『感情教育』/中山可穂 △

中山可穂さんの作品は、激情の物語なんですよねぇ。読むときは体力と覚悟が必要なんですよ。今回も、久しぶりにちょっと体力的に余裕があるので、取り組むことにしました。
案外、本作『感情教育』は体力は要らなかったです。
というのもね~、今回は物語に同調できなかったのですよ。まあ、仕方ないかな。私、彼女達の正反対側にいるから・・・。

「サマータイム」
母親に産み捨てられ、養女にもらわれたものの寄る辺なく生きてきた・那智。恋多き女でありながら愛するということを理解しないまま、流されるままに結婚と出産をし、唯一血の繋がる娘を得る。娘と自分を切り離すことなど、考えられない。
「夜と群がる星の波動」
父親に遊園地で置き去りにされ、人を信じることが出来ないまま成長した・理緒。学生時代に自分がレズビアンであることに目覚める。いくつかの喪失を経て、出会ったのは薄幸の女であった。
「ブルーライト・ヨコハマ」
人妻の那智とフリーライターの理緒は、恋に落ちる。那智の母探しを織り込みつつ、互いを激しく愛し求めあい、共に在りたいと願うが、家庭がそれを許すはずがない。那智は娘と離れることは出来ない、娘を引き取れねば離婚できない、だが夫は離婚もしたくない娘も手放せない・・・と泥沼の争い。

私のセクシュアリティは完全なヘテロだし、平穏で平凡に生きてきたし、家庭維持派なので・・・、彼女達とは反対側にいる人間だからどうしても、共感も同情も出来なかったんですよね。
確かに、理緒と那智の恋愛の激情は理解できる。だが2人の恋愛を続けるためには、那智は家庭から離れなければいけないし、だけど娘とは離れられない。娘を引き取って3人で、というのはかなり難しい。
それをどう対処するのか?と思ってたら、結局にっちもさっちも行かなくなって、娘の親権を放棄して「面接交渉権」だけで離婚、2人で生きていくのだ・・・って終わり方。
えぇ~?何だか中途半端だなぁ。
結局は、娘との血の繋がりの情愛より、女同士の愛情をとったのか・・・?まあ、どうにもならなくなったというのは分かるんだけど・・・でも。

那智が離婚するのを否定するわけじゃない。愛情が感じられない夫婦関係を終わらせるのは、間違っていない。その際、子供をどちらが養育するか、というのもその家族の問題であって、それをどうこう言うつもりはない。
ただ、激情で家庭を壊すのは、勘弁してほしい・・・と思う。家庭というものは、激情では維持できない。家庭というものを守る側からしたら、この物語は、中途半端な結果だな・・・と思うのだ。
結婚後、運命の人に出会ってしまうこともあるかもしれない。だが、その始末のつけ方はかなり難しい。

思ったより、さらりと読めた。だが、ちょっとなぁ・・・。

(2010.03.15 読了)

感情教育 (講談社文庫)
講談社
中山 可穂


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