『ハル、ハル、ハル』/古川日出男 ◎

~~この物語はきみが読んできた全部の物語の続編だ。ノワールでもいい。家族小説でもいい。ただただ疾走しているロード・ノベルでも。いいか。もしも物語がこの現実ってやつを映し出すとしたら、かりにそうだとしたら。そこに種別(ジャンル)なんてないんだよ。~~ (本文冒頭より引用)
頭をわしづかみにされ、ガンガンに揺さぶられ、そして侵略された。・・・なんだ、これは?!いったい何が起こった?
3人の「ハル」による、「ハル」たちの為だけの、革命なのか?それを読んでいる私は部外者だ。なのに、何故私は、こんなに混乱する?
物語が疾走し、登場人物たちは踊り叫び、勝手勝手に読者の意向など関係なく収束するストーリー。一気に読み切った。驚愕した。
「すごい小説」を読みたい方、是非に読んでください。
この作品は、とんでもないです。

いやぁ~、ビックリしましたわ~。以前『ルート350』を読んだ時も、なんだかスゴイかも・・・と思っていた古川日出男さんですが、今作ではその時感じた片鱗が、むくりと起き上がって、ガッシリ頭をつかまれたって感じです。しかも、これはまだ全貌を現してない、という気がしますね。まだまだ、やってくれそうです。

「ハル、ハル、ハル」「スローモーション」「8ドッグズ」の3篇からなる、この『ハル、ハル、ハル』
は、圧倒的なまでの力強さにあふれている。案外内容を要略するのは簡単そうなんだけど、やりません。そんなこと、この物語たちには意味がないから。古川さんが書いた簡潔で鋭い言葉で読まなければ、この脳天にギリギリ刺し込んでくるような、物語の緊迫感が伝わらないと思うから。

あとがき、なのでしょうか。3篇が終わった後に書いてある文章を読んで納得しました。
~~二〇〇五年十一月から僕は完全に新しい階梯に入った。~意図したのは‘生きている文章‘であり、はっきりとした‘世間との対決姿勢‘だ。~~ (あとがきより引用)
そうか『ルート350』よりも、古川さんは進化したんだ。確かに、明らかに違う。文章がより鮮明に、ストーリーが更に力強くなっている。読んでいるだけで、暴力的なレベルで引き込まれ、ストーリーと一緒に混乱した末に、登場人物たちだけが先に進んでしまう、そんな感じがしました。登場人物達が進んでいく先は、全く一般的な道ではなくてどちらかというとダークに外れた方向。なのに、爽快感が溢れている。置いて行かれた自分は、取り残されたことにほっとしながらも、少しだけ残念な気がした。

あ~う~。最近、ホント自分の文章力が、情けないです。何を書きたいのか、まとまりが着きません・・・。全然「読書記録」になってないじゃん。
言えることは、これはすごい作品だ~!という事です。

・・・・。いや、さすがにこれで終わりじゃまずいだろ。
てな訳で、小ネタを一つ。一番良かったのは「ハル、ハル、ハル」だけど、その中で三葉瑠が「都立公園の緑地帯は両足を広げて倒れている人間の形をしている」と独白する部分がある。それが、この物語のすべてを含んでる気がした。もちろんそのシーンにはハル・シニア(タクシー運転手)は影も形も出てこないんだけどね。

あ、それともう一つ。「ハル、ハル、ハル」の最後に
~~そして物語に終わりはない。全部の物語の続編にだって。~世界は種別(ジャンル)を喪失してハルたち三人の物語はたった一つの現実に変わる。~~ (本文より引用)
とあります。そうか、この物語は、すべての物語の続編で、また別の物語もこの後に続く。だけどこの物語は独立している。そんなことが、ストンと落ちてきました。晴臣が拳銃で最初にしたことや、3人でやったコンビニ強盗のことや、原田悟の別れた妻子のことや、三葉瑠の家出癖のことや、収まりがつかないことは沢山あるけど、この「3人のハルの物語」には関係がない、と。
すごいです。これは。

(2008.02.06 読了)

ハル、ハル、ハル
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著者:古川日出男出版社:河出書房新社サイズ:単行本ページ数:201p発行年月:2007年07月この著


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