『ピカルディの薔薇』/津原泰水 ○

妖物引き寄せ系な男・猿渡。『蘆屋家の崩壊』で三十路を過ぎても定職についていなかったこの男が、文筆業に職を定め、それでも怪しげな事態に巻き込まれる物語である。
しかし・・・津原泰水さんは、ゲテモノ喰いに絡むお話が好きなんでしょうかね・・・。
ちょっと・・・て言うか、かなり私は苦手です

猿渡に、とある男から手紙が来る。一人目の妻を餓死で亡くし、二人目の妻も縊死で亡くした。庭に咲き狂うおしろい花。男の狡さが2人の女を狂わせたのか、花が狂気を呼んだのか。2人目の妻はおしろい花の種から出る粉で「夕化粧」していた。「抜いても抜いてもまた出てくるから」(←怖いッ)
脳障害のある人形作家・星と知り合う猿渡。現実と微妙にずれている星。彼の現実世界との繋がりの拠り所は・・・。もしそれが、最初から誤りであったとしたら。表題作 『ピカルディの薔薇』
伯爵と招待された、南国のとある島。島には巨大な寄居虫(やどかり)が徘徊している。その島の伝説に執り付かれている女オーナー・白鳥。伝説の木の気根に囚われた白鳥の行く末は。「籠中花」
白鳥に饗応してもらった海亀の肉の思い出から、白鳥の食い道楽の話から、伯爵と彼女のゲテモノ食いについて話に花が咲く。その白鳥が「私にだってお料理できる」と言わしめた「フルーツ白玉」の微笑ましさとは対照的な、その内容。
平太郎という男の夢を、三十夜続けて見る、猿渡。平太郎の妹・月埜と猿渡は知り合いだったのだが。その「三十夜」が終わったとき・・・。
どうも猿渡は結婚したようである。執筆に疲れて骨董品屋へ現実逃避しに行くと、そこで出会ったのは幻のウクレレ。女房を質に入れてでも、手に入れたい・・・を実行した男とそのウクレレの物語は。「甘い風」
日本占領下の満州は新京で、オーケストラ指揮者・伯爵と邂逅を果たす猿渡。猿渡は新京滞在中に、奇妙な貴族の邸宅で夢うつつの体験をする。「新京異聞」

最後の「新京異聞」は、本編猿渡の過去の親族で現在への因縁話なのか?それとも・・・パラレルワールドなのか。どちらでもいいけれど、フワフワした夢幻と酒に走ってしまうあたり、やっぱり猿渡だな・・・なんでそんなに妖物引き寄せ系なんだろう(笑)。

しかしですね。
「フルーツ白玉」に出てくる「イヌイットの発酵食品キビャック」とか、「雀の丸焼き」とか、「ザリガニの共食い生き残りを食べる」話とか、「吸血蛭のソーセージ」とか・・・。ううむ~である。
前作『蘆屋家の崩壊』でも、虫とか蟹とか、グロイものがいっぱい出てきたんですけど、今回も・・・。しかもそれを食べるんですか・・・勘弁して下さい。
巨大ヤドカリが小型犬を襲った話とかさ、そんなのも怖いっちゅーの!
水無月・Rはとことん、小心者なんですよ!(←居直り)

物語の展開は、なかなかに幻想的だし、猿渡の経験も面白いのだけど。
ただ・・・残念ながら、グロさがちょっと・・・。なのでした。

(2008.09.21 読了)
ピカルディの薔薇
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著者:津原泰水出版社:集英社サイズ:単行本ページ数:245p発行年月:2006年11月この著者の新着


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