『未来』/湊かなえ 〇

う~~ん。
湊かなえさんの「湊ワールドの集大成!」って帯にあったんですけどね。
本作『未来』は、どうなんでしょうね・・・。
私的には、ちょっと〈湊さんの色〉を強調しすぎというか、なんというか・・・。

水無月・Rは、小市民です。
基本的に、痛いのとか苦しいのとか辛いのとか、ダメなんですよね。救われるシーンが欲しかった・・・。
ラストシーンで、自分たちで自分たちを救うのかも・・・という描かれ方はしてたのですが、たぶんそれが「万感胸に迫るラスト」なんだと思うんですけどね。
どうにも、私には響かなかった・・・。

読んでいて、すごくつらかったです。畳み掛けるように主人公やその周りの女性たちを襲う、「いじめ・虐待・近親相姦・不遇・貧困・不運・・・」がわざとらしすぎる気がしてしまって。いや、きっとこんな状況に苦しんでいる人はいるでしょうし、もっと酷い目に合ってる人もいるんだろうな・・・とは思います。
本作は現実にそういう人たちを救う小説なのか、というとちょっと違う(だって深刻な事態はケースバイケースだと思うのですよ)。

父を癌で亡くし、精神的に不安定な母と二人で暮らす小学生・章子。
同級生からの嫌がらせ、母の不調、時々復調する母の男性問題、絶縁していた父の実家からの干渉。
小学生~中学生に対処できるような事態ではないのに、何とかやり過ごすしかない日々。

章子の同級生、亜里沙。
母は病死し、だらしがなくモラルもない父に振り回され、弟を喪う。

章子と亜里沙の小4の時の担任・篠宮。
教師を辞さざるを得なかった事情と、教え子に送った手紙。

章子の父の我が子へ語る、過去の秘密。

終章で、章子と亜里沙が旅立った〈夢の国〉で、決意したこと。

どのエピソードも、確かに納得は行くし、その展開には違和感はないのだけれど。
「この、傷つけられた子供たちが、もっと前に、真っ当な大人と出会えていたら」「この子供たちに、手を差し伸べて救い出せる存在があったのなら」と思ってしまうのです。
他力本願というなら、そうなのかもしれません。
強い人間なら他者の力を借りずに、苦悩しながらも自ら立ち直る方策を見つけて進んでいくのが、正しいのかもしれない。
でも、人はそんなに強くないし、誰かに助けられることで、光がさすこともあるのではないか。
私だったら、きっとそういう期待を持ってしまう、から。

だから、「精神的に不安定な母親」だけが保護者になってしまう事態を作ってしまった父親を責める気持ちが大きくて、どうにも引っかかっていました。本当は、母親は強い人だと知っていたとしても、それでも、父親なら、もうちょっと娘の助けになる状態を作っておくべきだったと思う。それだけは、納得がいかなかったです。

ここまで書いて、どうして私が「大人が救ってくれる、まで行かなくても助けの手を差し伸べてくれるストーリーだったら」と強く感じてしまうのか、気付いてしまいました。
こういう状態にある子供に手を差し伸べたいとは、思っている。
でも、どうすることが、彼らの助けになるのか、どうやってどこまで踏み込んでいいのか、わからない。
その答えを、知りたかったから。
物語に、それを求めるのか。
そのことに、愕然としてしまいました。そして、抉られました。
私自身の、他力本願な弱さを、思い知らされてしまいました。

(2020.03.11 読了)

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント