『有頂天家族 ~二代目の帰朝~』/森見登美彦 ◎

ああ!なんと毛深くも、愛らしき、阿呆な狸たちよ!
大好きだなぁ、ホント。下鴨兄弟、夷川兄妹、その他もろもろひっくるめて、もふもふの毛玉にしてコロコロ転がしたい!抱きしめたい!
モリミーこと森見登美彦さんの描く、狸と天狗と人間が跳梁跋扈する、魔都京都。
天狗の赤玉先生こと如意ヶ嶽薬師坊の跡継ぎが英国より帰朝したことから、『有頂天家族 ~二代目の帰朝~』の物語が始まります。

『有頂天家族』の時から、もうホント狸たちの毛玉っぷりに心を奪われてたんでございますが、本書でもうがっつりと掴まれちゃいましたね。お年を召したら、ホントに可愛らしい毛玉さんになっちゃうんですもの~。素敵です。
長老たちもいいですが、主人公・下鴨矢三郎の母方のお祖母さんたるや、白くてふわふわで少女返りしちゃってるもんだから、とにかく可愛いのですよ。そっと両手に押し頂きたいです・・・!

狸は面白ければそれで良しの阿呆だし、天狗はとんでもない神通力を気まぐれで振り回すし、人間だって狸鍋の為なら地獄と繋がっちゃうよ的な、何でもありの大乱戦。
だけど、この物語の底に流れているのは、毛玉たちのそれはもう〈毛深くも気高い愛〉なのである。親兄弟を愛する然り、天狗に憧れ打ちひしがれるも然り、つがいの相手を思うも然り。
心が、ほっこりと致しますな。

前作『有頂天家族』にて保留された、下鴨家長男・矢一郎の京都狸界の頭領『偽右衛門』襲名を巡り、権謀術数渦巻く物語に注ぎ込まれるは、阿呆の心意気。
やることがむちゃくちゃだ!でもそれがいい!
天狗の喧嘩も、狸の喧嘩も、どうぞご存分に(笑)。
だって、何故かどっちも愛おしいのですもの。

本作では、狸界に恋の花が咲いてましたねぇ。矢一郎と南禅寺の玉瀾。矢三郎と元許嫁の夷川海星。更に言うと、矢二郎にも四国の金長一門の娘・星瀾との出会いがありました。え~と、矢四郎ちゃんは、まだ子供ですから(笑)。夷川家の偽電気ブラン工場で偽電気ブランの開発研究に勤しむというシッカリした面もあるんですけど、やっぱり残念でかわいい子でして、もうちょっと先のことになりましょう。
いつまでも進展しない矢一郎と玉瀾のじれったい愛が素敵でした。そしてそれを無理やりまとめちゃう赤玉先生の力技にもニヤニヤ。矢三郎と海星の間にも、実は重大な秘密が隠されており、今後の展開はどうなっちゃうんでしょうねぇ。

新登場の二代目、何を考えているんでしょうねぇ。もとは人間で、赤玉先生に鍛え育てられて立派な天狗の素質が開花したのだけど、かつての赤玉先生との恋の争いに負けてイギリスへと出奔。偽英国紳士としての今回の帰朝、本人は自分は天狗ではないと言っていますが、赤玉先生との対立は深まるばかり。彼の本意はいずこにやあらん。
そしていま一人、赤玉先生が育てた天狗候補?の弁天。奔放で大変魅力的な彼女は、狸たち人間たちのみならず赤玉先生をも骨抜きにし、されど2代目には憎まれ・・・。彼女は人間なのか、天狗なのか、どっちなんでしょうねぇ。

しかし、狸たちの赤玉先生への忠誠心は、涙なくして語れませぬな。鞍馬山の天狗たちに追い落とされて、安アパートに悄然と暮らしていても、狸たちは赤玉先生への敬意を失わず、献上品を携えて訪れる。何とも健気で、真っ直ぐな愛情で、ちょっと切なくなるぐらいです。
赤玉先生、ずっと神通力を失ったままなのかしら・・・。

なんか全然内容に触れてませんが、いやもう色んなことがあって、でも矢一郎は無事偽右衛門を襲名したし、玉瀾との結婚式も盛大に執り行えたし、よかったね!なんですけど。
問題は、幻術師・天満屋と一緒に地獄屏風に吸い込まれちゃったあの人(狸)。
とんでもない執念の持ち主でしたな!ある意味、狸的ラスボスかも。
本作は3部作とのことで、てことはまだ続きの物語があるんですよね。最後の物語でも、この人(狸)大暴れしそう。
そうなった時は是非、下鴨4兄弟がそれぞれの特性を遺憾なく発揮して、事にあたってほしいものです。もちろん阿呆の血全開でね♪

続巻、とっても楽しみです。
如意ヶ嶽薬師坊の跡目は、結局どちらが継ぐのか?!二代目と弁天と赤玉先生の関係性やいかに。
そして2年連続で狸鍋を逃した「金曜倶楽部」の逆襲に、狸たちはどう対抗するのか。
狸たちの物語ももちろん、気になります!
でもモリミー、無理しないでくださいね。

(2015.09.11 読了)


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森見登美彦 幻冬舎発行年月:2015年02月 ページ数:469p サイズ:単行本 ISBN:9784


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