『白ゆき姫殺人事件』/湊かなえ ○

冒頭に、ショッキングで目を引く事件。
週刊誌ライターの取材に、嬉々として応じる人々。興味本位と悪意は紙一重。
・・・う~ん、湊かなえさんだなぁ(笑)。
非常にTV的ですよねぇ。
・・・と思ったら、さっそく映画化らしいですよ、『白ゆき姫殺人事件』。早いですな~(^_^;)。

地方の化粧品会社の美人OL・三木典子が、十数か所を刺されたうえ焼かれるという、惨たらしい殺され方をした。
会社の同期OL・城野美姫が姿を消し、典子の後輩・狩野理沙子が週刊誌ライター・赤星に情報提供を始める。赤星は城野美姫を疑いながら、関係者への取材を進めていく。

まあ、あらすじを書いても面白くなくなると思うので、思うところをぽつぽつと。
え~、まぁ~、なんていうか、すごく湊さん的ですよね(笑)。
巡り巡り、濁りを増すちょっとした悪意や無責任な発言。それを更に、過剰に煽る形で記事にするライター。ライターに取材を受けた人々は、「まあなんて陰惨な事件」と悼むフリで、内心のほくそ笑みを垂れ流しながら、ぺらぺらと喋り散らす。

あ~~!人間って汚いなぁ!

なんて、喚きたくなるけど、でも。
私だって、事件の関係者となったり、取材を受けたりしたら、自重できなくなるかもしれない。
興味本位の偏った記事を読んで、真相を自分で考えずに、思い込んでしまうかもしれない。いや、しているだろう、今だって。
活字は、怖ろしい。噂話は、怖い。情報の一人歩きは、本当に怖い。

こういうところは、ホント湊さんマジックだと思うんですよねぇ。
誰しもが持っている、些細な〈厭~な〉部分が、さりげなくクローズアップされる。
そして、「これでもか~!これでもか~!」と追いかけてくる。
「取り澄ましたなんでもない顔してたって、誰だって嫌な面を持ってるんだよ・・・」って耳元でねちっこくささやかれる感じが、なんともやりきれないですな。

ライターの取材相手が喋り続ける本文と、添付資料にライターのSNS(作品内「マンマロー」)と週刊誌の本文記事、容疑者の友人のSNS、新聞記事、狩野理沙子のブログがあったのだけど、添付資料の存在に気付かないまま本文を読み終えてしまいました。本文と資料を対比させながら読んでいった方がよかったのかな~、って最初はちょっと後悔してたんですけど、逆に最後にまとめて読んで(真相も知った後で)「うぇぇ~、なんじゃこりゃ。この話の盛り方は酷過ぎるわ~」という展開になるのも、また一興かもしれません。

しかしね、同じ人物のことでも見る人見る立場によって、全然違うんですよね。もちろん、そんなことは判ってるんだけど、それでもやっぱり「なんか凄い事になってる」って思ってしまった。ちょっと注目(取材)なんかされて、調子に乗って誇張したネタを披露してしまう人々のイタさも、ホント辟易する。
憶測で他人を決めつけ、無責任に非難する、「その他大勢」の醜さ。無名・匿名であることで増長するネットの住人達。
彼らに傷つけられた女性だって、真っ白ではない。
だけど、彼女は何もなかったように、日常へ戻っていくんだろうな。
でも、その日常は、前と同じものじゃない。

ところで。全くもって、個人的な感想なんですが。
殺された白ゆき姫の真実の姿って、嫌な奴だなぁ(笑)。人を貶めて自分の位置をキープしようっての、ホント私の嫌いなタイプです。人として品がないでしょう、そういうのって。超絶美人で、ソフトに微笑みつつそれをやるって、相当性格悪いよ。判っててやってるの、アリアリだもの。だけど、上っ面だけで評価する人は絶対に騙される。あ~、ヤダヤダ。・・・あ、美人へのやっかみじゃないですよ(^_^;)。

殺された白ゆき姫と真犯人については、もうちょっと証言がほしかったかな。本人たちからの視点で見た、この事件やそれ以前のいろいろとか。まあ、白ゆき姫は、最初に殺されちゃってるから、事件そのものは無理だけど。

(2013.09.15 読了)

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