『風神秘抄』/荻原規子 ○

荻原規子さんと言えば、YAファンタジーの女王的存在ですよね。
ブログ始めるよりもっと前に『空色勾玉』を始めとする、勾玉シリーズを読んだのですが、少年少女の成長と神話・伝説世界の融合、日本的な背景に描かれる美しい自然、大変清々しい読後感でした。
その勾玉シリーズとは一線を画しつつも、流れをくむ物語、『風神秘抄』

○○秘抄、と言えば後白河法皇の編纂した、今様(いまよう)の歌集『梁塵秘抄』ですね。
遊びをせんとや生まれけむ、戯れせんとや生まれけん・・・の一節が高名な。
その後白河法皇の寿命を延ばす舞と笛を演じてしまった、糸世と草十郎。素晴らしい芸能は、神の世界を引き寄せ、異界を開き、現世の運命を変えるだけの力があった。

いやいや・・・なんて言うか壮大だなぁ。
少年の成長と、異界とこちらの世界、こちらの世界の中の別次元、貴族と武士と庶民と芸能者と。さまざまなことを描きながらも、実は恋愛物語だというのが、爽やかだ。
鳥の王たるカラス・鳥彦王が、やったら気軽なしゃべりで主人公・草十郎の恋愛に首を突っ込んでくるのが、面白い。カラス世界の雄雌問題も、人間と同様なんだなぁ(笑)。

武士として源平の戦いに参加し、敗走のさなか、御曹司・頼朝を逃がすために山賊たちに捕まった草十郎は、自分の大将であった義平が京都でさらし首になったことを知り、上京する。今日の河原で、この世のものとは思われない舞を舞う少女・糸世と出会い、今まで誰にも聞かせることのなかった自分の笛を合わせてみたいと思う。二人の舞いと笛が合わされた時、天の門は開き、異界と繋がる。
草十郎はとあるカラスと言葉を交わすことができ、そのカラスは鳥の王であり、草十郎に協力をしてくれるのだが。
天を開く舞いに、時の権力者・後白河法皇が目をつけ二人をとらえ、自分の寿命を延ばすまいと笛を所望する。
ただ一度だけ、と行ったその芸能は、糸世を異界へと連れ去る。
糸世を追って、東国、鳥彦王の国である鳥の世界、熊野を旅し、艱難辛苦の後、草十郎は糸世を取り戻す。

笛と舞いが異界を開く。研ぎ澄まされた芸能は、運命すら変える。清澄に張りつめた糸が織りなす、神秘とも言える世界。
その理不尽な世界すら乗り越えようと、試行錯誤し、さまざまな試練に出会い、間違いを犯したり行きつ戻りつしながらも、心強くなり、草十郎は糸世を取り戻す笛を奏でる。

草十郎の成長、鳥彦王との関わり合い、そして、鳥の王たる資格を捨ててまで取り戻したかった糸世。
清々しいですねぇ。
残念なのは、糸世が登場から既に出来上がった性質を持ってて、あまり成長の伸び代がなかったことかなぁ。異界に飛ばされて、それでも心を強く持って舞い続け、草十郎を信じ生存を伝え続ける、というのはなかなかに大変なことだったろうなぁ、とは思うのだけど。もう少し、糸世のことを掘り下げてくれたら良かったかな~と思います。

糸世の妹弟子たちの双子・あとりとまひわが、すごく可愛らしかったです。双子ユニゾン、交互に相手のことを語る語り口、ちょっとだけ舌足らず感のある喋り方と、草十郎と糸世に対する思いの深さ。
物語の中でも、ほっと出来て、可愛い~とほわほわ気分になれる存在でした。♪

あ、そうそう、荻原さんといえば、『RDG はじめてのお使い』も。『RDG 2』も出たんですよねぇ~。早く読みたいと思いつつ、リストの長さが・・・(笑)。
今日から夏休み入ったので、読書スピードが衰えると思われます。今日が初日だというのに、早くも夏休みが終了する日を夢見ておりまするよ、私(^_^;)。


(2009.07.18 読了)

風神秘抄
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著者:荻原規子出版社:徳間書店サイズ:単行本ページ数:590p発行年月:2005年05月この著者の新


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