「地図男」/真藤順丈 △ (『ダ・ヴィンチ』2008年7月号収録)

ううむ~。第3回ダ・ヴィンチ文学賞の大賞なんだそうです。ですが・・・ど~も、水無月・R的に合わなかったわ~。作中作じゃない方の文体に、ブレがある感じがして。
地図帳を持ち歩く「地図男」。彼の地図帳には縦横無尽に、彼の語り下ろす各地の物語が記載されている。

真藤順丈さんは、今回ダ・ヴィンチ文学賞を受賞し、日本ホラー小説大賞も取ってるんですね。別作品で。てことは、ホラー作家さん?いや、この物語は全くホラーじゃないんですけどね。

映画のロケハンの下見に奔走する、助監督の俺。あちこちで地図男に遭遇し、いつしか彼の物語を読むのを楽しみにし始めている。地図男の「天才音楽少年Mの物語」「失職した男が仲間を得て山賊になる物語」「東京都二十三区の代表が区章を奪い合うアンダーグラウンド・バトル物語」「アキルとムサシの呼び掛け合う物語」などなど・・・様々な物語は、物語の舞台となる地図の余白に描かれ、足りなければ付箋やピンクチラシの裏側などで継ぎ足されてゆく。
地図男は、関東全域の風景を網羅しており、俺の仕事の助けにもなるし、何より地図男の描く物語は、俺を惹きつけてやまない。
ある日、しばらく会えなかった地図男に、俺は再会した。彼はホームレス狩りの少年たちにボコボコにやられた後だというのに、とりつかれたように物語を語りながら描き込んでいた。救急車を呼ぶのが躊躇われるほどの、とてつもない迫力で彼が語り下ろす物語。途中何度も吐血した為、俺が代筆をしつつ、救急車に乗って病院へ。
そして、俺は気がつくのだ。地図男が語る物語に必ず出てくる、重要な脇役の女性の存在に。地図男にそれを問いただすと、彼は、その女性が主人公となる物語を語り始めるのだ。

地図男の物語に私が見つけた共通点は、「暴力的」である。物語によっては、それが前面に押し出されたり、裏側に潜まされたり、重要なスパイスとなっていたり、なんだけど。
その「暴力的」な部分がどうも合わない。おっかしいなぁ。舞城王太郎さんや佐藤友哉さんのバイオレンスたっぷりな物語も、そんなに違和感なく読めるのになぁ~。どうしてだろう。

地図男は、ひたすら物語を口述しつつ、地図帳に記入していく。まるで物語の神が、彼に降りるかのように。その物語を発表するという気はないらしい。とはいえ、「俺」が読むことにはこだわらないようで。サラッとした印象の地図男だけど、なんだか根深いものを秘めていそうな気もする。

最後に地図男が語り始めた、三つ編み帽子の女性の物語は、どんな場所で繰り広げられる、どんな物語になるのだろう・・・という興味は、非常にありますね。
きっとスペシャルな物語で、且つあちこちの物語をつないでゆくのではないか。いや逆に、すべての物語に姿を現す象徴としての超越した物語か。或いは、地図男の身元にかかわったり、なぜ地図に物語を描き込むのかという根本の疑問に答える物語なのか。
この続きを真藤さんが書いてくれたら、間違いなく読むと思いますね。

(2008.11.08 読了)
地図男
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