『コロナと潜水服』/奥田英朗 ◎

ほっこりと優しくて、ちょっとだけホラー(全然怖くないけど)な短編集。
ここ最近の暑さでなんだかイライラしてたのが嘘みたいに心がふんわりとして自然と笑顔になってしまうような、素敵な作品でした♪
奥田英朗さん、ありがとうございました!!
どういう作品かという前情報なしで読み始めたので、『コロナと潜水服』というタイトルに「深刻な話かもしれない・・・」とビクついてましたが、そんなことはなくニヤニヤ笑える、そしていい話でした。

「海の家」
ひと夏の間、海辺の家で過ごすことになった作家が出会った出来事。
「ファイトクラブ」
リストラ瀬戸際社員たちが、終業後に体を鍛え始め、再生する。
「占い師」
奇妙な占い師に祈祷されると、恋人であるプロ野球選手の戦績が乱高下する。
「コロナと潜水服」
濃厚接触者となったかもしれないと、家族からも自主隔離するサラリーマンの奮闘。
「パンダに乗って」
念願の車種「パンダ」を手に入れた男が、カーナビに従って元の持ち主の思い出を巡る。

表題「コロナと潜水服」の主人公が、一生懸命になればなるほど可笑しさが増して来るという展開が、本当に素晴らしかったですよ。
イヤイヤ出掛けた講習会でコロナ濃厚接触者になったのでは?と慌てた主人公が、妻に「防護服」を買ってきてくれと頼むと、雨ガッパすら売切れてて、何故か古道具屋で「潜水服」を入手してくるという(笑)。
お値段、いくらしたんだろう・・・気になるわ~(笑)。
自室から出るときは家の中でもそれを着てトイレやお風呂に行き、子供と外出もして公園で警察に職質されるとか、ニヤニヤが止まりませんでしたよ。
結局は事なきを得たので、よかったですよねぇ。
ただね、そこまで徹底してるように見えて、トイレやお風呂は脱いじゃうわけで、どうなんでしょう。
とはいえ、家族の中で感染者或いはその疑いがある者が出たら、私だってパニックになっちゃうだろうなぁ。

「ファイトクラブ」も、普通のおじさん達が何となく始めたボクシングに、どこからともなく現れるコーチが付き、だんだんおじさん達が活き活きしてきて、最終的には工場に入った泥棒を捕ま得るまでになった、っていうのが本当に素敵。おじさん達カッコいい!!
実はそのコーチは…?っていうのも、全然怖くなくて、ほっこりしました。

「パンダに乗って」も、すごくよかったです。〈パンダ〉とそのカーナビに導かれ、元の持ち主の思い出を巡って彼を知る人物たちと交流する主人公の、優しさと心の余裕。私とよりちょっと上ぐらいで、そんな心の広い対応ができる男性って、すごくいいですよね。
いろいろな思い出を巡って最後にカーナビがブラックアウトしたラストに、なんだかしみじみ「いいお話を読んだなぁ」と心温まりました。

(2021.08.07 読了)

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