『郷愁~サウダーデ~』/内海隆一郎 ○

書評で「優しい寂しさ」云々といっていたような(かなり記憶が怪しい・・・)、『郷愁~サウダーデ~
老境に差し掛かった男たちが、鬱屈した心境から、一歩前へ踏み出す。その方法はそれぞれ。踏み出すといっても、大きく出る男もいれば、すり足で半歩という男もいる。

優しさの中に寂しさが漂う、9章の短編からなる物語。ていねいに書きこまれた男たちの心情が、非常に切々とせまってきます。ですが、共感がイマイチ・・・いや、単に老境に差し掛かった男性というものに、全然想像力が働かない水無月・Rが悪いんだけど・・・。

9編の中で一番良かったのは、「冬の星」。
池袋あたりでカツアゲをしながらダラダラ生きていた真司は、ある日「獲物」に反撃された末に、なぜか一緒に焼き肉屋に行くことに。岩本と名乗るその男はボクシングの元・日本チャンピオン。へらへらと笑う岩本と会ううちに、まっとうな道を歩き始め、1年。待ち合わせに来ない岩本の携帯に電話すると、妻が出て、「岩本は胃ガンで死にました。あなたと会えて楽しかったみたい・・・。」と言う。
あ・・・こう書くと「老境に差し掛かった男が一歩を踏み出す話」ではないぞ・・・。いや、岩本は真司と出会う前から胃ガンで、すでに一歩を踏み出していたわけで(←こじつけ)。踏み出してたのは、真司の方か。やっぱり若者の方が共感持てるのかな・・・。

(2007.07.22 読了)

郷愁

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