『虚実妖怪百物語(序)』/京極夏彦 ◎

私的には京極夏彦さんで〈百物語〉と来たら〈巷説百物語〉シリーズだったんですが、本作『虚実妖怪百物語(序)』は、そちらのシリーズとは別物。
これ、『帝都物語』へのオマージュ・・・なのかしら?史実の人や実在の人物が物語に登場してくるあたり、そんな気も??
な~んてことを言ってますが私、『帝都物語』は高校生ぐらいの頃読んでいたものの、今となっては内容は朧げ、たぶん途中巻までしか読めていないんですけどね・・・(^^;)。

荒俣宏著『帝都物語』の魔人・加藤らしき人物が、砂漠に出現するプロローグ。
一転して、水木しげる大先生(おおせんせい)の元を訪れるカドカワの編集者たちは、大先生の「妖怪が消えている!」のご立腹を目にする。
そうこうするうちに、何故か日本各地で「目に見える」妖怪が出現し、人々を惑わせ不安に陥れ始めるのだが・・・。

作中の水木大先生や京極夏彦、荒俣宏各氏が言うには、「妖怪とは理解しづらい現象を〈不思議なもの〉として思考停止で理解するためのツールであって、こんなにハッキリ誰の目にも見えるものではない」のだそうですよ。
う~ん、確かにまあ、そう言われたらそうなのかもしれない・・・という前提で、この物語を読んでいくことにします。

すると、わかってくるのは「妖怪が誰の目にも見えるというおかしな現象」を誰もが受け入れ、なおかつ「妖怪が出てくるから世相が荒れるのだ」「妖怪関係者を殲滅せよ」という流れが、いかに付和雷同でいい加減なものか、ということですね。
でもねぇ、こういう風潮って、ある気がします。
妖怪騒動と新型肺炎騒動、全く違うものなのに妙にタイムリーに感じてしまうのは、何故なんでしょうねぇ・・・。

いろんな妖怪が出てくるのですが、いちばん笑ったのは新潮社の編集者・青木のところに現れた、猪口暮露(ちょくぼろん)というミニサイズ虚無僧ですね。お猪口被ったミニサイズな虚無僧という時点で、色々ズルイ(笑)のに、それが踊りながら尺八でハイスクールララバイを吹き始めたら、爆笑するしかないじゃないですか・・・!酔ってない時にも出てくるし・・・。
しかも、同じ新潮社の照山に叩き潰され(消され?)ちゃったよ・・・。
「ちょくぼろん」というネーミングも、なんか洋風和菓子っぽくてかわいいと思います(笑)。

それ以外も、一つ目小僧や河童、呼子石、朧車・・・、無節操なほどにいろんな妖怪が現れる。
それを見て慌てた人々が騒ぎを起こして事故が起きたり、世の中に悪影響が出始めるのだが・・・。

しかし、著者の京極さん、各方面に許可は取ってるんでしょうか(笑)。
水木大先生、荒俣御大、民俗学の小松先生、妖怪関係の小説家だけじゃなく、ミステリ系の小説家の面々、そして彼らの担当編集者(実在)などなど・・・。たぶん、京極さんから見たそれぞれのキャラで描いてるんだと思うんですけど、なかなか皆さん素っ頓狂というか、キャラ立ちまくりというか。
作家先生たちの口の悪さとか、妖怪愛とか、読んでいてとっても楽しかったですよ。
まあ、レオ☆若葉の扱いが酷いのはちょっとかわいそうでしたが。でも、何故か途中から私も「レオに対するこの扱いはデフォでOK」と思うようになってしまいました・・・。レオ氏は実在するのかな(笑)。

あれ?あんまり内容に言及してないや(笑)。
まあ、序・破・急の3巻構成の1冊目ですしね。
会話が多くてぽんぽん進むかと思いきや、変な混ぜっ返しをする人がいたりして、会話が迷走したり混ぜっ返しに対しての文句で脱線したりで、読み易かったような、違うような・・・。

とりあえず、この混乱事態を作中京極氏をはじめとする妖怪馬鹿の面々がどう対処していくのか、気になりますねぇ。
幸いにして3冊まとめて図書館から借りてきてますので、続けて読もうと思います。

(2020.03.13 読了)




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