『螺鈿迷宮』/海堂尊 ◎

海堂尊、初読みです。実を言うと、「現役のお医者さんでベストセラー作家」という肩書きの凄さにちょっとビビっておりまして、いきなり『バチスタ・シリーズ』を読むのがためらわれ、でも読んでみたいよ~、というちゃっちいジレンマの妥協点が、この『螺鈿迷宮』だったのでした。
しかし、失敗したな~、『バチスタ』読んでからの方が楽しめたかも・・・トホホ。

あの(と言っても水無月・Rは読んでないんだけど)【バチスタ・スキャンダル】から1年半・・・。
桜宮市の古い病院「碧翠院桜宮病院」に潜入取材することになった、落ちこぼれ医学生・天馬大吉。最初はボランティアのはずが、トロい看護婦・姫宮のおかげで大けがをし、患者になってしまう。患者の立場から、「碧翠院」と「桜宮病院」を調べるうちに、どんどん患者が死んでいく。予告され、特別室に移ると、翌朝に死んでしまう患者たち。桜宮家の居住区である東塔の5階には桜宮家長女・葵の保存処理をした死体があり、怪しい皮膚科医・白鳥が大吉の所属する東城大学医学部の回し者で、桜宮家からはすみれ先生が逆にスパイに行ってたり、終末医療は実は小百合先生による自殺幇助だったり、陰には東城大学と桜宮病院の光と影の関係やバチスタ・スキャンダルから巻起こった潰し合い作戦がからみあい、・・・・。

いや~。すみません、全然あらすじになりません。いろんな因縁が絡み合ったり、白鳥の口八丁が炸裂したり、桜宮病院院長・巌雄の説教があったりと、とにかく色々あって、まとめきれません…。
ただ、やっぱり医療従事者が組織立って自殺幇助、はまずいんじゃないかなぁ~と。デス・コントロール・・・表面的には異様なまでに理路整然としてるけど、だけど人間の生命はそんな簡単に「処理」しちゃっていいものではないと思うのですよ。小百合・すみれの言う事も一理あるのですが。

医療技術の話もちょっと出てきましたが、素人にも何とかわかる範囲で分からなくなった時はスルーしても大丈夫、みたいな(←いや、大丈夫じゃないだろう、水無月・R)感じで、恐れていた難しさがなく、物語は読みやすかったです。

アンラッキー・トルネードな大吉、ミス・ドミノ(失敗の連鎖)の姫宮が繰り広げる、不運の連続には笑いました。しかも、とどめが、処置の手際はいいけど医学書を見せながら診断するという技術と口が一致しない医者の白鳥の登場。怪しい、怪しすぎる・・・(笑)。
更に、病院設備が戦時軍に徴集される予定で怪しげな改築をしたから、帝国陸軍仕込みのからくり(抜け道や自爆装置)があるとか、うおぉ、すっごい設定だな~。

最後に、桜宮病院(でんでん虫)炎上から脱出したのが「すみれ」ではなく「小百合」であることが示唆されてます。もしかしたら、白鳥はそれに気が付いてるのかも。「詰めが甘いすみれ」ではなく「死の女王小百合」が東城大学医学部の爆弾の起爆剤を持ったまま。これは、バチスタ・シリーズへの導入部なの?みたいな感じを受けました。医院長・巌雄の予言によれば、白鳥は「桜宮の血脈に叩きのめされて、泣きべそをかく」事になるそうですから、今後きっと小百合VS白鳥の戦いがあるのでは…。その物語が出てくる前に、バチスタシリーズを読んじゃわないとなぁ~。

(2007.07.20 読了)
螺鈿迷宮
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著者:海堂尊出版社:角川書店/角川グループパブリッサイズ:単行本ページ数:389p発行年月:2006


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