『RDG レッドデータガール はじめてのお使い』/荻原規子 ◎

荻原規子さんは、『空色勾玉』を始めとする勾玉シリーズが、すごく楽しかったのを覚えてます。ジャンルとしてはヤングアダルトに当たる(M市図書館では)んですが、大人の鑑賞に全く問題なしですよ。今作『RDG レッドデータガール はじめてのお使い』ももちろん、非常にワクワクしながら読みました。

主人公・泉水子は、熊野にある山伏の修験場である玉倉神社に住んでいる。学校へは、車での送迎以外手段がないほどの山奥で、彼女は宮司である祖父と、家事一般と宿者の世話を担う女性・佐和と暮らしている。
とても内気で引っ込み思案な泉水子は、普通の女の子になりたいと思うのだけれど、なかなかうまくいかない。
ある日、思い立って前髪を切ったことから、「何か」が変わり始める。アメリカに住む父が東京の高校への進学を勧めてきたり、父母の友人であり優秀な山伏である相良雪政の登場、雪政の息子・深行の突然の転入、泉水子と深行の修学旅行先での異変、泉水子に憑依する「ある存在」。

西洋もののファンタジーも好きなのですが、こういう和風ファンタジーもいいですよね。修験道とか、日本神道とか、何というか、自然の力を借りたり利用したりして自らを高める、そういう世界観が好きです。
携帯とかパソコンを使っている現代の物語なのに、違和感なく「自然と融和した神や地霊」のような存在がいて、その力を行使してくるという、その物語構成は素晴らしいですね。

困難の中での、少年少女の成長。王道ではありますが、やはりワクワクするものです。
何も知らされていない泉水子。少しは情報を与えられていたけれど、事が起こってからしか、追加の説明してもらえない深行。彼らが少しずつ、迷いながらも前に進んでいく姿は、なかなか清々しいです。
ただ、泉水子にはもう少し、お祖父さんなり両親なりが、「姫」のことや泉水子を害そうとする存在への対処法を教えてあげていたら良かったのに、と思います。中学3年にもなって、守ってもらうだけの存在というのは、如何なものかと。まあ、最後の章で「舞い」の力でとある存在を封じ込めることができたから、そういう能力はあったのでしょうけど・・・あまりに何も知らなさすぎるのでは?

修学旅行先で、泉水子と深行が「悪意ある存在」に追い回されてとても緊迫していたのに、雪政が現れた途端、泉水子の中でそれが急に安心に変わるというシーン、深行でなくても不審を覚えますよね。
雪政もまた、泉水子一族とその力を利用したい者であるということですよ。もちろん、泉水子たちを利用したい者たちの中では、一番良い相手ではあるのでしょうけれど。その辺も、今後の物語でいろいろと分かってくるのかしら。
案外、深行は雪政よりも泉水子寄りになるんじゃないかな、と期待しています。

今作は「はじめてのお使い」とサブタイトルがつくだけあって、壮大な物語のプロローグのようです。
女系に伝わる泉水子の力とは、泉水子の母・紫子や泉水子に憑依する「姫」とは、山伏の力の在り方、まだまだ物語世界の謎は一部分が簡単に提示されただけで、これから泉水子や深行が成長するに従って、明らかになっていくのでしょう。

内気すぎて、後ろ向きな泉水子。明るい優等生の仮面をかぶった深行。お互い水と油のようでいて、何か通じるものもあって、恋愛というより友情が育っていきそうな感じです。
今後の展開に、かなり期待が持てそうです。

(2008.12.10 読了)

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