『僕は君を殺せない』/長谷川夕 〇

本の裏表紙の紹介文で、「驚愕のラスト」「二度読み必至」と煽られてたんですが・・・。
う~ん、そこまでじゃなかったかなぁ。ラスト驚愕しなかったし(笑)。
ちなみに、同じく裏表紙に〔問題:だれが「僕」で、だれが「君」でしょう?〕ってあったんですけど…、「僕」は作中で既に自らそう呼称してるし、「君」のほうもなんとなく途中で分かりました。
ミステリー・・・ミステリ―・・・う~ん、ミステリーって何だったっけ。
長谷川夕さん、ごめんなさい!
表題作『僕は君を殺せない』より、3編目の「春の遺書」の方が、私は好きです。

とまあ、いきなり結論を書いてしまいました。
「僕は君を殺せない」もね、「語り手・「おれ」が、ミステリーツアーに参加したら、大量虐殺に巻き込まれ、命からがら逃げだしてきて…」っていう最初の方は良かったんですよ。
もう一人の語り手「僕」と強引な彼女・レイの話で「本家の清瀬」という名前から、「おれ」の話と関連がありそうだな・・・というのがわかり、さてどうつながるか・・・というところからちょっと匂わせすぎちゃって、僕と僕の親友・一馬の立ち位置が分かってしまい、となると「君」は誰かというのもわかっちゃって。
もしかしてこの予測を裏切ってくれるのかな?と読み進めてたら、あっさり正解で。
あれれ~?肩透かしだなぁ・・・と。

逆に気になったのが「おれ」の過去。この過去が本筋?の「清瀬一族虐殺」と全然絡まなかったのが、残念。
それと、「僕」が清瀬家を恨みに思うのはわかったんですが、なんか足りない感(彼の説明があっさりしすぎ?)。更に言うと、一馬が清瀬家に仕掛けたかった理由がよく分からなかった・・・ただのサイコ野郎だったのかしら。うう~ん。

2編目「Aさん」、いきなり冒頭でなかなか汚れが落ちないお風呂場を洗いながら「あの人」を回想しちゃったら、出オチですよ~。
どういうことかわかって読んでたので、Aさんの話をどう読み捌いたらいいのかわからなくて困りました。そしてそのまんまのラスト。
・・・う~ん。う~ん・・・。

でも、3編目の「春の遺書」は、良かったですわ~。
亡くなった祖父の遺品の元に現れる、祖父の死後に自死した祖父の弟(主人公にとっては大叔父)の霊。彼の探しているものを判別した私は、大叔父が祖父の枕もとで記していた日記を読み、彼の住んでいた仙台を訪れ、彼が書いていた手記を読んだという男からその内容のあらましを教えられる。
「・・・誰も悪くなかった」のに、そうなってしまったこと。
そうであっても、弟に生き続けて欲しかった祖父(祖父が大叔父に課したのは、罰や贖罪ではなく、せめて弟には生きていてほしいという希望だったのだと思います)。生き続けていなければならなかった大叔父は、祖父の死後、その意味を見失って、自死した。色々なものを、あちらへ持って行こうとして。
切なくて、美しかったです。
主人公が小桃に似ていたから、大叔父は祖父の死後どうするかを決めたのかもしれない・・・なんて考えてしまいました。そんなことは一切物語には描かれてなくて、私の妄想ですが。そして、祖父が軽井沢の納戸を主人公に残したのは、可愛がっていた孫だからというのに加えて、小桃に似ていたからかもしれません。これも、私の妄想。

「春の遺書」が一番良くて、この掌編がこの本のメインのように感じました。
ただ、これを題名にしちゃうと普通過ぎるのと、3編合わせた短編集のイメージとはちょとズレてきてしまうかもしれませんね。

(2020.02.05 読了)


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