『恋歌』/朝井まかて ◎

終章、どんどんと熱くなる胸の内に、我ながら驚きました。
名門歌塾「萩の舎」の主宰・中島歌子の生涯を描き、第150回直木賞を受賞した『恋歌』、とても素晴らしかったです。
朝井まかてさんの作品は、心に沁みますねぇ。

詩歌共に苦手な私にとって、中島歌子と言えば「明治歌壇の華」というイメージがぼんやりある程度でした。
こんなにも過酷で波乱に満ちた人生を送った女人であったとは、思いもよりませんでしたね。
水戸の天狗党の乱についても、歴史の教科書でちょっと読んだ程度、こんな血で血を洗うような争い、負けた党は妻子まで囚われ陰惨な虜囚生活を送った末に処刑だったなんて、想像すらしていませんでした。

中島歌子の手記を、かつての優秀な門下生であり女流小説家の嚆矢である三宅(旧姓・田邊)花圃と、過去に萩の舎に女中奉公していた澄が読み始める。
長い長い手記の中、時折花圃が現実に引き戻されるのがいい。たぶん、直接我々読者が読むという形ではなく、師の君(中島歌子)をよく知る花圃を通して読むことで、歌子をより客観的に、より深く知ることが出来たと思います。

あの時代にそんな大恋愛が、と思うほどの恋愛結婚、でも夫は勤めであちこちに行かされ共に暮らせる日は少なく、義妹は頑なに自分を認めてくれない・・・。辛くても、夫に会えればうれしい、そう感じていた夫とも離れ離れにされ、囚われて牢獄の日々。
その中での上士の妻女らの凛とした姿と、その最期が切なかったです。

どんなことに出会っても、死に別れたと知っても、一番は夫であり、そしてその夫への想いを三十一文字で身を立てることに昇華し精進した「中島歌子」という歌人の生涯、強くて美しくて、そして切なかったです。

澄の正体と思い、それを知った歌子とその思い、歌子の遺稿集を出版することを決意した花圃の思い。外へ溢れ出すような熱情ではなく身の内で暖かく膨らみ満たされるような終わり方がよかったです。

(2014.12.23 読了)

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