『世界はハッピーエンドでできている(3)』/下西屋 ◎(コミックス)

『世界はハッピーエンドでできている(1)』でも『世界はハッピーエンドでできている(2)』でもレビューに書いたけど、登場人物(モノや人外も含む)すべてが幸せになれるラストが、本当に素晴らしい。ただの甘っちょろい簡単な「幸せ」ではなく、それぞれにきちんと踏み込んだ、酸いも甘いも噛み分けた「真っ当な幸せ」が描かれていて、ホントに大好きだ~~!!
下西屋さん、紙書籍での第3巻再出版を決定してくれたcomico編集部の皆さん、ありがとう!!
『世界はハッピーエンドでできている(3)』、しっかりと堪能させていただきました!!

今作で登場するのは、「ロミオとジュリエット」「源氏物語」「オオカミ少年」「番町皿屋敷」「古典ミステリー(ホームズ他
思い切った翻案で、我々読者を爆笑させ、じんわりほっこりさせるのは、もう定番です。それがあるから安心して読めるわけですが、それでもどういう展開になるのかドキドキしてしまうのですよ。素晴らしいですよねぇ。

どの物語も、それぞれに良くて、ホント毎度言ってるのですが、優劣なんぞ付けられないのですよ。

個人的に好きなのは「源氏物語」の紫さん(紫式部)とかぐちゃん(かぐや姫)のオタク仲間の会話ですね。ぽんぽん弾む会話、萌えがダダ漏れでニヤニヤが止まりません!
かと思えば、社内お家騒動(笑)で秘書室のメンバーが総入替えになったあと、前室長・彰子の部下清原さん(清少納言)が来て盛り上がり、置いてけぼりの現室長・定子にそっとコーヒーを淹れながら「室長は若いしパリピじゃないし」と思ってる辺りなんかは、結構切ない感じがしたりして、「働く女のしんどさ」みたいなのがしみじみしてきて、良かったです。
同僚の和泉ちゃん(和泉式部)の「えっぐい実録泥沼不倫ブログ(『和泉式部日記』)」とか、源氏物語に憧れる少女(菅原孝標の娘・『更級日記』著者)がイベントに来て壊れかけるとか、会長夫人(藤原道綱の母)の「愚痴ブログ(『蜻蛉日記』)」とかの古典ネタが出てくるのも好きですねぇ(笑)。
和泉ちゃんの~~『語り』は『騙り』だもの 人は言葉を発明してウソとファンタジーを手に入れたのよ~~(本文より引用)は、下西屋さんの創作というものへの考え方なのでしょうね。

「皿屋敷」の菊ちゃんの目つきの悪さも、なんだか可愛くて好きです。全てを思い出してから、皿にちゃんと謝れる、素直でいい子じゃないですか。割れた皿も首飾りにクラスチェンジ、お皿もちゃんと幸せになってるのが、ホントに素敵ですよねぇ。

「古典ミステリー」は、この作品全体の世界観の根幹にかかわるエピソードや登場人物が出てきます。
それももちろん嬉しくなってしまうことなんですが、ホームズとワトソンの間に在る友情の篤さが素敵です。
ワトソンがロボットだって知って「知らなかった!」と怒ってるホームズですが、ロボットだろうが何だろうが大切な親友だと思ってるのが凄く伝わってきました。
描き下ろしでのホームズのセリフ~~物語ることは知的生命に許された究極の逃避で癒しだ~~(本文より引用)もまた、下西屋さんのプライドであり創作への心意気「そういうものを私は作り上げるのだという表明」なのかな、と思いました。
そんな人の描く物語が読めて、私は嬉しいです。

冒頭にも書きましたが、マンガアプリ「comico」で連載されていたこの作品が2巻まで紙書籍で販売され、3巻目は完全受注生産で一旦絶版していたのが、連載終了に伴い読者の強い要望により、再販され、続く4~6巻も紙書籍での出版がなされたこと、本当にありがたく思っています。電子書籍でもいいんですけどね、どのあたりの話だったかなと探すときなどは、やっぱり紙の方が便利な気がするんですよね~。

そうそう、描き下ろしに「おむすびころりん」「一休さん」「ジャックと豆の木」「青ひげ」の4コマ漫画があるのですが、エリートサラリーマンみたいな一休さんに爆笑しました。どんなムチャ振りにも、常にクールに対処できる一休さん、素敵(笑)。
「青ひげ」の奥さんにも秘密の部屋、も笑わせていただきました。夫婦仲良くて何よりです♪

(2019.11.19 読了)

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