『正しい女たち』/千早茜 〇

・・・すごく、ゾワゾワする6編。
千早茜さんの作品って、どうしてこうも後ろ暗い心持ちを逆なでするのかしら(笑)。
多分ねぇ・・・〈上っ面キレイに見せてても一皮むけば誰だってドロドロ、だなんて当たり前だよ〉と嘯いてるのが、それすら欺瞞だって気付かされるから。
ああ、抉られる。
本作のタイトル、『正しい女たち』の『正しい』って何なんでしょう。
誰にとって正しいの?どう正しいの?本当は正解なんてないでしょ?・・・そう考えてる私自身が、欺瞞なのだから。

「温室の友情」の中学からの親友4人の変質した友情。
気楽に会いながらも、お互いを値踏みしあってるような、張り合ってるような関係。
でも、憎み合ってるわけじゃなくて、お互いに依存もしてる。
そこが怖い・・・けど、あるあるだなぁと想像つくし、私だってそれに近い関係があったりもするわけですよ。ただまあ、ここまであからさまに描かれると、鼻白んでしまいますね。

「幸福な離婚」の、ミヤとイツキの関係が、切なかったです。
結婚して10年、暮らしの中に降り積もる不満と苛立ち、昇進と転勤を機に4か月半後に離婚を決めたカップル。
離婚を決めてから、逆に穏やかに暮らせるようになった彼らは、期限が決まっているから、お互いに期待をしなくなったから、安らかに過ごせるようになったのでしょう。

「描かれた若さ」の男の思考の中に見え隠れする〈女への侮蔑〉にイライラしながら読んでいました。
最後に画家から「年老いた姿の自分」の絵を渡され、「これを抱えて生きていかなくてはならないのだ」と痛感させられたシーンで、スッキリしましたね。あれだけ「若くない女」を馬鹿にして蔑んできた男が、たった一枚の「醜い中年男」の絵に打ちのめされる。ざまあ見やがれ、・・・なんてね。

6編とも、年月や生活に蝕まれた男女の悲哀が描かれていたように思います。
でも、それを受け入れることが出来た人物は、悲哀だけじゃなくて強さも描き加えられていました。
年月や日々の生活に蝕まれるのは、致し方ないこと。
でも、それを受け入れて自分のものにしていくことが出来るような自分になりたい、カッコつけて欺瞞に陥ることを越えていけたらずっとそっちの方が素敵、なんて思ってしまいました。

(2020.06.10 読了)

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この記事へのコメント

苗坊
2020年06月10日 20:43
こんばんは。
本当に、色んな方向から抉られる作品でしたね^^;
特に独身30代女性に関してはもう自分の事のようでグサグサ刺さりました。勝手に傷ついてました(笑)
色んな物語がありましたけど、色々と抱えた自分の感情をまるっと受け入れてそれを乗り越えていけたらその方がかっこいいですよね。
2020年06月11日 20:20
苗坊さん、ありがとうございます(^^)。
いやもうホント、抉られまくりました(笑)。
日々、蝕まれっぱなしですからねぇ。
でも、それを受け入れて、自分のものにしていけたらいいな、という希望も持てる物語たちでした。