『サイン会はいかが?』~成風堂書店事件メモ~/大崎梢 ◎

おお~、面白かった~!やっぱり大崎梢さんの〈成風堂シリーズ〉は、短編の方がいいなぁ~。
「本屋限定・名探偵」の杏子と多絵が、本屋の日常に持ち込まれる謎を解いていくこのシリーズの3冊目、『サイン会はいかが?』
今回も、本屋さんの色々なお仕事を垣間見ることができ、とっても面白かったです。

「取り寄せトラップ」
同じ本の取り寄せを依頼したはず4人は、覚えがないという。それが何回も続く。
「君と語る永遠」
社会見学で来た小学生が、『広辞苑』を取り出そうとして・・・。次々と出版されては消えていく本がある中、ずっとあり続ける本もある。
「バイト金森君の告白」
~~僕は、成風堂で、恋をしました。~~ (本文より引用)
衝撃(笑)の告白で始まる、金森君の恋の行方は?
「サイン会はいかが?」
とあるファンの正体を見抜いて欲しいという人気作家が、成風堂でサイン会を行う。ミステリー色の濃い、中編。
「ヤギさんの忘れもの」
大事な白い封筒は、どこに行ってしまったの?絵本を絡めた心温まるストーリー。

前作『晩夏に捧ぐ』では、信州に出張して殺人事件がらみ、という長編で「う~ん、ちょっとなぁ」と思ってたんですが、今回はほんわか・ほのぼの調の謎解で、大変読みやすかったです。あ、表題の「サイン会はいかが?」はちょっと怖い部分もありましたが。

「サイン会はいかが?」の作家の高校生時代の事件の再謎解き、へぇ~と思いました。さすが「本屋名探偵」の多絵ちゃん。
ちょっとした一言のつもりだった、おかしくて軽い出来事だと思ってたことが、実はとても深く人を傷つけてしまって、あんな事件に発展する、というのは怖かった。でも、そういうのって、絶対にある。傷つく方も、傷つける方にも、経験がある。傷つけようという悪意があったわけではなくても・・・。気をつけなくちゃいけないなぁ・・・と思いますね。普段から単細胞生物な私としては、多分いろいろやらかしてるだろうし・・・。

作中で取り上げられていた『フェリックスの手紙』というシリーズ絵本、そういえば本屋さんで平積みになってるのを見たことがあるような・・・。あんな素敵な仕掛けがあるんだったら、一度読んでみたいなぁ。先程、N市図書館のサイトで検索したら、書庫で所蔵してるようなので、今度図書館行った時、出してもらおうっと。多分、ウチの次男君がこういうの好きだと思う。

今回は、成風堂の店員仲間も結構活躍しています。小柄で口数は少ないけど頼りになる内藤、落ち着いていて包容力のある福沢もいい。そしてある意味、すちゃらかな店長ですらもいい味出している。まあ、こういう上司がいると、部下が苦労するんだけどね~(笑)。
パート&バイトの皆さんも、あちこちで個性を出してます。金森君はちょっとトホホ系なので(笑)、私は是非、彼の恋路を応援したいですな。
そのほか、取次店の調子のいい営業さんとか、常連さん、社会見学で訪れる小学生など、ほっこりしたり心温まるような登場人物が、たくさん出てくる。
こういうところも、このシリーズのいいところだと思うんですよね~。

毎作、本屋さんてすごいなぁ~頑張ってるなぁ~、って思うんですが、今回もホント、そう思いました。
最後の方に
~~好きでないと勤まらない、よくそう言われるが~(中略)~激務の割に低賃金でもある。~~ (本文より引用)
という、杏子の述懐がある。うん、ホント頭は使うし、体力も使う、接客業だから精神力も・・・と本屋さんは大変なんですね。
それでも、本を通して色々な出来事や人に出会う、そういう素敵なお仕事でもある、と杏子は分かってる。
こういう前向きな店員さんたちがいる本屋さん、素晴らしいです。

実を言うと私、本屋さんで働いてみたい、と思わなくもないのですが。体力はある方だと思うけど・・・私みたいなトロいヤツじゃ、使えないって思われちゃうんだろうな~。ははは(^_^;)。やる気と体力はあるんですが、いかがでしょうかね・・・。
・・・働くのは無理でも、買うのはネットじゃなくて書店でと思って先日、文庫本を2冊買いました。その程度じゃ、全然貢献できてないとは思うんですが・・・(^_^;)。

(2010.03.04 読了)

サイン会はいかが?
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