『姑獲鳥の夏』/京極夏彦 ◎

言わずと知れた京極夏彦さんのデビュー作、『姑獲鳥の夏』
これが初めて書いた作品だとか、・・・マジですか、京極さん。
とんでもない量の薀蓄、多分野に渡り繰り広げられる博覧強記・・・、前半なかなかそのペースについて行けず、アワアワしながら読んでおりましたよ。
しかし後半になって、惹き込まれること惹き込まれること!!

何故今更、〈京極堂シリーズ〉かといいますと・・・。
水無月・Rの住むO阪市の図書館、今春のコロナによるステイホーム期間、休館しておりまして。先の見えないステイホーム期間は伸び続け、次第に手元に読む本はなくなり、如何したものかと思った時に「そういえば、京極さんの本は分厚いよね…」「いいタイミングだし、〈京極堂シリーズ〉、そろそろ行くか!」と、ネットで購入。
が、その直後(笑)大量の予約本の到着通知とともに図書館は開館し、まずはそちらを読まねば(次の予約の人が待っている)・・・てな感じで、ズルズルと取り掛かりが遅れてしまいました。

で、読み始めたらばまあ、難しい話のオンパレード。会話がぽんぽん弾むので何とかその勢いで読むものの、教養が足りてないワタクシにはついて行くのが大変でございましたよ。
でも、やっぱり京極堂の〈憑き物落とし〉が始まると、様々に点在していたエピソードが再編され、闇に紛れていた〈事実〉が明らかにされていく。ただし、〈真実〉は容赦なく、すべてを暴く。それによって、今まで不穏を含みながらもなんとか過ごしてきた日々は霧消することもある。

文筆家の関口(語り手・私)は、友人の古書舗店主・京極堂(中善寺)を訪ね、現在自分が記事を書こうとしている「20か月妊娠を続けている妊婦と失踪したその夫」について話をするが、京極は「自分の出番ではない、探偵(榎木戸)に頼め」という。榎木戸を訪ねると、何と榎戸の元に依頼人としてその事件の関係者が現れ、榎木戸と関口は事件の渦中にある久遠寺医院を訪れることなる・・・。

失踪した夫は関口たちの友人・藤牧であり、関口は若き頃藤牧が恋焦がれた少女・久遠寺梗子への手紙を配達したことがあった。のちに藤牧は久遠寺家へ婿入りし久遠寺牧朗となり、妻と諍いを繰り返してはとある研究に没頭するようになる。
ある日、妻と激しく口論した牧朗は内側からしか鍵をかけられない書庫に逃げ込み、翌日その扉を壊した久遠寺家のものたちは牧朗の姿がそこにないことを確認する。衰弱した妻・梗子は妊娠が発覚し、その姉の涼子は「夫の帰りを待て」と梗子を書庫の手前の部屋へ移動させる。

その状況を訪れた榎木戸は「警察を呼べ」と言ってその場を去るが、その真意が分からず拙い捜査を続ける関口。久遠寺家が憑き物筋であることから、京極堂に彼のもう一つの商売〈神主にして憑き物落としの専門家〉による解決を依頼する。
嫌々ながら関口に協力することに決めた京極堂は久遠寺家に乗り込み、久遠寺家の面々を前に、事実確認・認識の更新・そして罪の告発を行う。

う~ん、あらすじを書こうとしたけどまともに書けないなぁ。「土俗民俗学」「論理学」「精神医療学」「宗教学」その他色々な要素が満載で、とてもじゃないけど追いかけきれないし。

京極さんの作品に一貫して主張される、「妖怪・幽霊などというものはない、それを生み出すのは人間の意識・都合よく処理するためのすり替え」が、デビュー作から際立ってますねぇ。
そうなんですよねぇ。それで説明はつくけど、なかなかそれを受け入れられないから、こんな事件になってしまうんですよねぇ。
終盤、久遠寺家の人々とその状況がどんどん崩壊していくのが、切なかったです。仕方ない事ではあったのかもしれないのですけどね。

ネタバレになってしまいますが、少女時代の涼子のなりすましによる夫婦間の認識の食い違い、関口の悔恨、涼子の2重人格…ぐらいは、予測がつきました。
ですが、涼子の人格の多重構造やその中での上下関係、その引き金となったいくつかの事件などは、思い及ばず。
「人間は見たくないものを認識できなくなることがある」というのがトリックなのはずるいのかなぁ、どうなんだろう。

まあ、色々ゴチャゴチャ書いてきましたが、一言で言うと「面白かった!」です
京極堂の〈憑き物落とし〉は、〈人間が見たくなかった事実〉を暴くものではありますが、怒涛の勢いで解決していく状況はスッキリするものでした。切なさや、悔恨も含め、読みごたえがありましたねぇ。
うん、少しずつ読んで行こう、〈京極堂シリーズ〉
京極堂が行う憑き物落としにも興味があるし、京極堂、関口、榎戸、京極堂の妹・敦子、木場刑事、彼らのキャラクターももっと知りたいです。
ああ、〈読みたい本リスト〉は長くなる一方ですなぁ(笑)

(2020.09.22 読了)

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