『テンペスト』上(若夏(うりずん)の巻)/池上永一 ◎

いや~、重厚にして壮大で、絢爛豪華な歴史絵巻でございました。(←まだ上巻しか読了してないくせに何を言う。)
え?この物語は水無月・Rのキャラにあわないって?・・・ふふふ。そうですともさ。読む予定はなかったですよ。とある新聞広告に有川浩さんの絶賛コメントが載ってなかったらね(笑)。ああ、水無月・Rったら(笑)!
ちなみに後で、「有川さんの非公式公認サイト」である有川 浩、応援結晶さんで調べましたところ、『週刊文春』(9/18号)でこの『テンペスト』の書評を書いてらっしゃるようですね。
池上永一さんは、初読みです。「読みたい本リスト」に『シャングリ・ラ』は入ってるんですけどね~。その前に、こちらが先なのでありますよ(笑)。

とりあえず、上巻・「若夏の巻」を読了したのですが・・・。
すいません、真っ先に吐き出させていただきます!
うう~、清国宦官・徐丁垓、気持ち悪すぎる・・・・。宦官になったら、人体はそういう器官変容が可能なんですか?!気持ち悪すぎる・・・。蛇みたいに自在に動き回り、伸び、太く硬くなる、・・・舌。その舌で女を凌辱することが可能だと?!うぇぇ~、想像もしたくないです。気持ち悪すぎる。グロいとかそういう問題ですらなく!生理的嫌悪ですよ!うげぇぇ~。しかも、すっごく頭がいいのに、それを悪意でしか利用できず、人を貶めることになんら躊躇がない。
上巻のうちに成敗されたので、良かったよ・・・こんなのがあちこちに出没するんなら、気持ち悪くて読めないもん。

斜陽の輝きを増す、琉球王朝。上級役人になるための試験「科試」を受けることが出来るのは男子のみ。しかし、孫家の長女・真鶴は幼少より学問に傾倒し、科試を受けられないことに絶望感を抱いていた。養子である義兄・嗣勇が失踪した時、父の悲願「孫家から科試合格者を」に「宦官を養子にもらったことにして、孫寧温として試験を受けさせてほしい」と申し出、科試を受け、合格率0.1%を潜り抜け、史上最年少者(十三歳)として見事合格する。
同じ科試合格者の喜舎場朝薫と共に、評定所筆者となり、国政を司る。幼少時に宣教者に学んだ13カ国語を操り、琉球の国土を思って日々政策を検討し、辣腕をふるう寧温。琉球は、清国冊封体制と薩摩藩の武力支配の二重体制を強いられ、海洋国家としての独立性が揺らいでいた。時は幕末、列強もアジアの制海権を得ようと、琉球に押し寄せてくる。更に、年若く美貌を持つ寧温に降りかかるのは、外交難事だけではなく、宮廷内の嫉妬や改革の必要性。後宮にも入れる宦官と言う性を利用して後宮のあり方を正したり、清国・薩摩・列強国家との交渉、財政改革・・・。寧温の鮮やかな手腕が、非常に印象的である。
しかし、真鶴という「女性性」を棄てたはずが、薩摩藩士・朝倉雅博に心ひかれ、葛藤する寧温。徐丁垓に身を汚され、策に嵌められ、王宮から島流しになってしまうが・・・。

真鶴が生まれた時、琉球に眠っていた龍があばれだし、赤子の真鶴の身に入ったという。龍は、琉球の守り神。そして父が明かした「孫家は第一尚氏の末裔である」という真実。真鶴は、琉球を救うことが出来るのか。

琉球王朝と言えば、原色がまぶしい、煌びやかな異国情緒漂う、ちょっと頽廃の気配も感じられるというイメージでしたが、二重体制の中を生き残るには「美と教養」を高める必要があったのですねぇ。

ところで水無月・R、基本的にキャラ読みなので、たいていメインキャラに感情移入して読むことが多いのですが、今回は主人公・真鶴(寧温)に入れ込んでません。といっても真鶴が嫌いというわけではないのです。どちらかというと、「女の身でありながら男の世界で立身出世を果たす」という王道な物語展開、そして真鶴の人間性(国土と国民を大事にする)や、頭脳の明晰さに非常に好感を持てるのですが。
壮大な物語であることが最初からインプットされてたせいか、(私にしては非常に珍しく)客観的に、個々人というよりは「琉球王朝」全体の物語として捉えてて、「斜陽の琉球王朝がどうなっていくのか」に興味を持って読み進めております。

とはいえ、やっぱり脇キャラ好きな私と致しましては、見逃せない人物が(笑)
トホホ属性全開の伊達男・儀間親雲上(ぎまペーチン)。寧温や朝薫と同じ科試合格者なのに、配属先は泡盛の蔵の管理・・・(^_^;)。でも、非常事態に寧温に協力する、王朝を真摯に思う面も持っていて、なかなかイケている男なのである。私的には神童と呼ばれたイイコちゃんの朝薫より、儀間親雲上の方が好きだな~、味があるもの。

宮廷舞踊家(女形であり稚児)として宮中に登った真鶴の兄・嗣勇も、寧温の私塾時代の同窓・多嘉羅も、寧温を陰から支える。また、後宮の王妃と聞得大君(王の姉であり祭祀を司る巫女)の争いの渦中にあって、カギを握っていた女官見習いの思戸(ウミトウ)も、寧温に協力する。

敵味方、或いは宮廷内外の人間関係、また外交関係にも、イロイロ際立った個性の人間たちが、物語を織り成している。海洋独立国家たらんと模索を続ける琉球政府、また庶民の生活をも飲み込む、状況の急激な変化。
とにかく、色々な出来事が複雑に絡み合い、そして怒涛の勢いで時代は流れて行く。その渦中に、琉球の龍を体に秘めた、二つの性に引き裂かれる翻弄される真鶴(寧温)の人生がある。

いずれ、琉球王朝は滅亡する。その事実を知っていてすら、この物語で最後の輝きを見せるであろう、その煌びやかな美しさを、ドラマ性の高い展開を、楽しみたいと思う。人と国土と、それらの絡まった「想い」は、どこへ行くのだろうか。
続巻、『テンペスト』下・花風の巻も、とっても楽しみだ~!(ちなみに上下巻各4百ページ以上、しかも2段組みというとんでもないボリュームですが…頑張ります。)

(2008.09.29 読了)
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著者:池上永一出版社:角川書店/角川グループパブリッサイズ:単行本ページ数:426p発行年月:200


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