『ミミズクと夜の王』/紅玉いづき ◎

ああ・・・。
私、この作品、好きだ。
普段、気に入った作品に対して、かなり感傷的で美文調になってしまう私だが、今回それをするのは躊躇ってしまう。
泣いた。
誰もが強くて優しくて、まっすぐな、この物語に。
初読みだった紅玉いづきさんの『ガーデン・ロスト』のときに苗坊さんにお勧めいただいた、この『ミミズクと夜の王』
読めて良かった、知らないままでいなくてよかった・・・と本当に思いました。苗坊さん、ありがとうございました!
苗坊さんのレビューはこちらです!皆様、是非どうぞ!

なんか、どこかで見たようなタイトルだな・・・って思ってたんですよね。
で、あとがきで「アレレ?」と思い、解説まで来て、「あ~ッ!!!」ってなりました(目次をきちんと見てなかった)。
有川さんが、解説書かれてたんですね~!有川さんおっしゃるように、
~~平易な文章でつづられるお伽噺のような。~~ (あとがきより引用)
そんな物語の、純粋な良さを痛感してたので、何というか、凄くうれしかったです。
ええ、私も泣きましたともさ。有川さんの真似じゃないですけどね(笑)。

すごく簡潔な、童話のような文体なのに、夜の王の美しさが、ミミズクの一途さが、登場人物たちの優しさが、真っ直ぐに入って来て、すぅっと沁みてくる。
コレがデビュー作なんだから、何という作家さんなのだろうと思う。

魔物が棲むという夜の森に、奴隷の少女・ミミズクが入りこみ、夜の森の王に自分を食べてくれと頼む。だが夜の王は彼女を喰らわず、自身の周りにいることを許す。美しい夜の王をフクロウと呼び、時々一緒にいるだけで幸せを感じるミミズク。
だがある日、魔王討伐の一団が夜の王の館を襲い、フクロウはミミズクの記憶を奪い、自らは王家に囚われ、彼女を保護させる。
目覚めたミミズクは夜の森以前の事を思い出せないまま、「夜の王に囚われていた姫君」として王宮で暮らし、王宮の人々からも民からも愛される存在となる。
だが、記憶を取り戻したミミズクは、人の間にあるよりも、夜の王を救いだし、共に夜の森に帰ることを望む。彼女を救出した聖騎士・アンディ、その妻で聖剣の巫女であったオリエッタ、四肢の不自由な王子・クローディアスらの助力を得て、彼女はフクロウと共に夜の森に帰還する。

この物語の中で、魔物は人に悪を成さない。夜の王が、夜の王になったそのいきさつ、ミミズクを迎え入れた優しさ、人に捕えられてさえ人に悪を成すことなく、そのまま朽ちることを選ぼうとしていた姿。まっすぐで、優しくて、強い。
ミミズクも夜の森に来る前の、奴隷としての辛い生活を恨むことなく、夜の森での生活に幸せを感じ、王宮での生活に幸せを感じて、記憶を取り戻しても、誰を恨むことなくまっすぐにフクロウを救いに行く。
あまりにも、まっすぐで、強くて、優しくて・・・涙が出た。

四肢が動かないことで王に疎まれていると思い、人交わろうとしなかったクローディアスが、ミミズクと友達になって、少しずつ変わって行き、ミミズクと夜の王を救う直接の行動をとれるようになったこと、とても素晴らしいと思った。
主人公であるミミズクはもちろん、クローディアスの成長が描かれることで、真っ直ぐさと強さが伝わって来たと感じる。
そんな、成長してミミズクに力を貸したクローディアスに、夜の王は一つの贈り物をする。動かなかった四肢に魔法の刻印を刻み、動くようにしたのだ。王国を継ぐことが出来るようになるけれど魔王の影響を受けた者という蔑みを得るであろう、だがきっと王子はそれを望むのだ、とフクロウは知っていたのだろう。

ああ・・だめだなぁ。何だか全然書けない。
ミミズクもフクロウも、魔物のクロも、アンディもオリエッタもクローディアスも、そして王国の王・ダンテスすらも、まっすぐで強くて、優しくて・・・そして不器用だった。
でも、どんなに不器用でも、幸せになれるという王道だったのに、それだからこそいい作品だった・・・。

(2011.02.18 読了)


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