『ガーデン・ロスト』/紅玉いづき ○

少女というのは、何故こんなに頑なで生き辛い毎日を送っているのだろう。かつて少女だった私も、やはり生き辛い思いを抱えていた。いつのまにか、その状況から抜け出したけど、あれは何だったのだろうと、今でも思う。
紅玉いづきさんは初読みです。
『ガーデン・ロスト』というタイトルに惹かれて、読むことにしました。

読み始める前に抱いていた、子供時代という美しく外界から守られている「庭園」を失う・・・というような美しく感傷的なイメージと、微妙に違う読了感でしたねぇ。
彼女たちは、未だ閉じた世界にいる。でも、そこから出て「成長」しなくてはいけない、いや今でも成長しつつある、ということの痛々しさみたいなものを感じました。
ただ美しいのではなく、引っかき傷や未だ救われない状況に苦しくなるような、ひりひりする感じ、嫌いじゃないです。

4人の少女が、それぞれの事情やこだわり、失いたくないものや守りたいものをめぐって、少しずつ時に浸食されていく姿が、ちょっと切なかった。
優しいというよりは、病的に何かを恐れているようなエカ、架空の存在や手の届かない相手を思うことで自己を守ろうとしているマル、ボーイッシュな出で立ちの中に傷つきやすい焦燥を抱えたオズ、親からの期待に崩れそうな自身を何とか持ちこたえようとするシバ。
4人は、〈放送部〉という彼女たち自身が外界から切り離した空間で、3年間を過ごす。少女特有の傲慢と親和と嫌悪の感情とが綯い交ぜになった、濃密な空間。今の自分に満足できない、自分はもっと違う存在になれるはずなのに、という焦燥が、そこには漂っている。同じ場所を共有する一体感と違和感に、もがき苦しむ彼女たち。自分の思うよりももっと大きくなってしまう「自意識」と戦う彼女たちの痛々しさに共感できる部分はありつつも、それに違和感を感じてしまう自分は大人になってしまったんだな、と感じる。ちょっと悲しい。

季節は巡り、時は流れて、否応なしに、彼女たちから何かを奪っていく。
代わりに得る物は、彼女たちを満たすことが出来るのだろうか。
卒業式の日に、皆がシバを迎えに来たシーンに、これから先の希望を感じた。

(2010.12.20 読了)

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