『ユージニア』/恩田陸 ◎

恩田陸は、ひたひたと、怖い。
『ユージニア』は、最初は大量毒殺事件のルポだった。
なのに途中から、気が付けばだんだん「大量毒殺の生き残りの盲目の少女の犯行」検証となっていくのだ。

‘~~ユージニア、私のユージニア
 私はあなたと巡りあうために、
 ずっと一人で旅を続けてきた。
 遠い夜明けに震えた日々も、
 今日で終わりを告げる
 ~~~‘

冒頭に掲げられたこの詩の謎は、作中何度も疑問符として現れ、最後から1つ前の章(生き残りの女性が語る章)でに誰によって作られたかが描かれる。謎が解けるというよりも、詩の発生が語られることで。
過去、大量毒殺の現場に居合わせた少女が、大学の卒論のために、事件を知る人を訊ね、文章化し、本(「忘れられた祝祭」)として発行した。
その十数年後、少女の兄の友人が、事件と「忘れたられた祝祭」を追って、取材を始める。取材を重ねるうちに、「大量毒殺を裏で操っていたのは、生き残りの少女なのではないか?」という疑惑が生まれる。だが物証もなく、本人にぶつかってみても、はかばかしい答えは得られなかった。「生き残りの少女」が事件を裏で操っていたのは、ほぼ確かである。しかし、その動機があいまい。
だが、大量毒殺事件は確かに起こった。どうやって、操っていたかは最後の2章で(確証はないまま)語られる。

簡単に書くと、こうなんだけど、各章の取材に答える関係者の話は「忘れられた祝祭」の取材なのか、十数年後の別人の取材なのかが分からず、読者を迷わせる。(実際水無月・Rはこんぐらがりました。)

色々な謎が入り組み、しかも明かされることがないまま、物語は終わってしまう。
「生き残りの少女は何故大量毒殺を図ったのか?」「「忘れられた祝祭」を書いた女性が公園で死んだのは他殺なのか?」「取材をしていた女性は何を求め、何故取材していたか」・・・etc。
オチを求める派の水無月・Rとしては、物足りない気持ちがしなくもない。
だが、このひたひたと寄せてくる怖さ、コレは、◎に値すると思う。

(2007.2.13 読了)

ユージニア
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著者:恩田陸出版社:角川書店/角川グループパブリッサイズ:単行本ページ数:444p発行年月:2005


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