誘拐され、そのショックで部分的に記憶を失っているため、当時慕っていたはずの透磨とツンツン・チクチク(まあ2人の性格がどっちもどっちなせいもある)した関係が、相変わらず続いています。
千景は両親に捨てられたという心の傷があり、本作でその父が設計した庭に足りないものが「墜落したイカロス」であることに気付き、父の悪意に翻弄される。
・・・しかし、なんで千景の父親は、ここまで娘を苛もうとするんでしょうか。
絵画に対して敏感な反応をし、あまり人間に興味を示さない変わった子供であったとはいえ、親権放棄するほど厭うなんて、正直異常だと思うんですよね。
誘拐事件ももしかしたら・・・なんて思わざるを得ません。
その辺の事情がはっきりと描かれないので、もうそろそろ少しずつでも明らかにしてくれたらなぁと思います・・・。
オバチャン、千景と透磨のツンツンに疲れて来ちゃったよ。まあ、少しずつほぐれて来てはいるんですけどねぇ。

透磨は「思い出さなくていいから、新たに記憶してくれればいい」的なことを言っていますが、それが優しさなんでしょうか。真実を知り、改めてお互いをどう思うか認識し、関係を深めて行った方が良い・・・なんて思うのは、私が単純なんでしょうかね。

人の心に影響を与えるという図像術。技術も知識も失われ、未だ詳細も分からないそれを研究し続けている千景。今までに2作で出てきた図像術は〈人の心に悪意を芽生えさせる〉ものだったのですが、なんと本作では「特定の体験をした女性にしか効かない」という、特殊なものでした。
そういうことも、あるってことなんですね。奥が深いというか、本当に未知の領域ですね。
しかし、すごく基本的なことなんですけど、本当に図像術って、万人に有効(本作のものは対象者が限られるけど)なんでしょうかね。
そこ、ちょっと疑問なんですよねぇ。
文化的バックボーンが違うんじゃないかなぁ・・・って思うんですよ、西洋と東洋、或いは南米とかアフリカとかね。
象徴するものが、かつて日本に無かったり、形が違ってたりするものもあったりするし…。
まあ、そこを疑ってしまったら、物語が成立しないし、もっと深いものなのかもしれません。

図像術に関してももっと知りたいことが多いし、もちろん千景の過去、千景と透磨との関係の変化も気になります。
キューブがただの「絵画愛好グループ」なのかも、なんだか違う気がするんですよねぇ。その辺のことも知りたいので、続巻を楽しみにしています(現時点でもう2冊あります)。

(2018.12.25 読了)

水無月・Rの〈異人館画廊シリーズ〉記事
『異人館画廊 ~透明な絵と堕天使の誘惑~』

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集英社オレンジ文庫 谷瑞恵 集英社イジンカン ガロウ タニ,ミズエ 発行年月:2015年08月20日


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