『虚実妖怪百物語(急)』/京極夏彦 ◎

いやもう、なんていうかすごいですよ、京極夏彦さん・・・。
先が気になって気になって、グイグイ読んじゃいました、『虚実妖怪百物語(急)』
そして、読みながらやっぱり気になったのは(京極さん、各方面に許可取ってるんだろうか・・・)でした(笑)。
この作品、権利関係が難しすぎて、映像化できないでしょうねぇ・・・(^^;)。

魔人・加藤は富士の樹海の孔のなかで、仙石原から与党幹事長・大館に乗り換えたダイモンに命じる。この国の楽しみを余裕を苦しみを奪い、滅ぼせと。
政府に捕縛された荒俣御大たちを救うために、村上と平太郎は同じ施設へ連行され、そこへ突っ込んできたのは黒史郎率いる?クトゥルーご一行&重機を操る村松新吉(作家)。
富士山麓の妖怪村には、多数の作家・アニメーターなどのクリエイターたちが集結し、そこへ政府側からの情報をこっそりともって陰陽師が現れる。
黒史郎のクトゥルーは実は狸だったことが発覚し、そのことは伏せられたままクトゥルー信者たちは解散。
そして、荒俣御大・京極・水木大先生の鼓舞の元、妖怪馬鹿その他たちは、一大決起を・・・!

うん、相変わらず、いろんなことが起き過ぎてて、全部拾っていかないと伝わらないのに、拾えるわけがないね(笑)。
とりあえず、ユンボ(大型重機)の先に筆を括りつけて「鬱」という字が書ける村松氏・・・何で作家やってるんだろう。
そして、クトゥルーの正体を化け狸に固定化させちゃった、田中啓文氏・・・梅寿師匠(『笑酔亭梅寿謎解噺』をはじめとする〈笑酔亭梅寿〉シリーズ・・・)はどうしてるかしらと思ってしまいました(笑)。

しかし、邪神・クトゥルーの正体が、大古狸だったとはねぇ・・・。そして、タヌキはおだてに弱いから、キャラを固定させるために幇間体質の作家3人が送り込まれるとか、展開に笑いがありすぎるよ・・・、京極さん。

相変わらず、レオ☆若葉と平太郎の扱いは酷く、そこへ編集者・編集者・似田貝も仲間入りして(ヘタレトリオ)、平山夢明に孔に蹴り落されるし、腰を痛めた為孔落ちに参加しなかった(笑)及川も実はヘタレチームのメンバーだったり、陰陽師作家・夢枕獏氏も登場するし、キャラが大混雑した挙句に、それぞれに見合った役割が与えられて、話の回転速度がどんどん上がっていきます。

でも何と言っても、一番のインパクトは〈巨大3D貞子〉だと思うんですよ。あれは、反則(笑)。面白そうだからとふら~っと現れ、映像版の貞子を呼び出してそのまま退場する鈴木光司・・・。権利関係いいのか、ソレで。原作者だからいいのか。
しかも、超巨大。そのシーン読みながら、私の頭の中では「きっと来る~♪」が大音響で鳴り響いてましたよ!読みながら爆笑しちゃったよ!
でもこれは・・・、実際対面したら、怖いわ。自衛隊の皆さんも逃げ惑うって、しょうがないわ~。

妖怪大行進に色んなキャラが呼び出されて、なんていうか色んな意味で豪華絢爛でしたね(笑)。
絵巻物の伝統系から水木キャラ、アニメ・特撮・・・、何から突っ込んだらいいのかわからなかった…ていうか、ツッコミようがなかったというか(笑)。
荒俣御大も踊っちゃうしさ、妖怪系の人はホントにいい意味で「無限に馬鹿」なんだなぁ(笑)。

そして、平太郎の活躍?によりダイモンは倒され、大団円でみんな露天風呂に浸かって・・・。
が、しかし、妖怪やらキャラやらは、全然引っ込んでない。リアルとフィクションが混在する状態のままで、京極と荒俣御大は気づいてしまうのだ。「ダイモン騒動は壮大なフェイクだった」ということに・・・!
「フィクションがリアルに侵攻してくる」というメタフィクションが作品内に嵐を発生させ、魔人・加藤は荒俣の呼ばわりに応えて現れる。
加藤の嘲笑いにその場にいた全ての人が言い返せなくなったときに、水木大先生が「怠けられるぐらい働けということですよ
ッ!」と大音声で皆を叱咤する・・・!

・・・そっか~、そういえば、水木大先生、お亡くなりになってましたね・・・。
そして、妖怪を描いた絵巻「未来圖」に妖怪やその他モロモロがもどって、フィクションはリアルから切り離され。
しかし、「未来圖」に、もともと描かれてた妖怪だけじゃなく、水木キャラやクトゥルー、學天則ジャイアント(笑)、マンガキャラや怪獣や貞子まで入っちゃってて…いいんだろうか(笑)。しかも、平太郎だけじゃなく、作中では実在してたはずのレオ☆若葉も・・・えぇぇ~いいのかよ(笑)。そして、著者近影のような水木先生。

う~ん。リアルとフィクションとメタフィクションが入り乱れるという、このラストをつくりあげた京極さんて、ホントすごいわ・・・。驚愕しましたわ~。いや、最初に平太郎が出てきた時に、あれれ?とは思ったんですよ私、一応ね。だけど、あまりにも登場人物たちがそれをスルーしてるから、「そういうもの」として受け入れてしまったんですよね。豆腐小僧が出てきて、京極に並んだ時にも、実はあれ?とは思ったんだけど、あまりにも妖怪馬鹿展開になってしまって、流されて・・・。そういうことだったのねぇ、なるほどなぁ。

しかし、レオ☆若葉の扱い、最後まで酷かったなぁ~(笑)。実在だったはずなのに絵巻に封印されてしまったし・・・ははは。

あら~、気が付けばこのレビューの長いこと長いこと。
ロクな内容もないのに(笑)。すみませぬ。

この作品、水木しげる大先生に捧げる、京極さん渾身の「妖怪馬鹿物語」なんでしょうね。
きっと天国で水木大先生も喜んでらっしゃるんじゃないかしら、なんて思います。

(2020.03.21 読了)


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