『ガンコロリン』/海堂尊 ◎

星新一のショートショートみたいだなぁ~、って思いました、まず(^_^;)。
いや、ショートショートにしちゃあ長いんですけどね。くすくす笑えて、読み終わったら「未来って夢ばっかじゃないよなあ(苦笑)」って気分になる感じが、それっぽいような。
軽~く読める海堂尊さんって、久し振りな気がしますね。
おなじみのアノ人たちがちょこちょこと顔を出す短編集、『ガンコロリン』大変楽しく読みました♪

「健康増進モデル事業」
日本一の健康成人を作り上げるというモデル対象に選ばれた男。厚生労働省から派遣されたアニキ3号(笑)の指導の下、健康を目指して二人三脚ですべての不健康要素を取り除く生活を始めるが。
「緑剥樹の下で」
ノルガ共和国で起こった内乱。心臓肥大の王子を国境なき医師団のキャンプに送り届けた男。その男の記録映像は、日本の大学病院の資料センターの地下室の片隅にひっそりと眠っている。
「ガンコロリン」
全てのがんを治療し、更に予防するという、夢の新薬登場。サンザシ製薬は医療界を席巻し、ぼろもうけ。だが、思わぬ落とし穴が・・・。
「被災地の空へ」
東日本大震災が発生した時、全国各地のDMATが出動。ジェネラル・速水も医療チームを率いて現地入りした。被災地の医療の実情を描く。
「ランクA病院の愉悦」
TPPで「自由診療」が拡大されて医療格差が広がった、未来の日本。Cランク病院では機械による質問で病状が診断され、薬が出るだけ。貧乏ライターがルポのためにかかったAランク病院での診療の真実と、さらにその後ろに隠されていたルポの狙いとは。

白鳥の影あり、速水の焦燥あり、渡海の消息の一端も知れ、TPPの隠された怖ろしさも、医療の意外な進展も読め、楽しかったですよ~。
「あ~、このヒトなんか名前に覚えがあるけど、どの作品に出てきた人だっけ~」という時は、いつもお世話になってる〈海堂尊非公式ファンサイト!登場人斑のリンクを見てみよう!〉さんで、ばっちり調べさせていただきました(笑)。
海堂尊ファンさん、ホントにいつもありがとうございます♪

それぞれに言及しちゃうと、また長くなりそうなので、いくつか。
「緑剥樹の下で」で、渡海の行方が分かって、うれしかったです。だけど、最後に内乱のさなかに戻って行ってしまった彼のこの先を思うと、ちょっと悲しい。これから渡海がどうなるのか、また来日して手術を受けたアガピ王子のその後も知りたいですね。
「被災地の空へ」は、支援医療の現実の厳しさが描かれていて、切なくなった。救護所のトップに就いた岸村先生の器の大きさに脱帽。
「ガンコロリン」の夢の新薬、すっごい!ホントにこんな薬が出来たらいいのになぁ!なんてふわふわして読んでたら、最後の最後にあんな落とし穴があったなんて…。こんなところにも、生物の進化の法則は適用されてしまうのね・・・。この後、どうなっちゃうのかしら、人類は…。
しかし、〈ガンコロリン〉ってネーミング、秀逸ですな(笑)。

ちょっと不安になる終わり方をした物語もありますが、「ガンコロリン」「ランクA病院の愉悦」なんかはどっちかというとIfストーリーっぽいので、あまり気にせず読みました。だってこの2つが現実になっちゃったら、桜宮サーガがイロイロおかしくなっちゃいそうですもんね(笑)。

桜宮サーガを補足する短編、とてもよかったです。こういう気楽に読める物語も、時々書いてくれるといいなぁ(笑)。
まだまだ、大きな事件と事件の間をつなぐエピソードや「あの人はどーなった?!」的な興味も尽きないので、ぜひよろしくお願いします。

(2014.07.14 読了)

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