『あの家に暮らす四人の女』/三浦しをん ◎

いやもう、ホント三浦しをんさん、大好きだわ~♪
杉並の外れ、善福寺川近くの古びた洋館に、程よい距離感で仲良く暮らしている、年齢も立場もそれぞれな4人の女たち。
事件はちょくちょく起こるものの、基本暮らしている洋館のようにまったりと時が流れている彼女たちの日常。
・・・なのに、なんで時々すっごい爆笑することになっちゃうんでしょうね!(^^)!
『あの家に暮らす四人の女』なんてタイトルだと、不穏系なのかしら・・・なんて思ってたんですが、全然そんなことなくて、とっても楽しくて、最後はとてもほっこりできました!

〈武蔵野のお嬢様〉を体現する家つき娘の母・鶴代(七十代)。
その娘で、独身アラフォー刺繍作家の佐知。
ひょんなことから佐知と知り合い、更にひょんなことから同居することになった雪乃(佐知と同い年)。
雪江の会社の後輩で、佐知の刺繍;教室の生徒である多恵美(二十代)。
この四人の女たちが一緒に暮らす、古びた洋館、牧田家(鶴代の持ち家)。そして、牧田家の表門の近くに建つ離れ(守衛小屋と呼ばれている)には、山田という老人も住んでいる。

花見に行ったり、雪乃が水難(笑)にあったり、水難のあとのリフォームで訪れた職人さんに佐知が淡い恋心を抱いたり、多恵美がストーカーにつけ回されたり、開かずの間をあけたらとんでもないものが出てきたり(笑)、新宿伊勢丹の煌びやかさに佐知が負けたり、泥棒が入って佐知が殺されそうになったり…。
あれ、書いてみると結構波乱万丈じゃないですか。だけど、何故か事件はなあなあで解決?消化?され、穏やかに時が過ぎゆくのは、〈武蔵野のお嬢様〉感マジックじゃないかと私は思っておりまするよ。

一度も働きに出たこともなく、自分で稼いだ経験もない鶴代さん。ちょっとスケールダウンするけど、こういう〈武蔵野のお嬢様〉的な人、私知ってます(笑)。
うん、わかる。こんな感じなんですよ、白金とか田園調布じゃなくて、あえて武蔵野のお嬢様(笑)。
がつがつしてなくて、時の流れが緩やかで、まさに老嬢って感じだけど下世話なことも知ってて、お嬢様でも家事全般はちゃんとできるという・・・・ははは・・・あの人お元気かしら。

佐知も外で働いたことがなくて、刺繍で収入を得てるんだけど、本人はちゃんとそれを職業だと思ってるし、実際作品は高評価を得てる。でもやっぱり、世間知らずでお嬢さん感が抜けないと思うのは、私の僻みかしら…。
逆に、独身バリキャリの雪乃、「自分は稼ぐ方担当でもいい」という恋多き多恵美もいるので、浮世離れ感はやや中和されてるように思いますね。
なんていうか、それぞれが自分なりに納得して生きてるっていうのが、すごくいいです。

そして、山田の存在(笑)。
鶴江の父親時代の使用人の子供だったという、近いんだか遠いんだかよくわからない関係のまま、長らく守衛小屋で牧田家を見守ってきたわけですが、確かになんだろう?って思いますよね。でも、家族みたいにあったかい空気みたいな関係として、佐知に再認識されたのには、ほっこりしました。

四人の女たちの暮らしを読み進めると、突然〈カラス〉の語りが入る。
カラス・・・カラス怖いよ・・・(私、カラスにトラウマが)。
まあそこは頑張って読み進めると、ただのカラスではなく牧田家の近くのカラスの集合体〈善福丸〉だという・・・。いきなりファンタジーぶっ込まれたな!!とツッコミを入れて自らを鼓舞。
まあ確かに鶴代に語らせると、話はあちこち迂回するわ脱線するわで、読者が疲れそうですもんね(笑)。

しかしねぇ…河童ですよ、河童
ここまでも、ちょこちょこ笑える小ネタでくすくす笑ってたんですけど、もう我慢しきれなくなり、大爆笑しちゃいましたよ!平日の真昼間、静かな住宅街に響き渡る私の爆笑・・・ご近所の皆様、申し訳ございません。あそこんちの奥さん、気が狂ったんじゃないかと思われたかも…。
いやでもね、ミイラ?!→佐知のお父さんの死体?!→いやコレ河童?!→佐知のお父さんて河童なの?!→そんなわけあるかぁ!!!って、展開がもう、ツボでツボで。

しかも、佐知のピンチの際には「父親」の霊魂?がその河童に入って動き出すってんだから、遭遇した泥棒と佐知にとってはホラーでしかないんだけど、またまた私大爆笑!!
いやもう、ホントしをんさんのこの話の作り方、大好きだ!

女四人と言えば、私としては『若草物語』を思い起こしたんですが(表紙絵もレトロなドレスを着た4人の女だったし)、『細雪』なんだそうです。確かに4人の名前も『細雪』の4人と漢字違いの似た名前だし、『細雪』は蒔田家、こちらは牧田家。どっちかというと『若草物語』はもっと若いお嬢さんの青春…でもないけど成長物語風ですもんね。うん、『細雪』だわ。あちらほど恋愛スキャンダルはないけど(笑)。

いろんな事件がありつつも、4人が末永くまったりと仲良く暮らしていってほしいものだと、思いました。
佐知の恋は上手くいって欲しいけど、牧田家を離れるようなことにはなって欲しくないなぁ(笑)。

(2016.11.03 読了)

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三浦しをん 中央公論新社発行年月:2015年07月 予約締切日:2015年07月08日 ページ数:3


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