『セレモニー黒真珠』/宮木あや子 ◎

す・・すみません、多分全編にわたって、人格崩壊バージョンだと思います。
・・・て言うのもさぁ!
この『セレモニー黒真珠』に出てくる、眼鏡男子・木崎がもう~、水無月・Rの萌え心を刺激しまくりで、愛情もって語らねばっ!という気合いがあふれてきちゃうんですよねぇ・・・。
ああ、いい年して何やってるんだろう私(笑)。

昔から、文学青年系眼鏡美男子は大好物でした・・・(^_^;)。そして近年、それに「トホホ属性」が加わると無敵、という状態に・・・。
その(喪服が異様に似合う)眼鏡美男子にトホホ属性がプラスされた男、木崎正行・独身25歳。しかも、飄々と葬儀屋稼業をこなし、孤高を保つ、クールな男なんである。
ぎゃひ~~ん!たまらん・・・おいしすぎる。なんなのこの設定!
そんな素敵男子が、上司に恋をした。・・・更にもう~、たまらん!

宮木あや子さんといえば、ままならぬ想いを描かせたら、当代きってのストーリーテラーだと思っています。
『花宵道中』では江戸時代の吉原の、『雨の塔』では閉ざされた学校の中の、様々な人間関係のやるせない思いを、美しく儚く、哀しく描き、私を感激させてくれていますからねぇ。
そして本作『セレモニー黒真珠』は、舞台を現代に移し、訳あり男女3人の微妙な恋心に更にコメディ色まで加えた、ホントに美味しい作品です。

うわ、長々書いてるのに、全然内容に言及していない(笑)。ていうか、内容も何と説明すべきなのか非常に迷うのですよ。
マンドラゴラのような顔をした社長率いる、地域密着型葬儀社「セレモニー黒真珠」。葬儀の頭を張れる実力を持ち、ブライダル界からの転職して5年の笹島由布子。笹島の部下で、坊ちゃん大学出のくせに葬儀の神聖な雰囲気好きが高じて葬儀屋になった上、うっかり笹島に惚れてしまった、木崎。とある目的を持って葬儀派遣さんになった、元水商売娘・妹尾愛麗子(アリス)。
この3人それぞれ、訳ありな過去があり、今の職業に就いて、さまざまなドラマに出会う。

過去の恋人がらみの葬儀、ろくでなしで音信不通だった親の葬儀、故人の恨みの強い葬儀。
葬儀というシチュエーションにおいて、このように様々な感情や人間関係が交錯して、でも大抵はしめやかに行われ、表面上は静かに終わっていく。知らなかった世界です。
本筋の物語ももちろん、黒真珠の社員達の葬儀を司るプロフェッショナルな意識も素晴らしかったですねぇ。

「セレモニー黒真珠」
妹尾が葬儀専門派遣さんになった、本当の理由。木崎、笹島にプロポーズをする。
「木崎の秘密」
葬儀の荘厳さに惹かれた少年が、葬儀屋になる。とり憑かれやすい体質なのに・・・。木崎、笹島からOKをもらう。
「主なき葬儀」
ろくでなしで音信不通だった妹尾の父が死に、怪しげな葬儀屋のサービス。木崎、笹島の命令で、妹尾のニセ彼氏になる。一番笑いとツッコミが満載だった章。
「セレモニー白真珠」
笹島の過去の恋人の妻が出産時死亡する。「お前のせいだ」とののしられ、ショック状態の笹島。その笹島を救った木崎の言葉。デキてしまう二人。
「あたしのおにいちゃん」
兄大好きの、木崎の妹登場。木崎宅に挨拶に行った笹島と、木崎妹の優しくて少し哀しくて、暖かい交流。
「はじめてのお葬式」
好きだった同級生が、転校した先で亡くなった。葬儀を執り行う黒真珠の面々に救われる、女子中学生。木崎、霊憑きの本領発揮。

あはは・・・どの章も木崎主役で読んでる、水無月・Rでありますよ(笑)。
まあ・・・ホント愛おしいトホホだよ、木崎は。愛と笑いとツッコミ処が満載。
妹に愛されてるのもイイし、妹尾にも、笹島にすらも2番手扱いなのもホントにトホホだし、だいたい好きな女の誕生日プレゼントに数珠ってどうなんだろうね、木崎よ。
眼鏡美男子なのに、トホホ。・・・・あああ、トホホには愛があるわぁ~。
萌えってすごいよね・・・(笑)。

地の文のツッコミが、すんごく良かったです。宮木さんて、コメディ路線も上手ですね~。ままならぬ想いに振り回される、シリアスな物語もいいけど、「愛と笑いとツッコミ処満載」なのも、すっごく良いです。
私も黒真珠に、働きに行きたくなりましたもん。年齢相応に老けてるから、雇ってくれないかしらん(笑)。

29なのに42ぐらいに見える、物腰の美しい、姐御というよりアニキ的な笹島、カッコいいです。憧れますねぇ。こんな人の部下になりたいです。やさぐれてるようで、真摯に生きてる、一本筋の通った力強い生き様が、たまりません。
そんな笹島に惚れちゃった木崎・・・。最初は顔が綺麗な男というだけの印象だったのが、どんどんトホホ属性を披露してくれる。超・好み~~!しかもだんだんしっかりしてきて、最終的には笹島を口説き落とし、家族に紹介するまでに成長(でもやっぱりトホホなんだけど)。
妹尾の生い立ちのスゴさ、それを乗り越え、元恋人の望みをかなえるためだけに葬儀業界に身を投じ、一途に待ち続けた心の強さ。そして、木崎に失恋しても尚、笹島に微笑める、脆さを秘めたたおやかさ。
3人3様、すごく綺麗に真剣に、筋を通して生きているのが、とても清々しかったですね。

・・・ところで、マンドラゴラ(マンドレイク)って、一般常識ですか?
いや…人の体に似た根っこを持ち、ひっこ抜くと悲鳴を上げるという、妖植物・・・ですよね(笑)。割とファンタジーなんかでも出てくる・・・(一応実在の植物)。 それに似てる社長って?!・・・相当スゴイご面相なんだろうなぁ、社長・ゴロー(58歳)・・・(^_^;)。イヤでも、結構カッコエエおっさんなんですよ。妹尾の危機に乗り込んできて頭突きかましたり。登場シーンは少ないんですが、やたらインパクトのある人です。

あ、そうそう。やたら「グレー豚(トン)」のビールタダ券を、木崎に渡してやるのは、「これで笹島誘って口説き落とせ」という、ゴローのせっつき&思いやりですよね?マンドラゴラみたいな顔してるけど、酸いも甘いも噛み分けて、ちゃらんぽらん風に見せかけて実はアツいおっさんという、器の大きい人なんですよね(笑)?

(2009.05.24 読了)

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ダ・ヴィンチブックス 著者:宮木あや子出版社:メディアファクトリーサイズ:単行本ページ数:235p発


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