『私に付け足されるもの』/長嶋有 △

う~~む。
アラフォー世代の、様々な境遇・立場の女性たちの日常を描いた短編集。
長嶋有さんは、初めて読む作家さん・・・だと思います。アンソロジーとかでも読んだことないんじゃないかな。
残念ながら本作『私に付け足されるもの』 は、アラフィフ真っただ中の私には、あんまり響かなかったです。
年代の問題ではない気がするけど。 

たぶん、日常過ぎるんですよね。割と普通な日々を送ってる彼女たちが、ちょっとだけ違う状況に出会ったり、自分だけが何だか引っかかるような出来事があったり、というストーリーが続くのですよ。
私自身が平々凡々な日常を過ごしてるもんですから、共感が湧くかと思いきや「いやもっとなんか、ドラマチックなことないんかい」というツッコミを入れてしまったんですねぇ。つくづく、〈物語性〉に飢えているんですね、ワタクシ(笑)。

そんな中で、気になった1編が「瀬名川蓮子に付け足されるもの」。
午前中にいやなことがあって腹を立てていたから、足の形を計測して選ぶランニングシューズ(高額)を買い、翌日から近所の公園を走り始めた蓮子。
シューズから始まって、ウェア、マフラータオル、サングラスと装備を付け足しながら、だんだん走ることに慣れたある日、近所の人たちが集まって近所の公園から迷い出てしまった鴨の親子をどうにかしようというシーンに遭遇する。
ちょっとその集まりに参加してから、途中退場して走りに行き、戻ってきたところで、その鴨の親子のかわいそうな結末を聞いてしまう。
帰宅した蓮子は、「銀座のカフェで話し合って以来、帰宅しない夫」のことをふと思い出す。
そして、すぐにもう思い出すことがなくなり、代わりにスマートウォッチを自分に付け足そう、と思い立つのだった。
蓮子がランニングを始めて、だんだん慣れて・・という描写に、鴨の親子のエピソードが加わって、ってところまでは「ありゃ、また日常系か~」なんて思ってたんだけど、夫が「帰ってこない」という一行が入ったところで、蓮子の日常がガラッと変わって、びっくり。
夫と最後に話し合って、それに腹が立ったからランニングシューズを買って走り始め、どんどん彼女には装備が付け足されていく。
ふと夫を思い出しても、そんなことより桃っと、自分に新しい「未来っぽい未来」を付加することの方が、彼女にとって大事なのだということが、なんだか目覚ましいな、ひっそりと勇ましいな、と思えたのでした。

(2021.09.30 読了)

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この記事へのコメント

2021年10月02日 13:31
>「いやもっとなんか、ドラマチックなことないんかい」
あはは、良く判ります。
長嶋有と保坂和志、私の知ってる『何も起きない」2大巨頭。
この作品は読んでないし、そして最近は長嶋作品自身に手を出してないけど、調べたら長嶋さんは9冊も読んでました(ちなみに保坂さんは2冊でダウン)。そしてどの感想を見てもは「何も起きない」とか「盛り上がりに欠ける」と書いてますね。でも、長嶋さんは私ににとってどこか波長が合って時々手にしたくなる作家さんらしいのです。
http://todo23.g1.xrea.com/book/keyword.html?key=%E9%95%B7%E5%B6%8B%E3%80%80%E6%9C%89
2021年10月02日 19:31
todo23さん、ありがとうございます(^^)。
どうも「何も起きない」ことに、「なんかあってくれよ!」と突っ込みたくなる性分でして。
長嶋有さんは、もうちょっと〈私の人間が出来てから〉(そんな日は来るのだろうか・・・)読もうかな(笑)。